第12話: それは誰の身勝手な理屈なのか




 ――日本から対談の申し入れが有った。正直、私は……迷った。



 何故なら、『セーフティ』の問題を、私は依然として解決出来ないままであるからだ。いちおう、日本以外はインターフェイスを使用する事で突破だという事は判明しているが……それが日本となると、話が違う。


 何せ、日本だ。私があのタコからの命令である、故郷への帰還。地球に降り立っただけでもアレだけのセーフティ機能が働いたというのに、それが『尾原太吉』の故郷ともなれば……どうなるか。



 そんな理由もあって、私は少しばかり考えた。



 だが、何時までも避けては通れない問題だし、実際に私が日本に降り立った場合、どのような結果になるのか……それは非常に気になるところだ。


 それに、理由はソレだけではない。日本だけ(言うなれば、特定の国だけ)は相手にしないというのは、些か人間たちへの心証が悪くなる恐れがある。


 これは……そう、アレだ。『尾原太吉』の記憶にある、『差別』というやつだ。基本的にするべきではない……そう、記憶されている。非常に、厄介な問題だ。



 何せ、どういった行為が差別に当たるのかが不明なのだから。



 差別は駄目……それが正しい事であるというのは、大多数が共有している認識だ。しかし、記憶を見ても、地上のネットワークから調べても、明確な基準が存在していないのだ。


 言ってしまえば、私が差別だと思えば差別……というやつなのだろうか。


 『差別』とされている行為は国によって異なるようだし、特定の陣営に属していれば差別にはならないようで……かと思ったら、差別ではなかったはずなのに、いきなり差別だと認定される事もある。



 ……正直、わけが分からない……止めよう、今の私には複雑すぎる考えだ。



 とりあえず、差別は良くないモノで、それさえ外さなければ大丈夫……その前提で考えた私は、検証も兼ねる形で様々な対策を取ったうえで対談に応じる事にした。


 ……で、その対策が、だ。


 そう多くは無いが、具体的に何をしたのかって、まずは何と言っても、インターフェイスを使用する事による『セーフティ封じ』である。


 本体である私が直接行くのはリスクが高すぎる。最悪、到着した時点で『目的達成』として判定され、そのままセーフティモードに移行しかねない。


 なので、その為に作ったインターフェイスを使用するのが、これまでのやり方であった。


 だが、しかし、今回の使用地点は『日本』だ。アメリカ等とは、リスクの桁が違う。


 何時ものように同期した状態でいる……そこから、私自身のセーフティまでつられて起動する可能性が、0ではない。


 インターフェイス越しとはいえ危険なので、日本に向かわせるインターフェイスとの同期を切除しておく必要があるだろう。



 つまり、日本に向かわせるのは完全なスタンドアローンでなければならない。



 私から独立した個体、私とは異なる思考と動力炉を有した個体を向かわせる事になるわけだが……そうなると、問題点が生じる。


 元々、インターフェイスはその目的から、私と同期した状態で動かすのを前提に設計している。故に、インターフェイスに搭載している頭脳ユニットもまた、それ用に特化したモノとなっている。



 ……要は、スタンドアローンで動かすようには設計していないのだ。



 いちおう、ある程度は独立して行動させることは現時点でも可能ではある。動力源を機械化さえすれば……しかし、それが実用に足るかと問われれば、私は首を横に振るだろう。


 ――なので、今後の事(似たような状況も含めて)を想定して……私は、私自身から完全に独立した、新たなインターフェイスを作ることにした。


 いや、もうそれは、インターフェイスとは呼べないだろう。何せ、万が一を考慮して私との同期は出来ないように設計するし、私ほどではないが、自給自足で活動出来るようなモノになるのだから。



 ……で、だ、早速作ってみた。名は、『ダウングレード』。名は体を表すとかいう、『尾原太吉』の記憶にあった言葉から発想を得て名付けた。



 これまでのノウハウもそうだが、生体パーツを一切使わない完全オールメタルで構成したおかげだろうか。思いの外、あっさり完成までたどり着けた。


 やはり、生体パーツは貧弱……改めて、私はそれを実感した。


 とはいえ、性能は……インターフェイスよりも上だが、私に比べたらお粗末もいいところだろう。


 胸中に収まった動力炉も、『光増殖炉』と呼ばれている非常に脆弱なモノだ。当然、全身に搭載してある装備も出力に合わせた貧弱なモノしかなく、仮に私と戦えば……一撃で破壊可能だ。


 加えて、全身を統括する頭脳ユニットだが、私に使用されている頭脳ユニットは連盟種族にしか作れない。故に、代わりに搭載出来る頭脳ユニットは、マニュアルを頼りに作ったお粗末なモノしかない。



