第21話 敗戦?
「生き残りし兵に告ぐ今すぐ退却し親衛隊の後方まで後退せよ、もう一度告ぐ今すぐ退却し親衛隊の後方まで退却せよ!」
「よし退却だ!親衛隊の後方へ退却する各隊急げぇ」
残存兵は28人程にまで減っていた、だがシタルはよく持ちこたえてくれたと思っていた、そして…
「ネリ!残存兵の後退を確認!攻撃を許可する。全部隊今すぐ耳を塞げ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ガイルおかしくないか?なぜ兵は引いたのだ?」
「彼等とて無駄に兵は失いたくないのかもしれん」
「しかしあの少女と犬はなんとする?」
「少女と犬だと!リアナどこだ!」
「ほれ!あの左後方に立つあれだ!」
「リュウ殿も見える……」
「急いで耳を…!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
突如戦場に犬の遠吠えの何10倍もありそうな大音響が響き渡ったかと思うと辺りは一変した、村は燃え、人も燃え、全てが燃えていた…あまりの光景に言葉を失い絶叫し我を皆失っていた
「リュウ殿ぉ!リュウ殿ぉ死ぬなぁおのれ!火の大魔法など卑怯な、リュウ殿今すぐ火を消すぞ…くそっ!何故だぁ!何故リュウ殿の火が消えないのだぁぁぁあ!!」
「村がぁ 俺達の村がぁ 隊長 ヒロ リュウ ガイル リアナぁ サリぃぃ!!」
「……」
「熱いっす 助けてぇ 隊長ぉ 助けて欲しいっす」
「…落ちつけヒロ!! この火熱くないぞ!」
「隊長…本当に熱くないっす!!」
「これは精神攻撃だな…幻影を見させられたんだよ俺達は」
「皆危険だな特にリアナは…行くか」
「あぁぁぁリュウ殿ぉ!」
「リアナ、大丈夫だよ僕は燃えてないし、無事だよ勿論リアルも村も燃えてない。ほら落ち着いてこうしてリアナを抱き締められるんだから平気だろ」
「…カァァ 平気な訳ないだろ…人前でその様に優しくされたら私は 私は…リュウ殿 リュウ殿大好きだぁ ウワァ……」
戦場に落ち着きが戻った頃目の前に居た敵軍は姿を消していた、まるで今まで存在していなかったかのように…
「くそっ、まさかネリとリンがあそこに居るとは…トラさん落ち着いたかい?」
「…あぁ ガイルよ俺が何を叫んでいても内緒だぞ…」
「大丈夫だ、俺も初めてやられた時は母親の名を叫んださ(笑)」
「しかしどこに消えたんだ帝国の奴らは?」
「あれは集団転移の魔道具だ、超高額な上に一度しか使えん消耗品であれ1つで小さな町丸ごと買える程の値段だそうだ、まぁだから暫くはここいらには奴らは来ないだろうな」
それからセルシ隊は集合し戦場で倒れた兵達を埋葬し弔っていた。それと背中から出血し負傷していた数名の兵達もシスターにより回復の魔法を施してもらっていた、命の助かった兵達は涙を流しシスターにすがり泣いていた。
それから数日後…
「俺達には戦略的見直しが必要だ。精神攻撃や麻痺、毒などの対処が無防備な程何もない状態では今後戦う事は困難を極める。よってそれを防具や装飾品で補う、偶然だがトラの知り合いのセリ殿の実家が鍛冶屋なのだ。相談し、隊の防御力の底上げをする。トラ鍛冶屋のセリ殿の父上との先駆け交渉は頼んだぞ」
「お おれが?!セリさんの父上と?」
「アレレレ どうしたっすか?まさかドキドキしてるっすか?」
「う うるさいヒロ黙れ!」
「しかしリュウは精神異常耐性があったのは修行はやはり辛い事も多いのか?」
「…はい 特に居合は精神的な安定を求められるので修行はお坊さん以上に大変でしたね…家は宿坊も兼ねていたのでお坊さんとよく修行してましたよ子供の頃は(笑)」
「凄まじいものだ…しかし我らにはそれがないからな」
「でも隊長は精神攻撃あまり効いてなかったっすよね?」
「いや俺は幻影にはかかっていた、我を無くす程ではないにしろ隊長として幻に騙される訳にはいかないからな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます