第12話 作戦開始

休息を挟み我らセルシ隊は更に村へ向け歩き続けていた。リュウが仲間にした小鳥のマルも元気になり今では空を飛べるまでになっていた。


「しかしマルは飛べるのにリュウの肩の上に乗ってる時間の方が長かないか?」


「キュュキュュ キキキ…」


まるで抗議するかのようにトラへと鳴くのであった。


「すまねぇ すまねぇ 怒るなよマル。」


それから数日歩き、更にかれこれ一週間程も歩いた頃…


「ところで隊長そろそろ着く頃だと思うんですが…何か燃えてるようなキナ臭い感じしませんか?」


「確かに、これは木が燻って燃えてる臭いだな、まさか?!」


「隊長俺見てきます、斥候なら任せて欲しいっす」


「頼むヒロ。ガイル、トラ、リュウ一応戦闘準備だ。」


森林火災とは違う家が燃えているかの様な臭いにセルシ隊は緊張を深めていた。そして…


「隊長遅くなりました、ヤバいっすよこの先の村に20人程の兵士達がいて乱取りの真っ最中っす。」


「何だと!乱取り?隊長急ごうヤバいぞ」


「よしっ、村に入り次第戦闘開始だ皆、隊列を崩すなよ数的に向さんが有利だ、数は相対力で勝てる。行くぞ!」


村へ駆け出したセルシ隊だが村は既に家屋へ進入し盗みを働く者、村の女性を押し倒し乱暴を働く者、子供を集め奴隷として売ろうとする者などで地獄と化していた。


「クソッ野郎が、死ねっ!」


トラが雷を纏った拳を女性に乱暴していた兵士の背中に振り下ろすとズボッ!と兵士の背中には穴があき、いとも容易く兵士は絶命していた。


「キャー 来ないで」


「大丈夫だ俺達はガイルと共にこの村へ来たセルシ隊と言うもんだ。お嬢さん大丈夫かい?もう大丈夫だからな」


「本当に…ガイル様がお帰りに…ありがとうございます…助かったんだわ…ウゥゥゥッ…」


「トラはこの辺りで警戒していてくれ、ガイルとヒロはこの先の馬鹿どもを殺して来てくれ。」


「はいっ」


「マル、あの女性の側にいて上げてくれないか?僕は仕事に行ってくるからね。」


「キュュ!!」


「あのーこの小鳥僕の仲間なんたけどすいませんが預かって頂けますか?」


「私で良いのかしら?」


「是非お願いします、大人しい小鳥でマルと言います。」


「宜しくねマルちゃん」


「キュュ、キュュ」


リュウは女性にマルを託しセルシと行動していた。その最中にも異常にやっと気がついた兵士達がセルシ達に襲いかかって来たがセルシの弓に頭を撃ち抜かれ即死していた。


「隊長…怒ってます?」


「乱取りは許さない。生かす価値もない。」


セルシはいつになく激怒していたが冷静さは失っていなかった、ただそれが普段からのギャップで恐ろしさを増していた。


「ガイル後ろ!」


「死ねぇ、格好つけの傭兵崩れが!」 


「ズシャ! うるさい奴は嫌いだ!」


ガイルは大剣を振り抜くと男の左肩から右腹までキレイに無くなっていた。


「ヒロありがとよ」


「いいっすよ、まだまだ馬鹿が居ますから気を抜いちゃ駄目っすよ」


「おーよ!」


「トラさんと仰いましたわよね」


「ん?俺か?そうだ俺はトラってんだ宜しく頼むぜ、この辺りもあらかた片付いたな。」


「お願いがございます。子供達が捕らえられております、是非お助け下さいまし。」


「大丈夫だぜ、その報告は聞いてる。隊長からの知らせがあり次第集合だからよ」


「ならば少しだけ少しだけでよいので側に居て下さいまし…」


「…おぅ…そ そりゃか…構わねぇぜ」


「ありがとうございます。」


戦闘以上に緊張するトラをみでキュュキュュと笑っているマルなのであった。



=敵兵士視点=


「大変です隊長!傭兵崩れ達が村の救援に来ました。」


「何人だ?」


「5人です。なかなか腕の立つ者の様です」


「馬鹿かお前は、20人から居る我らが高々5人の傭兵崩れに負ける訳無かろう。捨て置け俺は今忙しいんだ」


「しかし隊長…」


「うるさい!そんなに心配ならお前が行って始末してこい」


…駄目だこんな僻地で死ぬのは御免だ取るもの取って俺は帝都へ帰るんだ。


ボスッッ!


セルシの弓はそんな兵士の命を刈り取って行くのだった。




「リュウあれだ、あの馬車の上の牢に子供達が居るぞ。俺はここで見張っている、リュウはヒロ、ガイル、トラの戦況を確認しながら合図を。」


「分かりました。」


リュウはヒロとガイルの場所へ向かうと殆どの兵士達を始末した後であった


「ヒロ、ガイル集合だ隊長の元へ急いでくれ。3本の大木の下が集合場所だ。」


「ハイよリュウ、分かったすリュウさん」


リュウはトラの元へ向かうとそこには…


「…トラさん集合です…」


「お おぅ わ 分かったぜ…」


女性に腕を抱き締められ、微動だに動かないトラさんは何故か微笑ましくみえた(笑)


「マルはその女性を頼むよ、何かあったら知らせてねマル」


「キュュ キュュ」


任せておいてぇ と言わんばかりにマルは胸をはり鳴くのだった。


「隊長お待たせを」


「到着したっす」


「…待たせたな」


「全員揃いました隊長」


「よし、今から敵の隊長を捕らえる、殺すなよあ奴からは情報を引き出す。あと子供達が居るからトラ、ガイルは子供達の元へ行け牢は戦闘が終わるまで開けるなよ。牢の周辺で子供達を守れ。ヒロと俺は敵の隊長を無力化する、リュウは村の入口に居るデカブツを頼む。」


そう村の入口には2メートルは有ろうデカい兵士が警戒をしていた。この男は乱取りにも参加せず鋭い目付きで辺りに殺気を振り撒いていた。






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