相棒 続く者たち

土蛇 尚

相棒


「なぁ平成くん。」


 中年というには、まだ若わかしさを残した男が言う。


「何ですか?昭和さん。」


 そう答える男はまだ学生のようにも見える。


「もうすぐ平成が終わるよ。君も昔の人間になっちゃうね」

 世間はいよいよ改元が迫っているそんな時期。この台詞がよほど言いたかったのか心底嬉しそうである。


「あぁ〜昭和さんマジでそういうのオヤジぽいですよ。若さへの嫉妬ですか。あぁ やだやだ」


「そうじゃないんだよ平成くん。俺はな。自分が爺さんになって下の奴がオッさんになって、また新しい若い奴が出てくる。そう言う連なりって言うのかな。その中に自分がいる事がたまらなく嬉しいんだ」


「よくわかんないっすね。でも昭和さんにはいつもお世話になってます」

 意表を突かれたのか昭和さんは少し目を開く。


「なんだい。今日はやけに素直じゃないか?奢るなら天丼までだぞ」

 頭をぽりぽりと掻きながら昭和さんは、はにかむ。


「そんなのいいですから、これからも色んな事、教えて下さいよ。昭和さん」


「ああ勿論さ。仕事を覚えて早く俺を楽にさせてくれよ」


「やぁ〜そいつは無理な話ですよ。僕が仕事を覚えたらそれを下の奴に着いて教えないといけない訳じゃないですか。だからそのカバーを昭和さんがやるんです。」


「ハハハ そいつは困ったな。(それで良い。それでいいんだよ)」


百姓昭明、協和萬邦


内平外成、地平天成


___________________


「令和さん、ちょっと来てくれる?」


「何ですか?平成さん」


終わり

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相棒 続く者たち 土蛇 尚 @tutihebi_nao

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