第7話 白の鎧と黒の盾

「ムカデ丸ごと入れるぞ!」


「そろそろ開けてもいいですかねガイルさん?」


「分からんが取り敢えず開けてみよう。」


リュウが宝箱を開くとそこには!


「ナイフより少し大きめ?しかも2本あるな?!」


「双剣か!?」


「双剣?俺向きじゃないすかこの双剣てやつは!」


ヒロは喜んで双剣を構えたり素振りしたりしていた。そして…


「なんか宝箱さっきよりボロくなってないですか?」


「確かにさっきより古めかしくなったな」


リュウが宝箱に触れると宝箱はガラガラっと壊れてしまったのだった。


「どうやら魔獣を入れるにも耐用回数が有るみたいだな」


「ダンジョンとは不思議なものだ!」


「…リュウさん後でこのもう1つの宝箱に入れて欲しい物があるんだがいいか」


「ガイルさんいいですが今じゃなくていいんですか?」


「あぁ今ここにはないから小屋に戻ってからお願いしたい」


「分かりました、この宝箱ガイルさんのマジックバックに入れておいて下さい」


「分かった!」


「よし!今はダンジョンの探索を再開しよう。ヒロ頼むぞその双剣は今度こそお前の物だ。しっかりと探索頼むぞ」


「やったぁリュウさん有り難うございます。凄い馴染むんすよねこの双剣。ムカデだったとは思えないっすよ」


ダンジョンの探索を再開したセルシ達は再び奥へと歩を進めていた。暫く行くと下への階段があり地下へと進むのだった。


「このくらいなら俺だけで平気すよ。オリャッ!」


ヒロが小型の角の生えたネズミを狩り進んで行くとカタカタと何かが集団で近づいて来たのだった。


「隊長!人型の魔獣?が集団で接近中!その数6体」


「おぃおぃ、ありゃスケルトンだ。気をつけろよ1体1体は弱いが集団となると必ずリーダーのスケルトンナイトが居るはずだ、頭を狙うんだ、セルシ弓で頭を狙え」


「よし聞いたな、ヒロ、トラ、リュウガイルでスケルトンの部隊を殲滅、俺はスケルトンナイトの頭を狙う。」



ヒロ、トラ、リュウ、ガイルはスケルトンへと猛攻を仕掛け、トラに至っては名誉挽回とばかりに戦斧でスケルトンを殴り付けていた。


「オリャャー、邪魔だ邪魔だ。」


ゴリッ、バコォーン!!ババラバラ…


「死にたい奴からこっちに来いやぁ」


「トラさん1人2体計算すよ、もう3体目すよそれっ!ザシュッ!」


「関係ねぇよ、倒したもん勝ちだ!」


リュウとガイルが1体ずつ倒しヒロも双剣でスケルトンの首をはねていた。トラは1人で3体を仕留めていた。


「皆にいい顔ばかりはさせんよ!俺の弓をみてみろ、ウォォォオ」


弦を限界まで引き絞り一緒にあった矢でスケルトンナイトの頭部を狙うと、矢が光をおびはじめそして…


キュィーン!


ドンッ!!!


バキッ!!


ボロボロホロ…


「なんすか?今の?!」


「放った矢がセルシ隊長の手元に戻ってるっす!」


「魔法弓か?!凄まじい威力だな」


「隊長!凄いですね」


「…俺が一番驚いたよ…」


「まぁ異世界だから隊長も予想外な事はありますよ…ハハハハ…」


スケルトンナイトは剣を落としていた。極希に魔獣などは死ぬと武具やらアイテムを落とすのだとガイルは教えてくれた。


「守護の白剣 名を持った剣とは珍しい物だ。」


「リュウお前が使え!剣はお前さんの本分だろ。」


「有り難うございます隊長。」


「よし階段降りて地下2階へ行こうか!」


途中角ネズミやらスケルトン1体やら出てきたが各個撃退していた。2階層も終盤と言う頃目の前に扉があったのだった。


「この洞窟のダンジョンの主の部屋だな!」


「意外と浅いダンジョンなんだな、もっと深いと思ったが」


「多分出来て間もないダンジョンなんだろう。この地に大きな魔力が働いたか何かで本来ただの洞窟だったのがダンジョンになったんだろ、あんたらが来た場所だしな、大きな魔力が働いても不思議はないがな」