 はっきり言えば、玩具みたいな性能なのだ。



 そんな玩具を何とか駆使して、機能の大半を演算速度等に割り振ったおかげで、私の頭脳ユニット内に収まっているマニュアルの5%程度しか入れられなかった。


 なので、新たに作り出したダウングレードの性能は、『ボナジェ』どころか、つい先日私の管理下となった大脳ボディのアイツラぐらいなら楽勝レベルの性能しかないのだ。



 ……まあ、問題はなさそうなので、そのまま運用した。


 で、結論から言えば、上手く事は運んだ。



 火星からのスキャンと、ネットワークにて流れている現地の放送を盗み見た私は、ひとまず、今回の目的である様々なデータが収集出来た時点で、大成功と判断した。



 ……分かった事は二つ。



 一つはセーフティモードに関する事で、やはり、『日本の領域に入るのは非常に危険である』ということ。


 というのも、想定していた通りに、セーフティが起動したのだ。対談が終了するまで持ち堪えたのは、身体が違っていたからだろう。


 辛うじて火星に自力で戻っては来られたが……直後にセーフティモードに移行し、今は完全に沈黙している。



 ――おそらく、ダウングレードの自我を、私から複製してそのまま移したせいだろう。本当に、あのタコどもは性格が悪い。



 故に、もうダウングレードは駄目だ。セーフティの解除手段が無い以上、その身が朽ち果てるまで永遠に眠り続けるだろう。それこそ、気紛れを起こした連盟種族がセーフティを解除しない限りは。


 そして、新たに分かった二つ目は……どうやら、『セーフティ機能』は私の頭脳ユニットそのものではなく、私を構成している情報因子……すなわち、『自我』に絡み付くようにして組み込まれているという点だ。




 つまり、頭脳ユニットそのものを入れ替えても駄目なのだ。




 私が私として確立する為の情報そのものが基盤であり、セーフティそのものなのだ。故に、このセーフティを本当の意味で解除するには、私そのものを頭脳ユニットより消去するしかない……というわけだ。




 ……。


 ……。


 …………本当に、あのタコは厄介な置き土産を残していく。これでは、別の頭脳ユニットを入れ替えても、何の意味もないではないか。



 最悪、低品質の頭脳ユニットを連結させて性能を向上し、頭脳ユニットを入れ替えてしまえば何とかなるかもと考えていたのだが……止めよう、考えれば考える程、嫌になる。




 話を……そう、話を戻そう――とりあえず、日本との対談は上手くいった。そう、それは良い事だろう。




 そして、その後に……いや、おそらくはソレがキッカケになったのだろうが、日本以外からも続々と私の下に連絡が来た。どうやら、私はけっこう人気者だったらしい。


 特に断る理由も無かった私は……せっかくだし、日本にやったのと同じように、予備で作って置いた『ダウングレード』を順次稼働させて、対応に当たらせることにした。



 そうして……だ。



 相互理解の為に話し合うという、有益で終わったのか無益で終わったのか判断に迷うような対談を繰り返す事……13回。どの国も似たような事しか聞いてこなかったので、そこで打ち切った……その最中。


 話を対談から、商売に戻して……そんな13回を行う間にも、商品は想定していた以上に売れ続けていた。



 もちろん、最初の内は微々たる数だった。



 しかし、売れない日は一度として訪れず、むしろ、少しずつ上昇傾向に有り……気付けば、商品として並べた傍から売り切れる事が続出する事となった。


 その中でも、売れ行きはそこまでかなと思っていた『Type-C』ですら売れているのだから、正直、何でそこまで売れているのかよく分からなかった。



 ……いや、まあ、商品として出している私が言うのも変な話だが……分からないモノは分からないのだ。



 あまりに売れてゆくから気になって調べてみたが……特に、おかしい点は見当たらない。誰もがちゃんと私の出したルールを守り、楽しく扱っている。


 使い道は色々とあるらしく、性的に使用する者もあれば、愛玩的な扱いをする者もいたし、純粋に労働力として活用する者もいた。基本的に、男女に関係なく売れているようだ。


 中には商品を転売しようとした者もいたが……フルーツとは違い、常時管理すると決めたのは私だし、そのようには説明したのも私だ。


 なので、他所から他所へと渡るのを静観しているままでは、管理しているとは言い難い。そう判断したので、現在では禁止している。


 既に他所に渡っているやつは……後日新品を送るという形で決着し、転売をするやつは今後排除すると放送して、それも解決して。



 そうして、気付けば……出荷数が、計50000体を超えていた。


 ……どうやら、私には商才というやつが有ったらしい。



 例のフルーツに続いて、二度目の大ヒットと言うやつだ……とはいえ、正直なところ、予想外であった。売れるにしても、もう少しゆっくり売れて行くものだと考えていたからだ。


