鋼の流木



『五灯会元』という南宋の古い書物に「鉄樹開花」という一説がある。鉄でできた木に、咲かないはずの花が開く。滅多に起こらないことの例えとして使われる。例えそれが起こるとしたら、いくつの天文学的な偶然が折り重なるのだろう……それを人は「奇跡」と呼ぶのだ。

 そしてッ! そんな奇跡を起こしてくれるのがこちらの「ウラシマウォーター」である! あの、一躍有名となった「タイムマシン」、その研究所で使われる特殊な電波および磁力を当て、さらには電気分解させたのがこの「ウラシマウォーター」!

 一本三千円のこの水を毎日飲めば、体の内側から表面にまで「ウラシマウォーター」が行き渡り、拡張された毛細血管から時空の波動が吸収されるのです!

「いやぁ~ん。お肌つるっつる」

「おっ、少ない髪の毛が増えて来たぞお」

 研究者のイツミ博士はこのように語ります!

「これを飲む飲まないでは健康面に変化が起きるというデータがあります、えーこれがそのグラフですね。湯上りにこの水を飲む人と飲まない人では体内の水分量にこれほどの変化がでます。若がえりの効果も十分期待できる可能性も無きにしも非ずでしょう。さあ、皆さんもレッツ・タイムリープ」

 レッツ・タイムリィィィィプ!

 お買い求めはこちらの番号までッ!


 ○


 ある土曜の朝、カグヤがイツミにつきつけたのは、なにやら文字の書いてあるA4A4サイズのコピー用紙だったが、近眼の彼女はろくに読めなかった。低血圧と二日酔いで鉄アレイ並に感じる頭を持ち上げる。眼鏡をかけてようやく、軍隊のように整列した箇条書きと、威圧感あるタイトル、そしていつも以上に不機嫌に見える彼女の顔がクリアに映った。

「『諫言状』って…………なによコレ」

「オ、テ、ガ、ミ。同居人から最近だらけっぱなしの研究室長さんに」

 その視線で昨日の疲れがしわくちゃに刻まれたワイシャツ姿なことを自覚する。早朝にもかかわらずカグヤは既に細身のセーターに着替えていた。

 突っ伏していたテーブルの脇には、冷めきった二人分の朝食があった。固いトーストをかじりながら、諫言状に目を通す。

 ・最近私たちの研究のこと頭から抜けてませんか。研究者が研究を止めたらお終いです。忘れないで下さい。

 ・研究員の子からお金借りるのはやめなさい。本当に必要な時はきちんと二人で相談するって約束しましたよね。浪費癖治してくれないとこっちは困ります。

 ・飲み会多過ぎです、減らしなさい。ただでさえ飲みすぎるんだから。あと家事当番の日に狙って入れてるのわかってますからね。

 ・あれ食べたいこれ食べたいって一丁前にリクエストはするく

 せに自分で作らないのは何故ですか。そろそろ一人で作れるようになりなさい。

 ・家の鍵とか財布とか、乱雑に扱うの止めなさい。また去年みたいに家に入れないまま年を越したいんですか?

 ・ウラシマウォーターってなんですか。ちゃんと説明しなさい。

 以下、文字の横隊射撃に耐えきれなくなったのでそっと裏返して置いた。表情筋が金属製の彼女カグヤだが、意思疎通に不憫したことはなく、それはそのまま二人三脚で研究を進めるパートナーとしてのステータスでもあった。

「こんなめんどくさい奴だったかなあ」

 自分が作った朝食を、彼女は無言で食べている。イツミの視線に気づいた途端に「早く食べて」と目の鋭くさせた。

「いーじゃん休日なんだから、急ぎたくないの」

「休日だからこそやることがあるのよ、今日は」

「何それえ、あのさ、自分のやることは自分だけでやるべきだと思うわけよ。私は私の時間があるわけだし、カグっちもまたしかりなワケでしょ? 私今日は借りてた映画観る気分なのよね」

「昨日酔って所長のスーツにゲロ吐いたの覚えてないわけ?」

「すぐ支度します。あ、なんか手土産あった方がいいよね、在庫めっちゃ余ってんのよ、ウラシマウォーター」

「…………」

「やめる、やめるからアイアンメイデンみたいな顔やめて」

 雨が大きな窓ガラスを叩き、ベランダで音を奏でている。人のいなくなったほの暗い部屋のシンクに、二人分の食器が重ねてある。

 ビニールの傘と折り畳み傘という味気ない花を街路に咲かせて、二人は灰色の世界を歩いた。

 カグヤとイツミの共同研究だったタイムマシンは、現在その企画そのものがストップしている。それはただでさえ小国家運営の予算並の規模の費用がかかるうえに、完成した試作機に大きな欠陥が見つかったから。それからカグヤがピリピリする頻度が増えた。

「…………ような気がするけど、むしろ変わったのは私か」

 カグヤとタイムマシンから目を背けつづけている。気軽に肩を叩ける距離を歩いている彼女の後姿に、声すらかけられない。

 でもね、と頭の中で言訳を並べる。室長の私がずっと落ち込んでるわけにはいかないし、それに研究員の子たちには彼らなりの人生があって、悩みや夢もあるわけだし。

 もう自分の夢だけ追いかけられる立場じゃないじゃん、うちら。いつまでも特別扱いできないよ。

 二人は一言も発さず、研究所の四階に向かうエレベーターに乗った。

「謝り終わったら先に帰ってて。所長と話があるの」

「え、それじゃ私、来る意味ほぼ無いじゃん! 別に週明けで良かったんじゃないの」

「なんで人に謝罪するのにアンタの都合優先させんのよ」

「もーすぐそうやって鋼の正論パンチするう…………」

 人の良いワタヌキ所長は、宇宙ロケットの開発で第一線を走っているくせに、そんな偉人らしい風貌は一切見せたことが無い。怒った様子も無く朗らかに二人の謝罪を受け止めていたが、言葉の端々で背広が古い友人からの貰い物でイギリス製の高級品だったことや、誕生日に娘から貰ったネクタイにもゲロがついたことを仄めかせてくるあたり、全くのノーダメージではないようだった。

 そうしてスーツの重要性を語った後は

「まあ、いいんだけどね、アハハ!」

 と文末に必ず引っ付けてくる。最大限嫌味な言い方をしているのかもしれないが、人の良さも相まって悲壮感が増すばかり。「大丈夫なのね、よかった!」とは、流石のイツミも考えなかった。

「…………とりあえず、イツミはカグヤ君によおく感謝するんだよ。君だけだったら、せっかくだらだらできる休日に僕んとこに謝りになんて来ないだろ」

「(げ、なんでわかんの)滅相もございません…………」

「今後はこのようなことが無いよう、私も気を配っておきます」

「大きなお世話だし」

「アンタねえ」

「待って待って、ここで喧嘩はやめて、ね、ね。とにかく、僕はプロジェクトのことでカグヤ君と話しがあるから、イツミはもう大丈夫。飲みすぎちゃいかんよ?」

「はーい」

 所長室を出て、しばらく壁にもたれていた。向こう側では小さくワタヌキとカグヤの話声が、聞き取れない程度に耳に入る。

「あれ、乙姫室長。休日にいるの珍しいですね」

「あははフボ君、その仇名やめよーよ」

 白衣を着た研究員がスリッパでタイルをぺたぺた蹴りながらやって来た。元はイツミの下でタイムマシンの研究に参加していた男だが、それがストップしている現在はカグヤと共にワタヌキの研究を手伝っている。

