第一章3 ネオ・ジェネシスという男の生き様

紅蓮の炎がネオの周りを円を描くように囲んだ。

 ネオは焚書坑儒ふんしょこうじゅを開き、魔法の詠唱を始める。


■■■■■■■■■■??????????■■■■■■■■■■??????????■■■■■■■??????????


 言葉ではない何かで詠唱したあと、私の頭上に魔法陣が多数現れる。──数秒後、空から光線ビームが落ちてきた。

 地面は光線の威力で穴が空く、自分もダメージを受けたがどんどん回復していく。しかし身体中に激痛が走る。


「―――ッ―――!!」

「死というものを体験するといいです。フローリア、君が殺してきた人間の味わった苦しみだ。君は心のどこかで殺すことを楽しんでいるんじゃないですか?命の尊さを分かっていないあなたへの罰です」


 ネオ・ジェネシスは地面の穴の中にいる私を見下ろして言う。

 あの男は私は殺しを楽しんでいると言った、私は自分でそうかもしれないと思ってしまった、本当はそうかもしれないなんて思ってはいけないと分かっていても、完全に否定することはできなかった。


「私は楽しんでなんかいない……!!」

 

 『私は楽しんでなんかいない』と自分に言い聞かせ、罪悪感から逃れようとする。


「いいえ、嘘です、罪悪感から逃れようとしているだけでしょう? 認めるべきです。君は楽しんでいますよ」

「知ったような口を利くな! お前だって私を楽しんで殺そうとしてるくせに!」

「たしかにそうだね、ですが、わたくはあなたという存在を知った上でやっているのですが、あなたは私の事について何か知っていますか?」

「そんなのは理由にならない!」


 ネオは「そうですか」と一言いい、再び詠唱する。


■■■■?????■■■■■■■???????


 今度は足元に魔法陣が現れ、穴ができ、そこへ私が落ちると、想像していた地獄そのものだった。


「ようこそ、紅蓮地獄へ、ここの炎は-3000℃で皮膚を裂き、真赤にさせる。あなたには耐えられますかね?」


 極寒の炎が身体にまとわりつき、皮膚を永遠と裂き続ける。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」


 私は女の子らしくもない叫び声を上げる。炎が皮膚を裂く度、皮膚が治り、また裂かれるの繰り返しで痛みをともない回復をする私には苦痛でしかなかった。


「これで最後です。さぁ、苦を持って償いなさい。もし嫌というならわたくしを──ばいいんです」


 ──神の精霊? 


 情報を聞き出すために殺さない?


 もう、どうでもいいや。


 私はあいつを殺す。


「(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す)」


「──■■殺す!!」


 身体から痛覚が消え、殺すという感情以外全てがなくなった。

 

 私は極寒の炎が身体にまとわりついてことも忘れ、裂くために、疾風の如く駆け回って、攻撃を仕掛ける。


 私は切り裂こうするが、ネオの魔法で攻撃を防がれる。しかし今度はちゃんと魔法を破ることができている。

 

 痛覚の消えた私は、魔神の力で暴れ、ネオを確実に追い込んでいった。


「これは、ですね」


 ネオ・ジェネシスは思う──これ以上彼女の強化はできない、潮時だと。

 フローリアをここで止めなければ、自分も滅びてしまう。しかし、フローリアを鎮静させる魔法を使う隙がない。

 ──本気で戦って隙を作るしかない。


焚書坑儒ふんしょこうじゅ──『全能力解放エンハンスリミット』」


 禁書の力を最大限に引き出し、無数の炎を出現させ、槍や剣などの武器状に変形させていく。


「隙を作ってくださいよ」


 武器状の炎をフローリアめがけて放つ。しかし、攻撃が当たってもフローリアは止まる気配はない。


「──ッ──もう、あれをやるしかないのですか…………」


 ──不死鳥の魂よ、退散せよ──


 フローリアを守るため、紅蓮地獄を即座に解除し、フローリアを眠らせる。


 ───歴史図書神聖館にて、


「起きましたか?フローリア」

「こ、ここは…………?」


 フローリアを眠らせたあと、一部の記憶を消し、身体を回復させた。──不死鳥の魂を失ったのは惜しいけど、仕方ない。


「神聖館ですよ」

「そう、なんで私は寝てたのか分からないけど、神を殺した事について聞かせてくれない? 今はそれが大事」

「そ、そうだね……それじゃあ話すよ」


 彼女に自分の昔話を聞かせる。あまり思い出しくない悲しい昔話を──


 ───────

「なぁ、ネオ………俺を殺してくれないか? お前殺戮の精霊だろ、俺を殺すことなんて──ッて何すんだ!」


 殺してくれと言うあるじをど突く。


 当時、自分は殺戮の精霊として、ロキ・シュベルツという男と共に旅をしていた。

 各地の国々に行き、数々の伝説を残した。その中でも最も有名なのがの伝説だった。

 この神殺しの話には裏があった。

 人々はロキが神の力欲しさに神殺しをしたと思っているが、真実は違う。

 ロキの故郷は邪神によって焼き尽くされた、それに激怒したロキは邪神を殺し、神はこの世界に不要だと感じた。それからロキは不神教を作り上げ、神々への復讐を始めた。

 ロキは自分が殺した神の力が使えることを知り、人々にその神の力を見せつけ、強制した。

 ──数年後

 世界は不神教の騎士たちにより、神殺しが行われた。神々を殺した騎士たちは神の力を手にし、絶大な支持と権力を有していた。

 ──さらに数年後

 ロキは神殺しをしたことを悔やんでいた。神々が死んで、悪魔たちが活発化したからだ。悪魔たちが活発化することで神の力を持った者に取り憑き、神の力を持った者同士で争いを起こさせたのだ。

 ロキは毎日のように神殺しをした自分を責めていた。


「くそ!俺のせいで!!」


 そんな姿を自分はただ見てることしかできなかった。


 ある日から、主は自分に殺してくれと頼むようになった。何度も何度もだ。


 そんな日々が続き、やがてそんな物語に終止点が打たれる。


 主が自害したのだ、主が最後に残した言葉は──


「俺の生命を取り込んで、大精霊になってくれ、そうすれば、お前はここにとどまれるだろ?俺の代わりに罪を被ってくれよ」


 主はニコッと笑って言った。

 主は嫌な奴だった、戦闘の時もこき使われ、散々バカにされた。でも、優しいヤツだった。


(分かりました、あとはわたくしが罪を被ります)


 最初は大精霊になると思っていたが、主は神の力を持っていたため、神精霊へとなった。それから自分は主の罪全てを被り、自分が神殺しをしたという事にし続けた。


 これで昔話はおしまい。









 











 

 

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Grim Reパー 奴隷少女から始まる世界終焉物語 A君B君 @WorldENDHappy

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