 まあ、商売をする以上は売れた方が良いに決まっているので、私としてはあまり悪くは思っていない。これもまた、私に秘められていた商才のせいなのだろう。





 ……。


 ……。


 ………と、まあ、そんな感じで、更に56日が経過した頃。



 地球にて『ミラクル・フルーツ』の販売作業を行っているインターフェイス(つまり、私だ)の下に、見覚えの無い人間が訪ねてきた。少なくとも、客として接した覚えもない相手であった。


 彼らは、自らをアメリカのテレビクルーだと自己紹介をした。


 聞き覚えはなかったが、データとして頭脳ユニット内に保管されている『名称の項目』に、その名が有った。世界的にもその名が知られているテレビ局の一つだ。


 その、テレビ局に所属している彼らは、自分たちが放送している、とあるトーク番組にゲストとして出演してほしい……と、話してきた。




 ――返答は急いでいないし、強制もしないし、面倒と思うなら返答もしなくていい。


 ――ただ、出演を承諾してくれた場合はソレを発表するし、番組の一つとして放送するから特別扱いは出来ない。


 ――なので、出演を承諾してくれた場合、そこらへんは理解したうえで返答が欲しい。




 と、いうような内容を様々な言葉に言い換えて私に告げた彼らは、最後に連絡先を記した名刺を数枚渡した後……こちらの返答を待たずに帰って行った。


 せっかく来たのだから商品の一つでも……そう思いはしたが、何の事はない。私は商才があるのだ、売らなかったのが正解なのだろう……そう、私は己を納得させた。



 ……で、彼らの言葉が事実であり、客観的にまとめるのであれば、だ。



 私は、世界中にその名が知られたテレビ局から出演依頼をされたということになる。どうしてそういう話になったのかは不明だが、私を選ぶだけの理由はあったのだろう。


 特に目立つ事をした覚えはないし、私がやっている『商売』とて、似たような事をしているやつらは大勢いるが……私が地球外の存在であるから、そこら辺りが目立つのかもしれない。



(しかし、あの人たちは……)



 まあ、そんな事よりも、だ。


 私の注意を引いたのは、取材を申し込む理由ではなく……取材を申し込んできた、彼らテレビクルーに関してであった。



 ――簡潔に述べるのであれば、彼らは偽名を名乗っていた。というか、姿形やら何やらを偽装してあったのだ。



 いわゆる、『特殊メイク』というやつなのだろう。肉眼では非常に分かり難いように、加えて、人相を整える為なのか……全員が、骨格を削るといった整形処置が行われた形跡がある。


 始めて応対するタイプだったので、いちおうはスキャンをしてみたが、しなくても、すぐに分かっただろう。


 何故なら、彼らの顔が……地球上のネットワークにほとんど残されていなかったからだ。パスポートの顔写真と、テレビ局用の顔写真、この二つしか無かったのだ。


 加えて、彼らの顔写真というか、プロフィールがネットワーク上に現れたのは、現時刻より42時間31分9秒前のこと。


 いきなり、彼らは、人間たちが共有している公的な記録に姿を現した。彼らが生きてきた軌道は何一つ存在せず、最初から成人した姿で出てきたのだ。


 彼らが物心付いた頃から写真や映像媒体に残る事を心底嫌うのであれば、説明出来る。非常に稀な事ではあるが、そういう性質の人間は居ることは、前の調査で把握していた。


 しかし、そういった場合でも、成長の過程が公的な記録に絶対に残されている。


 スクールの卒業式しかり、健康診断しかり、資格や免許の証明写真しかり、必ずどこかに有るのだ。けれども、彼らにはソレが無い。それどころか、世界中の病院の記録にも、彼らを整形処置した記録が無いのだ。



 ……あまりに不自然過ぎて、またもや地球外からのアレかと疑った私は、悪くないだろう。



 なので、ちょっと本腰を入れて調べて見た。どうやるかって、それは世界中の……映像媒体や記録媒体のデータを確認するだけだ。


 世界中の至る所に設置された、様々な防犯カメラ、私用カメラ、一個人が所有しているスマフォとやらを始めとして、片っ端から内容を精査し、確認を進めて行く。


 『連盟種族』ではあるまいし、記録に残っていないにしても、何処かしらに痕跡を残していると思ったからで……意外と早く、彼らの所在は付き留められた。



 ――彼らの所在は、『アメリカ軍』だ。それも、経歴を完全に抹消された、極々一部の高官にのみ存在が認識されている、特殊部隊。



(なるほど、軍か……と、なると……)



 『ペンタゴン』のサーバー(内部カメラも同様に)内を確認しながら、ついでに、世界中に点在しているアメリカ軍基地も確認し……ふむ。



(テレビ番組とやらは、アメリカが裏で手を回しているようだな……が、罠の類ではなさそうだが……プロパガンダの類でもなさそうだし……意図が読めないな)



