第8話

眩しさと共にやってきた地上。


ちょっとだけ心配していたが、日光にあたっても大丈夫なようだ。


しかし、たくさんの人がいるなと思ったが、ほぼ全員の持っているものが鍬や鎌ってどう言うことよ。


農民って感じがするし、ダンジョン攻略に来た冒険者とかじゃないの??



とりあえず、聞いてみるか。


「あのー、すみません。」


思ったより良い声が出た。

きっとおそらくたぶんイケメンに違いない。

知らんけど。


いや、しかし反応がない。

さっきの姿勢から微動だにしてないぞ。


人形だったりするのか?


「あんちゃんは人間か?」

あっ、返事が来たけど、どゆこと?

俺ってまさか人間の見た目じゃない?


「ちゃんとヒトだと思うんですけど、何か変ですか?」


「いんや、こ綺麗なあんちゃんが出てきてびっくりしただけだな。さっき、いきなりこの塔が光り始めてな。急いで、武器になるもん持って来たんよ。」


あー、なるほど。

俺が出てくるとき、そんな風になってたのか。

それにしても、ぼろっちいな。

服も持ってる物もなんか…、うん。


ダンジョン周りの栄えてる街とか言うのは無いのか?


「あのー、来たばかりで何も分かんないんですけど、冒険者ギルドって何処にありますか?」


「冒険者ギルド?なんだそれは?」


おーう、まじか。

そういうオチか。


う、うーん…

困った。


魔物とかどうしてるんだ?

聞いてみないとわからん。


とりあえず、村っぽいとこに案内してもらおうかな。



「この村って宿屋とかあったら数日泊まらせて欲しい。聞きたいこともあるし。」


「お、おう。商人用の宿なら空いとるで。

ワシはヤーコブっちゅうんだ。兄ちゃんはなんで名前なんだ?」


「あぁ、俺はヴァーミリオンだ。よろしく。」



ちょっと予想外だが、俺の異世界生活が始まるぜ。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時はすでに10時を回った頃だろう。

場所は宿。

食堂で飯を食べさせてもらっている。


「この村は魔物とか出たらどうしてるんだ?」


「魔物というと、異形の動物みたいなもんか?」


魔物って名前まで広がってないのか…

それもそのはず、10年くらい前から出始めたかららしい。

これは骨が折れる作業だ。


「あ、あぁ。まぁ、そいつらで間違いないはずだ。」


思えば、俺、ダンジョン内のモンスターしか見たことないわ。

地上も同じような奴なのかわからん。


「あいつらが出たら、村の若い衆に任せるしか無いんだ。最近物騒なもんで、お陰で、商人は前依頼した武器を持って来たきり、来なくなったわ。」


え、えぇー。俺の移動手段が…

ここでは詳しい話とか聞けそうに無いし、王都とか行きたいんだけどなぁ。


「ここはなんて国の村なんだ?」


「ここはスティクス王国のハレー村だよ」


「ハレー?」


「なんだ、あんちゃん。そこから出て来たのにハレー様を知らんだか?」


いや、誰かは知ってるけど、ここは聞き返す流れだろうが!


「あ、あぁ。よく知らないんだ。教えてほしい。」


「んだ。ハレー様は300年前に実在した龍王様のお妃様だ。龍王様が病死された後、ある神と配下を引き連れて戦争を起こしたんだ。それもあってか、神に背く愚か者のレッテルを貼られてるけど、なんか違和感があるんだな。」


ほーん。そんな風になってるのか。

いや、初めて聞いたけどね。


ある神ってのが、レードルンドってやつか。


俺、よくわからん嫉妬されてるけど、なんで名前に神とかついてないんだ?


考えてもわからんな。


それにしても、こいつあの話に違和感感じてくれてるのか。

性格悪そうな奴のことだ。

事実をねじ曲げててもおかしくないからな。


ヤーコブ良い奴じゃないか!



さっさと殺してやるからな。

待ってろよ、レードルンド。


まずは、王都に行って冒険者ギルド探しだ!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ミイラから始まるドラゴンの異世界生活 @hirunetakusan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