5. refrain

 住職と死体のやり取りをするのは、何もこれが初めてのことではない。

 早い話が、僕は闇医者で、住職は死体ブローカー。

 新鮮な死体なんていくつあっても足りないし、住職は腐っても住職、その職業柄、由縁も知れない死体が毎日腐るほど集まってくる。

 どうせ燃やすだけの肉塊なら、リサイクルした方がいい。どうせ世紀末なのだから、使えるものはなんでも使え――まさに、腐れ坊主が考えそうなことだ。

「しかし……新年早々、三十体分も手に入るなんて。幸先がいいな」

 届いたら、早速解体に取り掛かろう。

 その前にまず、ゆっくりと寝正月を堪能しなければ。 


 そして一月一日から一月二日にかけて、泥のように眠った。久しぶりに深く眠ったせいか、奥底に埋もれていた記憶が鮮やかに再現されてしまった。

 もう何度も同じ夢を見ている。何度も何度も繰り返し上映される悪夢だと、とうの昔に思い知らされている。にも関わらず、その夢と遭遇するたびに、じっくりと魅せられることになる。


 もしかすると、期待しているのかもしれない。

 なにか特別なことが起こるかもしれないと、思いたいのかもしれない――いや。


 そこに何かがあると、信じたいのだ。


 


 


 


 

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