 わざわざ軍が動いて番組を行うのだから、プロパガンダだろうとは思ったが……どうにも、それらしい動きも気配も確認出来ない。何と言うべきか、行動の予測が付けられない。


 アメリカとは……既に対談を終えている。


 必要なら今後も対談には応じるとこれまでどの国にも伝えているから、私と話がしたいのであればそうすればいいのだが……どうにも、やり方が回りくどい。



 ……。


 ……。


 …………まあ、行けば分かるか。



 そう結論を出した私は、手渡された名刺に印字されている連絡先へと……は、向こうもいちいち『上司』に連絡する手間もあるだろうし、その上司へと直接連絡をすることにした。



 ――こういう気遣いが出来るようになったのは、私に商才があるからなのだろう。



 日々、私も成長しているというわけだ。実際、『尾原太吉』の記録にも、二度手間三度手間は極力減らした方が良いと有る。


 彼らとは友好的な関係を築いた方が良いし、手間を失くす為に私は『上司』への回線を繋いだ。




 ……。


 ……。


 …………で、だ。



 連絡をしてから、約20日後。



 指定された撮影スタジオは、アメリカ国内においても辺境と呼んで差し支えない、砂埃だらけの荒野の中にポツンと並び立つ……人の気配が途絶えた町の中に有る、古ぼけたスタジオであった。


 以前は、軍事輸送機の中継基地として使用されていたらしい。


 基地が有ったからこそ町が出来たのか、それとも、小さくも町が有ったからこそ基地が出来たのかは些か判断に迷うその町から、最後の住民が離れて……早、20年強。


 最初の頃は犯罪集団等が住み着いていたらしいが、それも辛うじてインフラが通じていた頃まで。まあ、最寄りの町まで100km近くもあるとなれば、隠れ住むにも不便すぎるのだろう。



 ……で、そんな町の、だ。



 これまた、機能するかも怪しい骨董品が如きスタジオ設備(建物も含めて)をわざわざ改装して、そこを指定したのは……おそらく、私が登場する事による混乱を抑えたい為だろう。



 ……商売を始めた頃ならともかく、今の私は『有名人』だ。



 さすがに、芸能人というやつほど有名ではないが、人間は、有名な人や物に対して強い好奇心を抱く傾向にある。『尾原太吉』もまた、そうであった。


 そんな私が、各国の賓客としてではなく、一個体としてお呼ばれされたとなれば……そうした理由も、何となく分かる。下手に都市部のスタジオを使うと、余計な混乱を招きかねないのだろう。



(これが、いわゆる『有名税』というやつなのだろう……有名になり過ぎるのも困るな)



 とりあえず、指定された撮影スタジオ(改装済み)とやらを火星より確認していた私は……慌ただしく最終準備を進めているスタッフたちの姿を黙って見つめていた。


 改装された撮影スタジオ自体は、何てことはない。私が用意したスタジオとやっていることは一緒だ。その過程において違いがあるにせよ、結果が同じならば何の意味もないということか。


 実際、スタジオを火星から確認出来る私だから分かることだが、切りぬかれた一部分しか確認出来ない者たちからすれば、枠の外は存在していないも同じ……なるほど、参考になる。


 そのまま、撮影スタジオから、建物全体を確認……ふむ、施設を動かす為の最低限のスタッフを除けば、他は軍人で代用されているようだ。まあ、近くに元とはいえ基地が有ったから……か。


 あるいは、このトーク番組そのものが、軍が主導で動いているからなのか……可能性としては後者の方が高そうだが、前者も否定は出来ない……ふむ、そうだな。



(軍人以外の……一般人と思わしき彼ら彼女らの動き自体には、ぎこちなさはあるものの、何かしらの教育を受けた形跡が見られる……おそらく、この時の為に訓練なり授業なりを行っていたのだろう)



 メインキャスター(MCと、呼ぶらしい)を含めて数名は軍人ではない。調べてみれば、私が招待された番組の、本来のMCが彼ら彼女らのようだ。


 彼ら彼女らからは……強い緊張感を抱いているのが分かる。


 スキャンから把握出来るバイタルから推測する限りでは……不安、焦燥、緊張……冷静とは言い難い状態だ。


 そこから考えれば、此度のコレはテレビ局が主導ではなく、軍が主導になって……なるほど、MCである彼ら彼女らからすれば、自分たちの仕事へ好き勝手に手を入れられているような状況……といったところか。



(ネットワークには、此度の情報は何も見つからない……急遽変更されたからなのか、それとも記録として残す必要も無いと判断されたのか……)



