第16話 リュウとリアナ
「よし!みんなご苦労様、掘り割りはこんなもんだろう。」
「トラさんの土魔法で圧倒的早さだな。後は堀に水を放つだけだぜ!」
「まぁな神様には感謝だな、これを人手でやったら何年掛かることやら。」
「よし!今日は堀の完成祝いだ、村長豪勢にやろうや!」
「そうだの、肉はリュウさんとリアナにお任せしたから飛びきりの上物が期待出来るぞ。酒も今日は無礼講じゃ飲め飲め。」
「やったぜ!久しぶりの酒だ!トラさん一緒に飲み明かすぞ!」
「おぉー!大工のトラ組今日は飲み明かすぞ!!」
そんな喜びの中森の中では…
「リュウ殿、この辺りは魔獣も弱い、その何だ…手を…手をだなつな 繋いでだな…」
「リアナまぁ何だ、今は特別だぞ、皆の前では繋がないのだからな!」
「あ 当たり前だ! このリアナ人前で手など繋いでなるものか!」
リアナは顔を仄かに赤くし、リュウもまた恥ずかし気に共に手を取り歩くのだった。
そして暫くした時…
「リアナあれは何だか分かるか?」
「…リンドブルムだな、ワイバーンよりは弱いがそれでも竜種は注意が必要だ。」
それは二枚の多きな翼と左右四本の手足を持つ大きなトカゲであった。3~4mはありそうである。
「因みに食えるのか?」
「あれは不味くて食えん。ただ皮や爪、血や内臓は武具やら薬品となるので商人は欲しがるぞ。」
「よし、なら狩って行こうか。」
「よしきた。初めての共同作業と言う奴だな。」
「…恥ずかしくいのかよ!リアナは」
「私はリュウ殿が大好きだからな、何も恥じる事などない。」
圧倒的な心意気でリアナはリュウを凌駕していた。そんなリアナをいつしかリュウも愛おしく感じ初めていたのだった。
「行くぞリアナ、前後から叩く、飛び上がる前に叩き落とすぞ。」
「任せろ、リャャァー!」
ズガァーン!
「ハァァーッ!!」
キィーン!
リアナがリンドブルムの後ろより後頭部に重い一撃を与えた後、リュウの一閃が完全にリンドブルムの命を刈り取っていた。
「しかしその居合術と言うのはめちゃくちゃだな、間合いも何もかも全く見えん。」
「これは修行あるのみ、俺もかなり師匠には鍛えられたさ。師範代を貰ったのも何年か前だからな、それくらい難しいんだよ居合ってのはさ」
「まぁ何にしろリュウが強いってのは私も鼻が高いよハハハハッ、だがリュウ殿未だ食える獲物は得られてはおらぬぞ…」
「…リンドブルムは丸ごとガイルから借りたこのマジックバックに入れておこうそれっ。猪や熊でもいればなぁ」
「ピィピィピィィ」
マルが何やら鳴いて飛び立ったかと思うとある地点で上空をクルクルと周っていたのだった。
「むっ?!あれは何かを知らせておるのではないか?リュウ殿」
「行ってみようリアナ!」
マルが旋回していた場所には巨大な蛇がトグロを巻いていた。
「あれはマードックスネルと言う猛毒の大蛇で長期戦は命取りになるぞリュウ殿」
「ならば任せてくれ!」
気配を殺し辺りを静寂が包んだその一瞬!!
ズザッ!
大蛇の頭は地面へと落ちていたのだった。
「…めちゃくちゃだ、そんな簡単に倒せる代物じゃないのに…」
「簡単じゃないさ、今のは明鏡止水と言って心を無にし、完全なる静寂が訪れるその刹那を狙う居合だ、居合でも最高峰に位置するんだぞ」
「まぁお陰でご馳走は手に入ったなリュウ殿」
「この蛇食えるのか?」
「あぁー最高に旨いぞ!毒袋さえ取り除けば後は美食家が幾らでも金を出す肉になるのだ。」
「そりゃ楽しみだ!リアナそろそろ帰るか!」
「そうだな、な ならば そ そのあれだ、手をだな 繋いで 帰りたい…」
「分かったよ!特別だからなリアナ」
「そうだ!これは特別なのだ、特別だから仕方ないのだ!」
なんだかんだと仲睦まじいリュウとリアナであった。
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