第8話

「いやあ、うちの可愛い子がごめんねぇ」


朝の教室でミワが屈託なく笑う。


「うちの子言うな! もうなに、あれ。本当になんなの。もう俺のモノでよくない? ってか、俺のモノだから!!」

「うん、だいぶ壊れてるね」

「ハヤトめ、壊れてる言うな。ミワ、お前の仕業なんだろ。仕込みがえげつない! 男子高校生の純な心を弄んで楽しいか?!」

「いや、トウタはあんまり純じゃないよね。どピンクだよね。それに、アオイにはやりたいようにやれとしか言ってないんだけど。何されたわけ?」


ミワが首を捻っているが、誰が詳細など教えるものか!

いや、あれが彼女の考えなら何も問題はない。相手の合意がもらえたのだから、後は真っ直ぐ突き進むだけだ。

図らずも今日は金曜日。明日は休みだ。


万全に備えてヤるしかない。


「昨日、車にひかれて救急車で病院に運ばれたって聞いたから心配してたけど、なんだか思わぬ方向にぶっ飛んでてびっくりしたよ」

「ふふん、俺はもう過去の俺ではない。新しい俺なのだ!」

「いや、意味わかんないから。頭打ってないって嘘じゃないの?」

「ミワ、そっとしておこう。きっと長年の苦しみから解放されてハイになってるだけだから」

「うん、なるほど」


生暖かい目を向けてくるバカップルも今日は寛容に許せる。何故なら、今日から自分も幼馴染みとハッピーライフを過ごすのだから。


だが、トウタはアオイに近づきすぎると強烈な香りに意識を失ってしまうほど興奮してしまうことをまだ知らない。

彼の苦悩はまだまた続く―――。


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perfume?/perfume!/perfume!? マルコフ。 @markoh

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