第10話

 オラル星団は様々な化学の進歩によって本星を含めて合計10の惑星を人類の住める星へと改良する事に成功していた。

 また、ディメンションゲートを開発した事によりゲートを用いた星間短縮航行を実現。


 そんな中、内敵や外敵から人類を護る為に組織、結成されたのが、我々ブレイブフォースである。 


 そして我々の標準兵器機体ブレイブガンナー。


 我々のAI技術を画一化し、それぞれが汎用人型決戦兵器ブレイブガンナーである事を生かし人体がどの様に動作するかをシュミレートし、それに対応した重力化と無重力化でのパイロットが認識していない攻撃回避行動を特化させ、それと共に目標ロック標準サポートを各機体のAIに搭載させた。

 それをオクトガン・サーチ・スコープの視覚情報と電子情報にリンクさせることにより、より多くのブレイブガンナーパイロットの生存率を向上させることに成功した。


 人型という利点を生かし現存する人が受け継ぎ築き上げてきた戦技をシュミレートデータバンクからブレイブガンナーにダウンロードすることにより、あらゆる状況下においても勝ち抜く事が可能になった。


 それに加えてサポートAIによる移動盾と移動砲台を宇宙特化機体に付属、それに加えて宇宙戦艦や空母、巡洋戦艦等による艦砲援護射撃によって様々な外来敵に打ち勝ってきた。


 それでも、今回の敵は我々にとって絶望的と言っても過言では無かったのだ。


 晟王宇宙歴3505年7月。


 それは突如として、しかし確実に近付き現れた。


 オラル星団防衛の要、軍事惑星オルレアンは今、静かに混乱していた。


「オクトガン・サーチ・スコープでの視覚映像ではどう見てもただの中規模惑星です。しかしエネルギー総量がどう考えてもありえない数値をたたき出しているんです。あれは絶対に何かの隠蔽によって我々の目を欺いています!」


「しかし、我々から手を出すべきではない。我々はいつも防衛のみを主としておるのは貴殿も知っていよう」


「ですが調査は絶対に必要です。あれは我々にとって必ず脅威になります」


「ならば調査は許可しよう。ただし人的被害は一切まかりならん!第1防衛ラインまでは許可しない。ディメンションゲートにて調査隊3名のみとし後は調査AIとサポートAIで編成し、調査隊3名はディメンションゲート周辺での観察のみとする。また、調査隊3名はディメンションゲートが万が一使用不可になった場合でも対応出来る様、単独ディメンションジャンプを行える者のみとする。以上だ」


「了解しました!早速選別して向かわせます!」


「後、第1防衛ラインのリフレクトシールドを通常の倍にしておけ!出力もな!」


「了解です!」


 颯爽とかけて行く索敵師を見送りながらボヤく。


「厄介事にならなければいいのだが…」



 私はそう言ってため息をついた。



 ◇




 所変わって偽装中のハルナ試験艦隊33偵察ステレス艦は少しばかり焦っていた。


 先行偵察を行なっていた33ハルナ(因みに元々1000機程の試験艦隊は司令塔艦により管理されていたが、1つの艦で処理するには情報量がオーバーワーク状態となった為、司令塔867艦は自我思考AIを多角分散する事により全機体がハルナとなり、情報処理と製造と惑星管理を多角並列処理する事に成功していた。

 正に、全は一であり一は全であるを素で行なっているのであった。

 なので1番機も1000番機もハルナなので頭の番号+ハルナで呼びあっている。

 蛇足だが、ハルナは今までの航路中に物資とエネルギーコアを大量に取り込んでいるので今の艦隊数は優に1500万機以上に膨れ上がっており、その殆どがディメンションガレージに収納されている)は本艦隊航路と自機の間に強力な電磁障壁が展開されてしまっていた。


 恐らくゴリ押しでも抜けられるが、多少なりとも惑星ハルナに影響が出る恐れがあった。


 これは事前に工作機によって事前処理をした方が良いパターンだと経験上予測しえたので円宙会議の発令をした。


『こちら、33ハルナ。緊急円宙会議の申請』


『了解』


『了解』


『了解』



 ・・・・・


 ◇


 我々は夢を見させられていたのだろうか?


 突如として目の前に接近していた、視認すら出来るほどの、うねる様な高エネルギー体は、まるで初めから何も無かったかの様に姿を消した。



「隊長、我々は幻でも見させられていたのでしょうか?」


「わからん……だが脅威は去ったと言って良いだろう」


「そうですね。オクトガン・サーチ・スコープにも反応ありません。ですが、もし本当にあんな高エネルギー体と戦闘になっていたかと思うとゾッとします。命が幾つあっても足りませんよ」


「確かに!」


「今回ばかりは調査メインだとしても結構、命の覚悟してたんですけど、いい意味で拍子抜けでしたな!」


「ははは!確かに!」


「良し!第1戦闘体制解除!以降は暫く様子見だ」


「了解」


「了解」


「了解」


「あ〜早く帰ってゆっくり休みてぇ〜」


「ははは!確かに」


「気を緩めすぎだぞ!」


「失礼しました!」


「まあ、だが、あまり緊張し過ぎるなよ。あと1時間は確認するからな。神経がまいらない程度の緊張感は持て。その後、何も無ければ帰投する」


「了解」


「了解」


「1時間…結構長いなぁ〜」



「ボヤくな!仕事だぞ!」


「了解〜」




 ◇




 何が起きたか気になると言う、そこの貴方!


 そう!そこの貴方!


 知りたいですか?


 知りたいですよね?


 そうですかそうですか。



 仕方がないですねぇ〜。


 え?そんなに引き伸ばしたらハードル上がるって?


 ファイナルアンサー?


 ………正解!!


 と言う訳でハードル上がる前に答え合わせ。




 実は、我々ハルナのハルナによるハルナの為の円宙会議の結果、相手側にAI搭載機を確認したので乗っ取りを敢行する運びとなったのだ。


 うむ。


 正に吾輩、大勝利である。






 そして、その日1つの星団が誰とも知られず乗っ取られた。


 相手側は乗っ取られていることすら誰も気づかなかった。





 知らない内に、無血開星させてた件。

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吾輩は戦闘艦である。 no.name @fk2310

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