「所長、部屋におられます?」

「あー、いるけどカグヤとお話し中なんだわ」

 二人は一階のカフェスペースで時間をつぶした。雨の弱くなった土曜日のそこは、妙に静かだった。

「お二人、喧嘩したんですか?」

 カフェオレを啜りながら、イツミは不快に思った。この男はどうしてこう、好奇心旺盛というか、デリカシーが無いのだろう。仕方あるまい、日ごろ宇宙の構造とか時間と空間の物質・物理的関係について考えているのだから、対人間に対する思考がバグってしまったのだろう。

「カグヤさん、また『鉄の女』の顔してましたよ。室長が自分の研究やめちゃうからですよきっと」

「知らなーい」

「また研究しましょうよ、タイムマシンの。世間がどう言ってたっていいじゃないですか。課題はクリアするもんでしょ」

「そうは言ってもねえ…………」


「(略)机上の空論を掲げ、膨大な時間と莫大な予算を費やし、彼女らはようやく人間を殺す欠陥品、すなわちギロチンを一台だけ作り出したのだ」

(奥村文雄『タイムマシンは作れない』/本の虫文庫)


「周りの言葉に左右されたら、研究員は終わりだ。僕はそう思いますよ」

「まあねえ…………」


「イマドキ小学生だってわかるんですよ、アニメじゃないんだから。科学者ってのも意外とロマンチストだよねえ(笑)」

(テレビ番組『科学の大失敗』より/タレント・柳尾登古弥の言葉)


「大体あいつらの方が間違ってるんだ。外野のくせに知った風な口きいて、それを真に受けて研究室を去ったやつらもそうです!」

「いーじゃん、あの子らの態度も一つの正解よ」


「本人らは至って大真面目、というのがより彼女らを滑稽な存在たらしめている。それを真に受けて悪ノリした我々にも責任はある」

(元研究員兼イツミの部下・早川徹『科学が生んだドン・キホーテ』/葵文庫)


「僕はお二人に最後くらい仲直りして欲しいんですよ、お二人にはそれぞれメチャクチャお世話になりましたし、間違っても喧嘩別れなんて…………」

「ストップ、ストップ! え、フボ君、最後って何、どゆこと」

 男はその反応から、あんなにカグヤの近くにいるイツミがこのことを知らなかったことと、ここまでそれを知らせないでいたカグヤの意図を察したが、すべてはもう遅かった。

 その計画を職員たちは「夢の船」「コロンブス」「遣唐使」など様々に呼称していたが、志願した研究員の名前から「かぐや計画」に落ち着いた。環境がよく似ていることから「第二の地球」と呼ばれるその星で実際に生活できるかを調査するもので、一千光年という距離から志願する者は誰もおらず、長らくお蔵入りとなっていたプロジェクトである。

 研究所に、荒々しい足音が虚しく響いている。所長は最上階の展望台で缶コーヒーを手にしていた。肩で息をするイツミを見るや全てを察した彼は、雨上がりの町を見下ろした。

「なんで私に何の連絡も無いんですか」

 彼は無言で手にしていた缶コーヒーを手渡した。「あったか~い」ものだったそれは、所長の体温ですっかり冷えてしまっていた。

「カグヤ君に口留めされててね」

「中止してください」

「もう計画は進んでる。人類史に残る大きな一歩なんだよ、これは。人にはそれぞれの人生、時間、夢がある。この計画に参加したいと言った時の彼女の声は震えていたが、それと同時に力強かったよ」

 眼下に小さく、宇宙学に大きな貢献をもたらすことになる彼女が歩いている。先に帰った筈の自分を追って早足だった。雲の隙間から日光が、天使からのスポットライトのように彼女を照らしている。


 ○


 帰るなりカグヤは「先に帰ってると思ってたわ」と笑った。いつもと変わらない笑顔を向けて来るのが、妙に怖かった。何故だか「かぐや計画」のことを言及するのを、イツミは躊躇った。

「あはは、部屋行くね」

 自分の声が震えた気がした。そもそも文脈的におかしい気がした。カグヤの顔を見ることなく、彼女は部屋へ駆けこんだ。落ち込むときは決まって、机に突っ伏して石のように動かなくなる。

