第9話 火竜の大剣

「話があるんだセルシ…俺を連れて行ってくれないか、俺はもう逃げねぇ頼む俺を連れて行ってくれ!」


「ふっ今さらだなガイル、お前さんは既にもう仲間だよ、嫌だと言っても連れて行くつもりだったさ」


「クッ…すまねぇセルシ隊長…俺は 俺はっ ウゥゥッ…」


「ガイル今は飯だ飯、俺らぁよぉ腹が減ってかなわねぇよ。」


「トラ先輩は腹が減ってない事があるんすか?いつも腹減ってるすよね?」


「うるせぇ、ヒロはもっと食ねぇと大きくなれねぇぞ。」


「ムゥッ!俺は十分大人っす、これでも22歳すからね!」


それから俺達は夕飯を食べガイルの部隊の入隊祝いの席もかね大いに騒ぎ、楽しい夜を過ごしていた。そして明くる日


「リュウ、こいつを宝箱に入れて欲しい。多分この小屋じゃなんも起こらないだろうすまねぇがダンジョンまで頼めるか?」


「なら俺も行こう、トラとヒロは小屋の周囲で狩りをしていてくれ、今日の飯を狩っといて欲しい。」


「おぉー俺向きの仕事だな、ヒロお前足を引っ張るなよ」


「トラ先輩こそ失敗して俺に当たらないで欲しいっすね」


「っんだとコラッ」


「いい加減にしないかお前ら、元気は獲物を狩る時まで取っておけ」


「すいません隊長…」


「まぁなんだヒロ悪かったよ…」


「ハハハハッ 本当に仲のいい部隊だな、傭兵なんてのはもっと殺伐としてるもんだぜ、こんな楽しい部隊初めてだ。」


「さぁ行きますかガイル、セルシ隊長。」


足早にダンジョンへと向かいダンジョン内の入口を少し過ぎた所でガイルはそれを袋より取り出したのだった。


「ガイル?! これはなんなのだ?」


「あぁ こいつは火竜の牙だ!」


「火竜だと?! 倒したのか?」


「いや 貰ったんだ、俺の居た部隊が戦果をあげ傭兵ギルドで表彰された事があってなその時に貰ったんだ、俺は火竜の牙だったが他の奴らは金を貰っていたかな」


「なぜガイルだけ牙なんだ?」


「俺は憧れてたんだ竜って奴にな」


「だから絶対欲しかったんだいつか、だから賞金が出ると聞いた時に頼み込んだんだ、金より竜の牙が欲しいとな」


「呆れた奴だ、金より憧れか。だが嫌いじゃないな俺は。」


「頼むぜリュウ、こいつはその宝箱に入れたら俺の予想じゃ大剣になる。昔の逸話や王室の宝物なんかも竜の牙は大剣にしてある物が多いらしいからな」


「やって見ましょう、じゃあガイルこの中に火竜の牙をお願いします。」


宝箱に火竜の牙を入れると仄かに宝箱は熱をおび初めた、宝箱はだんだんに赤くなり、今にも燃えだして仕舞いそうな程である。


「だ 大丈夫なのかこれ?」


「ガイルさんヤバそうですよ!」


「宝箱なら必ずまたこのダンジョンに現れるはずだ頼む、もう少しこのままで居てくれ。」


そして遂に…


「ワッ! 燃えだして仕舞いましたよどうします?」


「火が収まるまで少し待ってくれ…頼む」


それから数十分後火はやっと収まりはしたが宝箱はボロボロになっていた。


「すまねぇなリュウ 必ず宝箱はまた調達に来るからよ許してくれ。」


「大丈夫ですよ、宝箱の心配ではなく、中の武器が大丈夫かなと思って、そっちの心配してました。あっガイルまだ熱いですよ、気をつけて!」


ガイルは熱々の宝箱を崩し中の物をだすとそこには…


「やっぱな大剣だと思ったぜ!火竜の大剣か!!これで俺は完全復活だぁ!」


「やったなガイル、これからも頼んだぞ。」


「はい隊長お任せを!」


「フッ ガイルさん似合わないなぁ ハハハハッ」


「そうだないつも通りが一番だな ハハハハッ」


「勘弁してくださいよ隊長…」


「さぁ戻り次第これからの予定を立てるぞ、ガイルこの辺りの地形を分かる範囲で教えてくれ、それ如何で今後の行動を決める。」


「分かりました。」


「よし撤退だ!」


「ハッ!」


「ダハハハハッ 見ろよヒロ! この大きな魚を 大層旨いに違いない。お前はどうだ?なんか取れたか?」


「…兎が取れたっすけど…兎ってこんなデカいすか?!」


「どれ見せてみろ ハァッ?なんだこの大きさ?!まるで豚じゃねぇか信じらんねぇ大きさだな。」


今日もご飯には困らないセルシ隊であった。






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