「俺達のせいでダンジョン化したのか、じゃあここは俺達のダンジョンンっすね。」


「ヒロはホント調子いいな全く」


「いやでも間違いでもないさ、ここはあんたらのダンジョンで違いないさ、何せ第一発見者だからな」


「ダンジョンって奴は第一発見者の所有になるんだ。それに証人が本来必要なんだが俺が証人と来てる。動かしようのない事実だ。」


「ならば完全制覇と行きますか!ガイル有り難うな最後まで付き合ってくれよ!」


「任せろ!セルシ、リュウ、トラ、ヒロ最後だ気合い入れろよっ!」


「オォォォ!」


古びた巨大な扉を開くとそこには白い鎧の剣士と黒い鎧の剣士が居た。


「リビングアーマーだ!気をつけろ!奴らの剣術は本物だ!」


ガーーン!と白と黒の剣士が互いの剣を合わせると2体の鎧は左右へ展開し俺達を両翼から挟み撃ちにしたのだった。


「ガイルとトラは左の白いのをヒロとリュウは右の黒いのを頼む、俺は弓で後方より2体へ連続斉射する、死ぬなよ。」


ガイルとトラはまさにゴリ押しであった、白い鎧へトラが戦斧を叩き込むと同時にガイルが剣で鎧と兜の間に剣を叩き込む。そしてその最中にセルシが弓を連続で斉射していた。


一方リュウとヒロの黒の剣士への対応は変わったものであった。


「リュウさんちょっと考えが有りますから少し攻撃を待って下さい。」


ヒロはリビングアーマーへ駆け出していた、黒のリビングアーマーは剣でヒロへ攻撃していたがその隙をつき驚いた事にリビングアーマーの左右の腕と鎧の隙間へダガーナイフを差し込んでいた。


「どうすっか!これで腕は自由に動かないっすよ。」


「ヒロの戦法は奇想天外だな…しかし当たり前にとらわれないヒロだからこその戦法か、見習わなければな」


それと時を同じくしてガイル、トラの方もけりが付きそうであった。


「ガイル同時に行くぜぇ!!

せぇーのぉ ドガァーーン!!」


白のリビングアーマーは頭が潰れ鎧の中へと兜がめり込んでいた。腹部の鎧も凹んでおり2人の強さが目立った戦いとなっていた。


「隊長ォー有り難うございます、こっちは大丈夫です。ヒロとリュウの方は…もう終わってるようだな…」


黒のリビングアーマーは腕が動かせずにセルシの一方的な弓の連続斉射とヒロとリュウによる頭部への攻撃でこちらもそうそうに撃退していたのだった。


「隊長の弓の攻撃のお陰でかなり助かりました有り難うございます。」


「これは皆の力の勝利だ、勝鬨を挙げるかぁー。エイエイオー!!」


ガイルは思っていた、いつの間にか心地よく感じているこのセルシの部隊の仲間達…俺は再び独り森の中で生きて行くのか、セルシ達が森より去ったら俺は生きて行けるのか…


「何辛気臭い顔してんだよガイル、俺達の勝利だもっと喜べよ。」


ガイルは今は共に喜ぼうと頭を切り替えていた。後の事は後で考えようとアレを宝箱に入れたら俺の予想が正しければアレが出来るはずなんだ。


「ガイルあれなんだ?宝箱じゃなく何か布が被った物と巻き物みたいなのがあるぞ」


「布?何だろうか?」


トラが隊長へ布を取る許可を此度はとり布を取るとそこには黒い盾と白い鎧一式があったのだった。


「武器ダンジョンでも防具は出るんだな…」


「まぁ宝箱は武器でも魔獣からはそれぞれ違うアイテムやら武具が落ちるようだぞ」


「仕方ない今は片付けよう、リビングアーマーの凹んだ鎧は取り敢えずガイルのマジックバック行きだな、その盾と鎧一式もすまんがガイル預かってくれ。巻物も…すまん預かって欲しい」


「そんな気後れするこたぁない、分かっていて持ってきたんだ。任せろよ隊長さん!」


洞窟の入口へと帰ってきたセルシ達は初めての異世界ダンジョンの事についてあれやこれやと話を弾ませていた。そしてガイルの家にたどり着いた頃ガイルは何かを決心したような晴れやかな顔をしていた。














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