 そうして、しばし観察を続けていると……準備が終わったようで、彼ら彼女らは放送を始めた。ネットワークに残されている番組の放送を確認した辺り……出出しは普通だ。


 現地時刻は……指定された時刻よりも20分13秒ほど早い。


 どうやら、先に私が出演する旨を説明するようだ。


 まあ、私はゲストというやつなのだろう。放送時間を大幅に増やすことは事前に宣伝していたようだが、私が出演すること事態は伏せていたようだ。



 ……。


 ……。


 …………とりあえず、することもないまま放送を見つめる事、幾しばらく。指定された時刻まで、あと僅か。



 それに合わせて、ダウングレードにしようか、インターフェイスにしようか、決断を出す。こういう時、必要な理由が有れば考える必要もなくなるのだが……まあいい。



 今回は……インターフェイスにするか。



 あらかじめ起動しておいたダウングレードの動力炉を起動停止させつつ、『空間結合』によってスタジオへの道を用意しながら、インターフェイスがそこを通ってゆくのを――。



「待て」



 ――見送ろうとした、その時。


 町の外から、慌ただしく……というよりも、猛スピードで接近する車を感知。車体の形状と重量、排気量から推測……軍用ではなく、一般に販売されているモノだ。



 ……いちおう、今回の関係者のようだ。



 事前に町内の至る所に潜伏している軍人の反応が一瞬ばかり慌ただしくなるが、銃撃されることなく、すぐにそれも治まり……そうしている間に、車はスタジオの前にて止まった。


 約束の時間にでも、遅れそうなのか……慌ただしく車を降りた、『不安』を表すバイタルを維持している人物の……いや、待て……想定していなかった人物の出現に、私は困惑した。



「……間違いない、マイケル・デイビットだ」



 何故なら……その人物は、ある意味では私が最初に接触した者たちの中でも……その中でも、最も情熱的……そう、私に対して並々ならぬ関心を抱いていた人物であったからだ。


 ……私が記憶している限りでは、マイケルはNASAに所属している黒人宇宙飛行士だ。念のため、軍のリストを確認してみるも、マイケルの姿は無い。


 ついでにNASAのリストを確認してみる……ふむ、解雇等はされておらず、在籍している。役職も宇宙飛行士のままで、月面などのミッションはなく、現在は地上勤務中……か。



(……他のやつらは、居ないのか)



 あの時、私と接触した他の3人は……居ない。町内にも、居ないから……マイケルだけか……ある意味、らしいと言えば、らしいのだろう……が、同時に、だ。


 あの者たちの中で、最も軍人から遠い存在……それがマイケルであるとも、私は思った。だからこそ、私は……ダウングレードではなく、私自身が行くべきだとも思った。



 ……いちおう、アメリカ国内ならば、私自身に課したプロテクトでも十分に耐えられるだろう。



 そう、危険なのは日本で、アメリカではない。まあ、100%というわけではないが……マイケルが来るのだ。何となく、マイケルは私自身が相手をした方が喜びそうだ……故に、自ら『空間結合』を通る。


 特に、狙ったわけではない。


 ただ、タイミングを見計らった形になったのだろう。いわゆる、偶然と言うやつで……マイケルがスタジオの中に入るのと、私が出現するのは……ほぼ、同時であって。



 ――そうして、スタジオに出た私を出迎えたのは……。



 様々な意味合いで、異なる意志を孕む個々の視線と……こちらを嬉しそうに見つめる、マイケルの眼差しであった。






 ……このような『番組』というやつに出た経験は無い。加えて、『尾原太吉』の記憶にも無い。有るのは、そういった番組を外から見ていた……という記憶だけだ。


 いちおう、ネットワークからある程度の情報は仕入れておいた。


 実際は少しばかり異なるかもしれないが、政府等と行う対談とは違い、もっと気を緩めて行うものらしい。まあ、比べること事態が間違っているのだろうが……さて、と。



 とりあえず……MCに促された私は、指定された席に腰を下ろす。



 そのMCは……というか、このスタジオで私を認識した者のほとんどが、どうやら私に対して強い警戒心と恐怖を抱いているようだが……まあ、致し方ないだろう。



 ……で、だ。



 席(ソファー)は、テーブルを挟んでソファーが人数分(私を人としてカウントするのは些か不適切だが)。つまり、MCの分と、私と、マイケルの分だ。


 カメラの正面にテーブルが有って、私とマイケルが、その向こうに並んで座る。MCは、テーブルを挟む形で、カメラから見て左右のソファーに腰を下ろす形となった。



「……久しぶりだな、マイケル・デイビット」

「やあ、ティナ。僕の事を覚えてくれていたのかい?」



 私の挨拶に対し、朗らかと判断しても良い笑みを浮かべたマイケルは……その言葉と共に、手を差し出して来た。私のセンサー・アイが、その手を捉える。



 ……握手、か?



