第52話 いわく
シルフが子供扱いするなと抗議していると、物音を聞きつけたシーラ達がフォルクスの元に駆け付けてきた。
するとシーラ達は見た事のない幼女と戯れているフォルクスを見る事になり、今この状態を見た皆は当然ながらボカーンとなっていた。カーラとラティスはフォルクスが誰とじゃれ合っているのかが判ったが、数秒しないうちに幼女はスーッと消えていった。
幼女が消え代りにそこに残っていたのは縛られた老人、しかも鎧を着ている者がいたから皆驚いていた。
そしてシーラが問いただす。
「さっきの女の子は何よ?消えたよね?それとこのお年寄りは何者?」
カーラとラティスがカクカク震えながら
「フォルクス様、今のは精霊様ですよね?いつのまに顕現できるようになったのですか?」
「うん。彼女はシルフ。ずっと僕を助けてくれていた風の精霊さんだよ。まだ本来の力が出し切れずに、おそらく開放された力からその姿になっているんだと思う。この年寄りは何かよくわからないんだ。ホールに入ったらいきなり襲われたんだよな。何とか捕らえたけど」
そうしているとべソン、リズ、奴隷商がホールに入ってきた。
「これはフォルクス様、中に入られたのですね」
「えっと、ここに入ったらいきなりこの人に襲われたんだよね。侵入者かな?」
「いいえ、この建物に曰くがあると申し上げておりましたのは、一つはこの老人に起因します。もう一つは少年一人を除き、屋敷の使用人を含め皆殺しにあっているお屋敷なのが曰くになっております」
「その他には何か問題があるんですか?」
「はい。多くの死人が出たお屋敷です。それが一番の問題と、この老人の所為でこの広場が使えなくなっておりました。この扉を開け屋敷に入って来た者を攻撃し、半殺しにしたうえ屋敷の外に放り出しておったようです。ただ不思議とこの広間からは出て来たという話しは聞いておりません。ですのでこの老人をどうにかしなければ売れないような屋敷でした。また自分より強い者でなければこの屋敷を売ってはならないとも言っておりました。ただ、屋敷の修繕やメンテナンスこのように私共が客や職人を連れてくるなど、私共の方で事前にお伺いを立てておいたならば、例えこの広間に入る場合も一言お断りを入れておけば見させてはくれました。ですが、今まで来た者には屋敷を売る事をこの老人が一向に許しておりませんでしたから困り果てておりました。かなり強く、屋敷を壊さずに倒す事が困難でした。複数で攻めても各個撃破され話になりませんでしたから」
「そうなのか。俺のところには槍が飛んできたけどなあ。あれって避けなかったら多分胸に刺さって死んでたんだよな」
「それは変ですな。今までこの老人が槍を投げたという事は聞いておりません。しかも致命傷になる内容などは無かった筈なのです。試みしたのですかな。恐らく強者認定し、フォルクス様の腕を試されたのではないでしょうか?そうですな、ではそろそろご老人に起きていただきましょうか」
そうして奴隷商人は何やら呪文を唱え、縛り上げた老人を起こし上げ、意識を覚醒させた。
「儂は一体どうしたんじゃ」
老人が一言喋った。そしてフォルクスを見るなり土下座をして問題発言をした。
「幼女使い様、貴方様を我が主と認めさせて頂きます」
そう言ったのであった。
「あ、あのう、その幼女使いって何ですか?」
「はい。貴方様は紛れもなく妖精様を使役されておりますし、妖精様も貴方様を自らの意思で従属されております。貴方様は幼女好み、幼児愛好者の気が有ると見ました」
「何を言っているんだ!そんな訳ないだろう。俺はボン・キュッ・ボンな大人の女性が好きだぞ」
老人はシーラとカーラを指 差し
「まだ初潮を迎えていないような幼子を奴隷とし、心から隷属させておるではありませんか。これをして幼女使いと言わずに何と言いますか!しかもこの者達が自らの意思で幼女使い様に仕えておるではありませんか!」
シーラがプルプル震えていたが、フォルクスがつい喋ってしまった
「あのな、カーラは分からないけども、シーラはもう生理が始まっている筈だぞ」
シーラが怒りを爆発させ、真っ赤になり
「な、な、な、何を言ってるのよ」
「だってさ、この前生理用品を買って俺に持たせていただろう。買っていたのはシーラとラティス、ソニアだったぞ。それにな、パーティーリーダーとして女性の体調、特に生理になっているか、そんな大事な事を知らないなんてダメだからね」
リズがぼそっと
「そうだね。あたいとカーラーはまだだけど、シーラは初潮を迎えているね」
シーラの平手打ちがフォルクスにパチンと当たった。
「何よ!もう知らない。あんたなんてどこかで野垂れ死ねばいいのよ。女の敵!むっつりスケベ!バカバカバカ」
シーラは相当に怒り、ぷいぷい言ってしまった。そしてホールから走って出ていった。フォルクスが首をかしげていたが、ラティスに窘められた。
「あのう、フォルクス様、シーラちゃんに謝ってあげてください。女性はこういうデリケートな問題は嫌なものですよ。ましてや意中の方なら尚更です」
フォルクスはハットなり、泣きながら走り去っていったシイラを追いかけていった。廊下でシーラの後ろから抱きついた。抱きついた時に手がつい胸に当たってしまった。しかもしっかり鷲掴みにしてしまった。
「ごめんシーラ。その僕が悪かった。僕の事を嫌いにならないで」
シーラは泣きながら
「なんで私こんなデリカシーのない人を好きになっちゃったんだろう」
そしてハッとなり
「ちょっと!あんた何勝手に私の胸を触っているのよ。揉むのをやめなさい!」
更にもう一発平手が飛ぶのであった。
兵士から始まる異世界物語!〜異世界に召喚されたら記憶が無いんですが!〜勇者と気が付かれず兵士として売られてから学園に入り成り上がる物語〜 鍵弓 @keybow5963
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