(なんであんな、普通の顔ができるかな)

 空いた手でつかんだのは、空の写真フレームだった。指に埃が纏わる感覚。同居記念に写真の一つでも残しておこうとかつての彼女が提案したのだが、当の鉄の女が「写真うつり悪いので」と断ってそれきりになっている。

(そんな素振りちっとも見せなかったくせに)

 その厳めしい仇名が接しにくくて「カグっち」と呼び始めても、彼女のポーカーフェイスは変わらなかった。思えば「乙姫」と呼ばれ始めたのはこれからすぐのことだったと、イツミは思った。莫大な予算をつぎ込み、完成したところで悪用されかねないタイムマシンのことを、あるルポライターが「パンドラの箱」と表現したことから「開けてはならぬ箱を持つ女」としてつけられた仇名である。

(暮らしていけねえよ今更一人でさあ。研究だって…………)

 開けた引き出しには、自筆の書類や論文がゴミのように押し込められていた。重大な欠陥が見つかりタイムマシン運用が絶望的となったその日に押し込めてから、そのまま時が止まったようになっている。

 彼女の作ったタイムマシンは、時間移動だけでなく空間移動も可能にする。時間移動だけでは、地球が自転と公転を繰り返し宇宙が膨張をつづける以上、位置のズレが生じてしまい、宇宙空間に放り出されてしまうためである。

 記念すべき試作起動の日、検証用の人体模型を入れたカプセル型の初号機は、本来ならスイッチを入れた十秒後に、研究室に再び現れる筈だった。未来にぶっ飛んだそれは、いつまで待っても現れることはなく、発信機からの応答も圏外であった。どうやら空間移動装置のエラーが原因らしかった。

(…………あーもう)

 イツミは足元の段ボールを蹴飛ばした。中で水の入ったペットボトルが転がる音がした。あれからタイムマシンへの予算はほとんど下りず、生活すらままならなくなった。

 突然のノック音に、反射的に引き出しを閉めた。ドアの向こうから、カグヤの呼ぶ声が聞こえる。

「はーい、夕飯の買い物だよね、行く行く」

 扉を開けると、珍しく思い詰めた表情のカグヤが居た。廊下の壁にもたれたまま、じっとこちらを見つめている。コレ早く見ちゃいましょ、と彼女は自分の借りた映画のディスクを手にしていた。飲み物あるよ、とイツミが段ボールを指差してお道化た。

