慶長2年2月但馬(その10)
ある日、旅姿の玄蕃と東作は馬に乗り、連れ立って砦を出て行った。
翌朝、捨丸は日課の水汲みに出かけ、そのまま沢の上流まで行ってみた。
呼子は鳴らなかった。
もはや、捨丸に見張りはついてはいない。
『いつでも、この野武士の村から逃げ出せる』
と分かると、捨丸の胸は急に高鳴った。
東作のいない稽古では、十三歳の拾丸にかなう者はいなかった。
夕餉を終えるの待ちかねたように、少女が毎夜離れに忍んできた。
少女の名は静可、十五歳と知った。
腕の中で、愛しい小鳩のように鳴く静香を組み敷き、時間をかけて愛撫してからだの奥の熾火がゆるやかに燃え上がるのを、捨丸は楽しんだ。
やがて、静可はいやいやと首を振りながらも、みずから腰を突き上げる。
・・・五日後、玄蕃はひとりでもどって来た。
翌日、真新しい緋色の陣羽織と、柄に黄金をちりばめた太刀を誇らしげに見せながら、玄蕃は腕組みして稽古を見守っていた。
やがて、笑みを浮かべた玄蕃は、
「砦の中でいいものを見せてやろう」
と捨丸を誘った。
砦に足を踏み入れると、野武士たちが襲いかかり、捨丸はたちまち縛り上げられた。
引き立てられた大広間では、静可がやはり後ろ手に縛られて転がっていた。
「静可を生娘として高く売ろうとしたが、もはやそれもかなわなくなった」
玄蕃は、捨丸の尻を裸に剥き、刀の柄を秘門に突き入れた。
からだが二つに裂けるほどの激痛が走った。
目はらんらんと輝き、歪んだ唇を舌先でなめる玄蕃は、もはやひとではなかった。
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