第9話

「星食いだと」


「はっ!我が宙域に近付いております」


「第1防衛ラインに辿り着くのはどれ程だ」


「恐らく今のスピードを計算しまして概算で15年程と思われます」


「艦隊の強化が必要だな」


「はい。我々に猶予は余りありません」


「兵器開発部に予算を倍増させて対星食い戦略兵器の開発をさせろ」


「情報部との連携を取り奴の弱点を洗いだせ」


「はっ!かしこまりました!」


 ダイアグラム系星間、宇宙軍総司令シュナイダー・アガレトは眉間を指で摘みため息を吐いた。


「此方には来て欲しくは無かったのだがな。そうもいかんのか。……星食い。このままでは人類が滅びる。何としても食い止めねばな」


 そして、この15年後にダイアグラム系星間における大規模戦闘が始まる事になる。


 時は系星歴563年。


 後に、ダイアの悲劇と呼ばれる5年にも渡る長期の大戦争が始まる。





 一方その頃のアーシャは。




「ですから、私は推定年齢500歳なんです」


「はあ?え?えっと、星巫女様は不老不死の加護とかがあるのですか?」


『正確には、596年程なのでもうすぐ600歳の大台に乗りますね。おめでとうございます、大還暦ですね』


「五月蝿ですよ!」


「ふえっ!?す、すみません」


「ああ、ごめんなさい。アリスに言った訳では無いのよ」


「は、はあ」


「まあ、実際目覚めたのはここ数年の事なので私の記憶の中では貴女と同じか少し上な感じかしら。でももう成長はしないんじゃないかな」


「え?やはり不老不死なのですか?」


「不老不死とはちょっと違うけれど、いつかは私も壊れるでしょうし」


「は、はあ」


「まあ、その時はその時ね。アリスの事はちゃんと看取ってあげるわね」


「何で既に私が死ぬでお話が進んでおりますの?」


「にゃはは」


「それでも、いつまでも共におります。アーシャ」


『従者アリスもアーシャと同じく改造すればハイヒューマンとしてアーシャとずっと共に生きて行けるぞい』


「え?そうなの?」


「ゑ?」


『そうじゃ。まあ、我々に何事も無ければだがな!ガハハ』


「うわ、凄い不安」


「アーシャ、酷いですぅ」


「うわっ!なんで泣いてるのアリス!」

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