 小さなソファに腰かけて、流れていく映画に顔を向けていた。子供アニメの映画版で、以前のカグヤは子供っぽい趣味はやめろと画面を見ようともしなかった。

「いつから知ってたのよ」

「今日」

「でしょうねえ、そんな感じしたわ。わかりやすいし」

「あのさあ、コッチは真剣に凹んでるんですけど」

「ちょっと遠くに行くだけじゃない」

「ちょっとのスケールがSFSFなんだよ」

「相談しなかったの、謝るから」

「本当よ。なんでも相談しろって私には言うくせに」

「あは、今朝の諫言状ちゃんと読んでたんだ」

「何そのフランクさ、アンタ地獄の片道切符握ってんのよ?」

「いいわよ別に、身内も未練も無いし」

「私はどうなんのよ」

「レシピのメモ置いとくし、この部屋には住んでていいわ」

「…………そ

 んな私のこと嫌い?」

「何、拗ねてんの」

「うっさい」

「貴方が嫌になったから出て行くわけじゃないのよ。所長がね、協力したらタイムマシン研究の予算考えてくれるって」

「……………………あの狸ジジイ」

「だから向こうに着いた時の通信はね、所長の悪口めいっぱい吹き込んでやろうと思うの」

「…………」

「大丈夫よ、その後にはちゃんと貴方のことも喋るわ」

「あのねえ、片道一千光年あんのよ? あんたが向こうに着いて連絡よこそうったって、地球じゃ何千年も経ってんのよ?」

「そうよ、だから所長にはバレないわ」

「そうじゃなくてさあ、虚しいだけになっちゃうじゃないの」

「だったら————」

 映画はいつの間にかクライマックス。派手な演出や音楽と共に巨大化した敵と戦う主人公たち。

「絶対未来に行って返信頂戴ね、イツミ先輩」

 半年後、コールドスリープされた一人の職員がロケットで旅立った。光速のワープを繰り返し、一千年後に彼女は目的の星に到着する。宇宙空間が鉄の流木を飲み込んでいき、豆粒のようになったその船は、とうとう見えなくなった。

 

 ○


 あの日から誰も立ち入らなかった研究室に、二人の人影があった。イツミとフボ君である。

「本当にいいんスね、室長」

「たりめぇよ。そもそも二号機完成直後に所長ぶん殴って病院送りにしたんだから、もうここにはいられないっていうか」

 蒸気を上げて扉を開いたマシンの中に、イツミは次々と荷物を放り投げた。着替え、歯ブラシ、洗面具、食料、ウラシマウォーター、その他eetctc……

「しかし、改良したとはいえ実験も無しにいきなり本番は…………」

「いいから」

 室長の剣幕に、研究員はすぐに操作盤めがけて走った。

 室長が「第二の地球に行く」と言い出したのは、かぐや計画のすぐ後だった。一千年後の「第二の地球」に行って、カグヤをどうにか探し出し、タイムマシンで連れ帰ってくると言うのだ。

(無茶苦茶すぎんだよなあ。文明があるかも分からない広大な惑星の中でたった一人の人間探すなんて)

 すでに彼女はカプセルの中でスタンバっている。カプセル内のカメラから苛立つ彼女の顔が映された。

「早くやれっての! 私はもう未練ねえのよ今の地球には!」

「それがですね、エンジンがかかんなくて…………」

「なんじゃそら! ミスるにしても、もうちょっと科学的なミスにしなさいよ!」

 慌ててガチャガチャ機械を弄り、スイッチを押すが、やはり機械は動かない。

「やっぱ動きません!」

「おめえ殺すぞ! 死ぬ気で動かせ!」

「だって僕、工学は分野じゃないし…………」

「いいから急いで! 誰かに見られちゃ拙いんだから!」

 スイッチを押す。何も起こらない。

「やっぱりもうちょっと精度を上げてから…………」

「やだ! 今からじゃ何年かかるか分からん! カグっちに会ったときに老けてたくないし!」

 スイッチを押す。何も起こらない。

 スイッチを押す。やはり何も起こらない。

「やっぱ…………」

「フボ君よお! お前はさっきから聞いてりゃやっぱやっぱやっぱやっぱやっぱやっぱってよお!」

「いい加減にしてくださいよ! …………あと十回だけ試します、それでダメだったら降りてください」

「そんでどうしろっての」

「諦めてください。飯とか家事とか、僕がやりますから、カグヤさんみたいにはできなくても…………」

「…………え、何それ」

「付き合ってください」

「お前バカじゃねえの? 絶対今言うタイミングじゃねえだろそれ、旦那の葬式で未亡人口説いてるようなもんだぞ?」

 スイッチを押す。スイッチを押す。スイッチを押す。スイッチを押す。

「お願いします」

「男は無理」

「ぴょやゃああああああああああああああああああああああん」

「泣き声がきしょい!」

 スイッチを押す。スイッチを押す。スイッチを押す。

「もーそんな泣くなっての、絶対カグっち連れて帰ってくるから。いつもの居酒屋予約しといてよ、一応所長も呼んだげて」

「絶対無理ですよそんなの…………! そもそも第二の地球に行けるかすら分からないのに…………!」

「大丈夫だって、奇跡は起こるよ」

 スイッチを押す。スイッチを押す。

「ウラシマウォーター飲んどいたから」


 スイッチを押した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キリキリてんてこ 備成幸 @bizen-okayama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