第24話 シスターソニア
「お待ちしておりましたセルシ隊の皆様、こちらへお越し下さいませ。」
教会は小振りでいかにも村の教会と言う感じなのだが、中は整理が行き届きとても神聖な雰囲気が漂う場所となっていた、そしてアスラ神様の像の前に跪くと…
「来たの使徒セルシ隊よ、コルセアの鏡盾を今日は用意した故受け取って欲しい。三姉妹をこの鏡盾に同時に映す必要が有るが映しさえすれば呪詛も判明し同時に解呪も発動する様になっておる。頼むぞセルシ隊よ、三姉妹さえ解呪してしまえば従者らの呪詛も解けるじゃろう、速やかに数を確認し保護して貰いたい。」
「アスラ神様、コルセア様の鏡盾存分に使わせて頂きます。」
「うむ。村には結界を張っておく故、安心して向かうがよい。まぁ隊を分けたようじゃが村人の安心の為には良い選択じゃったようだの。」
「ありがとうございますアスラ神様。この先も我らをお導き下さいませ。」
「コルセアはゴーゴン山にて待つそうじゃなるべく従者らを三姉妹の側に集め置くよう伝えてある故頼むぞセルシ隊。」
「おぉう任せろアスラ神様!」
「あの元気は村の安心に少なからず貢献しておるようだの。フォフォフォ」
「まぁ元気と体力が取り柄だからな」
「それだけがの間違いじゃないっすか?」
「っんだとヒロ」
「まぁまぁトラさんもヒロも落ち着いて。アスラ神様、僕の従魔のマルです、お陰様で仲間に出来ましたコルセア様には感謝をお伝え下さいませ。」
「セーリアかの、平和の象徴セーリアかウーン…よしっセルシ隊よそなたらに隊の旗印を授けようぞ、これじゃ」
そこには二羽のセーリアが一輪の花に向かい合っている姿が描かれた旗であった。
「凄いっす!しかもめちゃくちゃ格好いいっす。」
「アスラ神様ありがとうございます。マル見てみろこの旗はお前がモチーフなんだぞ。」
「ピューピューピューユ」
「ほうほう、そうかそうか。良かったのう」
「アスラ神様マルは何と言ってるのですか?」
「僕の仲間もいつかきっと見つけて助け出すよ。と言っておるの」
「マル…僕もセーリア達を見つける手伝いするからねマル。一緒に頑張ろうね。」
「ピューピューピュ」
「三姉妹の今後については無事救出した後にコルセア共々交えて話し合うかの。では気をつけて行くんじゃよ。去らばじゃ」
シスターは深々とアスラ神様の像へ跪き感謝の念をのべていた。シスターが長年切り盛りし村人全員で作ってきたこの教会必ずや大きく改築し村人全員が喜ぶ場所にしたいと思うセルシであった。
「これはこれはセルシ隊の皆様もおいででしたか、ソニアよ手紙じゃよアスラ聖国からじゃ。」
「あなたも居て下さいな、今から読み上げますから。」
親愛なるシスターソニア、我らの神であるアスラ神様の使徒様がおいでだと神宣で知ったがあなたのみにそのお役目をさせてしまった事感謝の念に堪えません。ゆくゆくはアスラ聖国においで頂きたいと大司教もおっしゃっておりますが無理強いは致しません。こちらは気長にその時をお待ちしております。どうぞ健康に気をつけてアスラ神様とコルセア様の加護が末長く有らんことを。
シスター長 マーヤ
「宗教国と言うからもっと権威やら権力をゴリ押しして来るのかと思ったが何か爽やかな感じだったな。」
「トラさんはっきり言い過ぎっす…」
「いいんですよ、我らはアスラ神様とコルセア様に日々感謝し生きる民の一人に過ぎません。アスラ神聖国は小さな国で大きな街二つ分程の国です。大司教が国を取りまとめ、各国の教会へシスターを派遣し司教等も派遣しております。私の場合は司教兼シスターですがね。」
「シスターソニア、ゴーゴンの三姉妹の件が落ち着いた後、教会への感謝の証として教会の改修を行いたいと思います。許可願いますか?」
「その様な過分な…本当に宜しいのですか?」
「これはアスラ神様ともお約束していた事でして、私達のアスラ神様への感謝の証でもあるのです。」
「であれば是非にも宜しくお願い致します。早速アスラ神聖国へも手紙にてお伝えします。」
「良かったのソニア、長年教会へ一途に尽くして来た事が報われたの。良かった良かった。」
シスターソニアは涙し旦那さんであるセト村長の背中にしがみつき泣いていた。今まで人には言い尽くせぬ苦労もこの二人にはあった事だろう。報われて本当に良かったと思った。そしてアスラ神聖国も見放さずシスターを励まして居たのだと嬉しくさえ思えた。戦乱続きの世であるが宗教は民に寄り添い共に有るようだと思えた瞬間だった。
「さぁ今度は俺達の番だ、いっちょ気合いを入れてくぜなぁ隊長!」
「そうだな、トラ、ガイル、リアナ留守は頼んだ。リュウ、ヒロ、マル、三姉妹の救出気合い入れてくぞ。」
オゥー!!
ピューピューピュピュー!
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