 そういえば、握手をしたのは月面基地の『ホーム』以来……に、なるか。


 これまで幾度となく人間たちと交流を行ってきたが、握手の為に手を差し出された事は……アレ以来、無かったな。何だか、不思議な気分だ。


 促されるがまま、握手を返す。もちろん、加減はしている。


 月面ホームにて収集したデータの一つに、握手の際に必要とする握力データがある。なので、平均よりも幾らか頑丈なマイケルの手を傷付けないように握手する事は、容易いわけなのだ。



「……やはり、君は優しいね」



 すると、何を思ったのか……マイケルはそんな事を呟いた。


 私に対して言っているのかと見やれば……私を見つめている事には変わりないが、ども、そうではないように思えた。



 ……とりあえず、手を放す。



 そうして、改めて拝見したマイケルは……スキャンによって数値化したデータよりも、幾らか体積が減って……つまりは、痩せているように私には見えた。



 ……。


 ……。


 …………おや?



 沈黙が発生してから、きっかり15秒後。


 私が到着した時点で、既に放送は行われている。つまり、番組はもう始まっている……のを改めて確認した私は……一向に黙ったままのMCへと視線を向ける。


 すると、MCは「今回、私たちは聞き役に徹します。ご自由にお話ください」それだけを私に話すと……にっこりと、嘘の笑みを浮かべて、黙ってしまった。


 私はそれを……MCの独断だと判断した。何故なら、私が事前に聞いていた全体の流れ……進行プログラムが異なっていたからだ。


 私が聞いていたのは、各国が私に対して行った対談を、もっとカジュアルに……ミクロの視点、つまりは、『好みの音楽は?』という程度の些細な質疑応答、トーク番組が行われるという話であった。


 けれども……他の者たちの反応(発汗・体温・心拍数の変化など)を伺う限りでは、どうにも独断ではないように思え……ん、どうして立ち上がるのだ?



「今回の放送は趣向を凝らしましてね。関係筋から話を聞きました……お二人は、顔見知りであり既に交友関係があるとか?」

「何を持って交友関係だと判断するかは迷うところだが、顔見知りであるのは間違いない」

「ですので、私たちは一度席を外します。余計なモノが入らない、貴女のくだけた姿を撮りたいのです」



 ――お飲み物等は、こちらに用意してあります



 その言葉と共に、スタッフ(中身は軍人だが)が冷蔵庫を運んできた。ご丁寧なことに、小型のバッテリーが繋がっており、この放送が終わるまでは正常に稼働し続けられるようになっている。


 合わせて、各種の食器と……スナック菓子を始めとした、様々な食糧までもが運ばれて来る。いわゆる、『軽くつまめるモノ』というやつなのだろう。



 ……私が、飲食を必要としないということは……伝わっていないのだろうか。



 困惑する私を他所に、MCの二人は私とマイケルに頭を下げると、そのまま足早にスタジオの外へと向かい……わざわざ車に乗って、この町から離れて行った。



 どうやら……本気のようだ。というか、そこまでするのか?



 スキャンで確認してみれば、MCだけではない。1人、また1人、作業を終えた者たちから順に、スタジオを出て、町の外へと離れて行っているのが確認出来た。



(……急遽、変更になったのだろうか? だが、それにしても、こうまで連絡の不備が続くと……)



 ……何だろうか、私の中に、違和感とも言うべき感覚が発生し始めている。


 一つや二つならまだしも、どうにも此度のコレは……不自然な点が多いというか、変更の多さから考えて、私への連絡に不備が生じ過ぎているような気がしてならない。


 それに、どうしてか……それらの変更が行われた痕跡が、ネットワークに何一つ残されていないのも……まさか、全て口頭によって指示や変更が成されたとでも言うのだろうか?



(……人間は、時に信じ難い変な事をすると、『尾原太吉』の記憶にもあるが……)



 あまりに非効率というか、不必要な手間を入れ過ぎだとしても、それを指摘するのはお節介というやつだろう。


 まあ……いずれ、理由も分かるだろうし……そう結論を出した私は思考を切り替え、マイケルへと注意を向けた。



「……健康的とは言い難い痩せ方をしている。生命維持に支障が出る程ではないが、質の良い食事と、必要であればカウセリングを受ける事を推奨する」

「はは、知り合いにも同じことを言われたよ。心配してくれてありがとう……でも、いいんだ。もう、解決した。これは痕みたいなもので、体調はむしろ良い方さ……君なら、僕が嘘を言っていない事は分かるだろう?」

「サンプルデータが無いので、断言をすることが私には出来ない……が、そうだな」



 言われて、もう一度スキャンをする。これまで蓄積してきたデータから推測する、マイケルの精神状況は……だ。



「……いわゆる、『吹っ切れた』というやつだろうか。私に分かるのは、それぐらいだな」

「ふふ、御明察だよ……積もる話は色々とあるだろうけれども、どうだい、せっかくの機会だ……飲むかい?」



 MCの話の通り、マイケルは自由にするつもりなのだろう。


 ソファーより立ち上がった彼は、冷蔵庫を開く。「――やった、モエが有るよ」取り出したシャンパンを取り出すと、手慣れた様子でグラスに注ぎ……クイッと、一杯分を一気に飲み干してしまった。



 ――ティナも、どうだい?



