出会い
「全然終わらない……!」
ひとまずは生活スペースの
とりわけエクトに強い
エクトはこの灯台でほとんど
灯台の周囲はぐるりと
外に出ていいのは週に一度だけ。兵士の
そんなエクトの心と生活の支えは、灯台から見える空や海の景色を絵に描くことなのだ。
絵を描いている間は、心は全てから解放されたように自由で、ひたすら
そうして描き上がった絵は、港街の
エクトをここに閉じ込めた、
その絵を描くために、食事も節約して少しずつ少しずつ、ようやくの想いで買い集めた絵の具たち。
それが今、
「また、集めなきゃなあ」
ボソリとつぶやいたその時だった。
「何を集めるんだ?」
「うわあ!」
エクトは
積み重ねたばかりの、
ようやく体制を整えて後ろを振り向くと、入り口に、昨夜ナイルスが背中に乗せていた少年が立っていた。
確か、名前はソルだと、ナイルスが言っていた。
「大丈夫か? 急に声かけてごめんな」
ソルはそう言うと、しゃがんで自分の足元に飛んできたエクトのスケッチを
「あっ! それは……」
「へえ! これ、アンタが描いたのか? すごいな!」
ソルは心から感心したような声で言った。
エクトは、自分の顔がかあっと熱くなるのを
「いや、そんな……あの、僕は、
「ほんとすごいよ、この海の色とかさ、すごくきれいだ! 俺、さっき生まれて初めて海を見たんだ。本物もすごく感動したけど、この絵も本当にきれいだ」
「あ……」
目を
「ありがとう」
かすれた声で礼を言ったエクトに、ソルは歯を見せてニカッと笑い返した。
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