第13話 まちあわせ
そこで俺はデスクに置いていたスマートフォンの画面を開ける。メールボックスには今朝、奏真緒から届いていたメールが一通。
俺は再びそのメッセージを見て興味深くなってきた。なぜ俺が連絡先を知っているのか。
交換したのだろうか。考えれば考えるほど不思議な気分になってくる。
俺はそのメールに興味がわき、返信した。
『久しぶり。普通に過ごしてるよ。そっちこそ元気?』
あっさりとした返信をした。そのまま仕事に戻ると、十二時を過ぎた頃、そろそろ昼食に行こうかと思った時、ブルっとスマートフォンが震えた。
そのまま画面を開くとメールが一見届いていた。
『元気元気! ねぇ久しぶりに話さない? ごはんとか』
昔から話していたような内容に驚いてしまう。向こうも昼休憩だと決めつけて、すぐに返信を打ち込む。
『いいよ、俺も聞きたいこととかあったから』
そう返信すると向こうも昼休憩なのか、すぐに返信がきた。
『だったら急だけど、今日とかどう?』
本当に急な誘いに俺は一瞬戸惑った。それでも聞きたいことがある。少し時間をおいてから返信した。
『いいよ。駅前でどうかな?』
仕事を終えると、俺は一人片付けて退社した。
向かう先は二駅先の繁華街。飲み屋が多い駅だ。そこは若者からサラリーマンまで幅広い年齢層が集う飲み屋街ともいえる場所だ。少しチープな居酒屋から高級レストランまで幅広い飲食店が並んでいる。
たまにこの駅に来るのだが、平日だろうが土日だろうが変わらず人がいる。
こんな人ごみの中会えるのだろうかと思いながらも駅前の広場の方へ行く。そこは待ち合わせのために作られたような時計台があり、その下には人を待つ姿がちらほらとある。
時計台の下で待つ人の顔を確認しながら、ゆっくりと近づいていく。十年も経っているのだから、顔が変わっているかもしれない。一人緊迫した雰囲気になりながら、時計台へと近づいていくと、後ろから肩をたたかれた。
一瞬にして張っていた緊張の糸が切れた。その勢いか、全身が驚いて震える。
反応して振り向くとそこにはモデルのようなスタイルをした女性が立っていた。それもそこまで派手ではないが身長はほとんど俺と変わらない。
「久しぶりだね」
その言葉で俺が待ち合わせしていた人物だと分かった。高校時代とは変わっていて、わからなかったが、所々面影がある。もともと綺麗な人ではあったがそれに大人の魅力というものが加わり、美人な女性となっていた。
「あ、あぁ、お久しぶりです」
緊張のあまり目上の人のように話してしまう。同級生のはずなのに。
「なんで敬語? 同い年なのに」
笑った顔もきれいだ。その笑顔に見とれていると、
「こんなとこだと何だし、お店行こっか。予約してあるから」
そう言って再びニコッと笑った。
その時、左手で髪をかいた仕草に反応してしまった。薬指には銀に光る指輪がつけられていた。
「あぁ、うん」
ちーちゃんに憧れて こいこい @almisael16
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