 促された私は……厚意だけを受け取って拒否をする。マイケルも本気ではなかったようで、「少し、待っていてくれ」冷蔵庫から続けてチーズやら生ハムやらを取り出して、皿に切り分け始めた。



 ……そんなマイケルを尻目に、私の注意は……スタジオを離れて行くスタッフたちへと向けられる。



 視線を向ければ、この場で唯一のスタッフも足早に部屋を出て行き……いよいよ、この町に残されたのは私とマイケルだけになった。電源が通っているカメラだけが、私たちの姿を映していた。



 そう、私と、マイケルの二人だけだ。



 さすがに、疎い私ですら……この状況に警戒心を抱く。いくら何でも、これは違う。放送番組とは全くのデタラメで、やはり、何かしらの意図が有って私を此処に誘き寄せたと判断した方が……あっ。



 ――キュイン、と。



 広げたスキャン範囲が捉えた熱源に釣られて、私は顔を上げる。その視線の先にあるのは、はるか上空に撃ちあがって、こちらに接近しようとしている……ミサイル。



 そう、ミサイルだ。それも、ただのミサイルではない。



 広域破壊兵器……大陸間弾道ミサイル。いわゆる、戦術核とも呼ばれる、人類が保有している兵器の中でも最強の破壊力を持つ爆弾である。



(着弾地点を予測……間違いない。このスタジオがロックオンされている。まともに着弾すれば、半径数十キロに影響が及ぶぞ)



 着弾まで、おおよそ6分7秒ほど……なるほど、これが狙いというわけか。ネットワークに記録が一切残っていないのは、攻撃を悟られないようにするためか。


 離れて行ったスタッフたちの行方を追ってみれば、納得した。


 最初に離れて行った者たちは、荒野にそびえ立つ小山の陰に隠れるようにして建設されたシェルター内に順次避難している。というか、後から後からスタッフたちがそこへ向かっている。



(しかし、こうまで徹底的な秘匿行為……軍全体が動いたとは考えにくい。可能性としては、私に対して危機感を抱いた一部の者たちの独断による、暴走行為……が、妥当だろうか)



 まあ、成功するにせよ、失敗するにせよ、だ。


 この計画を考えた者たちは、役職なり命なり……立場だけでなく、その家族から向けられる様々な影響すらも覚悟して挑んでいるのは、間違いない。


 でなければ、自国内での戦術核を使用するという馬鹿げた手を取ったりはしない。少なくとも、人類は未だ……放射線を安価かつ短時間で除去する手法を開発出来ていないのだから。



 ……。


 ……。


 …………とりあえずは、だ。



 シャンパンやら何やらを抱えるようにして持って来たマイケルを、見やる。スキャンをした限り……落ち着いている。この後、此処に戦術核が落とされる事を知って……いるのだろうか?



 私が平気でも、このままではマイケルが死ぬ。間違いなく、死ぬ。



 賛同した結果、此処に居るなら良いが、知らぬままに利用されているのであれば、助けてやるべきだろう。彼は……少なくとも、私に対して友好的であろうとした人物なのだから――っと。



「――申し訳ない。軽蔑してくれて、いいよ」



 どのようにして彼を助けるべきか。


 そう、思考を巡らせた途端、その当人が私に対して謝罪をした。しかも、シャンパンをグイグイ飲みながら……涙まで流し始めた。



 ――これは、どうにも予想外。



 こいつ、何時も私の予想外の行動ばかり……謝るという事は、分かったうえで此処に居るのは確定……なのだろうけれども。



「何故、泣くのだ?」

「悲しくて、心から空しさを覚えているからだよ……ティナ……君はもう、分かっているのだろう?」

「質問は明確にするべきだ……マイケル、貴方の言わんとしている事は、此処に向かって来ている大陸間弾道ミサイルのことで良いのだな?」



 そう尋ねると、マイケルは無言のままに頷き……いや、違った。


 メソメソと、まるで幼子のようにまた大粒の涙を流し始め……ふむ、何か事情がありそうだな。


 とにかく、着弾まで時間が無い事を念頭にしたうえで、改めて事情を尋ねてみれば……中身は、そう複雑なモノではなかった。


 一言でいえば、脅されたのだ。ミサイルが直撃するまで、私をこの場に引き付けろという厳命が下されたらしい。


 どうしてそんな事をしたのかと言えば、マイケルの唯一残された家族である祖父母の命を盾にされた……らしい。前々から遠まわしに、そうなる可能性を示唆されていたのだとか。



 ……そして、泣いている理由は、幾つか有る。



 自分が死ぬのもそうだが、祖父母に子供を見せてやれなかった事、脅されたとはいえ私を殺す計画に加担してしまった事。


 後は……自分たちの事を棚に上げて、身勝手な理屈で私を悪だと断じた人間というやつに、いよいよ嫌気を差したから……らしい。



 ……正直、意味が分からないと思った。



 前半の理由は、私にも分かる。殺害計画に対して悲しみを覚えてくれているのは、喜ばしい事であると判断出来るだろう……が、だ。



「だって、そうだろう。君は、自ら相手を傷付けようとした事は一度としてない。攻撃されたから反撃しただけで、一度として先制攻撃なんてしていない……その事実を、誰もが無視するんだ」

「それが、何だ?」

「何時だって、僕たち人間の方からだ。僕たち人間が、一方的に君を警戒し、敵視する。僕たちよりもずっと、君の方が冷静で、僕たちよりもずっと心優しい……なのに、人間たちはまるで自分たちこそがと語る」

「それで?」

「選んだのは、いつも人間の方だ。君は、何一つ強制していない。何時も、君は僕たちと対等の目線に立とうとしているし、その武器を一度として僕たちに向けた事だってないのに……なのに、どうして……」

「……はっきりしろ、お前は私に何を言いたいのだ?」



 要領を得ない返答が続いた(猶予も、そう残っていない)ので、簡潔に述べろと促せば。



「僕はね……もう、嫌になったんだ。これ以上、人間の醜い所を見たくないし、人間を嫌いに成りたくない。祖父母には悲しい想いをさせるけど……僕は、人間を愛したままでいたいんだよ」



 そのような返答が成された。


 つまり、マイケルは……その結論に至る原因こそ不明瞭なままだが、色々有った結果、『人間』という存在を見限りつつあるようだ。



 ……いったい、何が有ったのだろうか。いや、何を見たのだろうか。



 少々、気にはなる。とはいえ、現時点でのマイケルは……まだ、人間を完全に見限ったわけではない。しかし、いずれ、そうではなくなる。


 だから、まだ人間を好きでいられる間に、人を愛するままでいたいのだと。


 その結果、自らの命を捨てる事になっても……その心のままで居たいのだ……マイケルの言いたい事は、そういう事なのだろう。



(……つまり、死にたくはないけど、脅されて逃げられないし、このまま生きて人間を嫌いになるのならば……といった感じか)



 そうなると……これは些か判断に困るぞと、私は思った。


 このままミサイルを撃墜して撃ち落とすのは簡単だが、ここまで大それた事を仕出かしたのだ。下手に撃墜すればその後、私に対してどのような反応を示すか……少なくとも、好意的な反応は激減するだろう。



 ……。


 ……。


 …………着弾まで、後1分17秒。



 着々と近づいて来ているミサイルを尻目に、既に、マイケルは死を受け入れているのだろう。いや、これは、諦めていると判断するべきか。



「……最後に一つ、お願いしたい。僕の祖父母は今、どうしているのかを」



 だから……なのか、マイケルはそんな事を私に尋ねてきた。


 言葉と共に差し出された写真には、マイケルとの血の繋がりを感じさせる老夫婦と、今よりも幼いマイケルらしき子供の姿が写っていた。


 特に断る理由も無いし、時間も無い。名前と住所を頼りに、ネットワークからあらゆる機器を通じて、現在の状況を確認――あっ。



「マイケル、約束は破られたようだ」

「え?」

「お前の祖父母だが、たった今、殺された。どうやら、今回の事が露呈しないよう、君の家族は軍が処理をしたようだ」

「え?」

「今回の一件、ネットワーク上には記録一つ残されていない。そして、お前は誰にも話していないのだろう? 必然的に、後はお前さえ居なくなれば、此度のコレは闇に葬られるわけだ」

「    」



 その瞬間……マイケルの顔が形作った表情。それが、いったいどんな感情を表しているのか……それは、私には分からなかった。


 少なくとも、私が蓄積してきたデータの中で、該当する表情は無かった。


 もちろん、『尾原太吉』の記憶にも……それは、私が初めて拝見する……何とも言語化し難い、不可思議な形相であった。



「――ティナ、お願いだ、助けてほしい」


 ――着弾まで、後15秒。



「払えるモノは何でも払う。だから、僕に『力』を――」


 ――着弾まで、後7秒。



「僕がアイツラを――殺せるようにしてくれ」


 ――着弾まで、後――着弾。






 その瞬間、押し寄せて来た閃光と爆風と熱気が――町を呑み込み、全てを蹴散らし――焼け野原へと変えて行った。



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