008 『残念イケメン』
「あら、おかえり」
「なんで居るんだよ」
草壁のところから戻ると、当たり前と言わんばかりに
僕の母親の姿をした
「なんでオレンジジュースは飲まずに、紅茶飲んでるんだよ、カフェイン入ってるだろ、それ」
「ノンカフェインですの」
僕の質問には、かわりに
「
「貰うよ」
僕は行儀は悪いが、足で椅子を引き(両腕が上がらないので許して欲しい)、
そして、文句を口にする。
「つーか、さっきも聞いたけど、何でいるんだよ?」
「これはガスマスクを返しに寄ったついでに、少しお話しをしていただけよ」
「お前が行きたいって言うから、連れてったのに、すぐに帰るとかどんな神経してるんだよ……」
まあ––––あんまり
不快感があるような場所から離れたくなるのは、人間の本能だ。草壁の近くはまさにソレだ。
「やっぱりさ、臭かったか?」
「問題なかったわよ」
「なら、なんですぐに帰ったんだ?」
「だから言ったでしょ、確かめたいことは分かったからって」
「……なあ、それって––––」
「お待たせしましたわ」
僕たちの会話に割り込むように
ご丁寧にストローまで付いてるし、ミルクも入ってる。
「外は結構な暑さですので、
「さんきゅ」
お礼を言ってから、アイスティーを一口飲む、あっま。美味いけど。
僕は
「ところで」
「
「
「…………」
「何だよ」
「一緒にお風呂なんて仲良いわね」
「いや、母親と入ってる気分になるから」
マザコンじゃないし。胸が大きくても僕はおっぱい星人じゃないし。
しかし、
「でも、一応男女なのだから……そういうのどうなの?」
その問いには
「そこの男はお風呂上がりに、全裸でその辺をウロチョロするような男ですの」
ため息をつきながら。
「しかも、トイレに入る時は鍵を閉めませんし、寝る時は下着一枚で寝ますので、なんというか––––
「あなた、恥ずかしくないの?」
何言ってるんだか。
「この身体に見られて恥ずかしい場所などない」
「…………」
「…………」
「いつもこんな感じで、注意しても直りませんし、直しませんの。アニメとか漫画とかで、ヒロインと主人公の間でそういう感じのハプニングがあるのは知っていますが、まさか男側がそれをしてくるとは思いませんでしたわ」
「
なにこれ、僕が悪いの?
いやだって家にいるんだからさ、そのくらい良くない?
しかも最近は、寝る時はちゃんとパジャマを着ている。やたらと肌触りのいい、バルサのCBみたいな名前のパジャマ着ている。
僕は寝る時は服を脱いじゃうタイプなのだけれど、今は両手が動かせないので脱げない。
ので。
「
「な、なんだ? 急に改まって……」
「私が
少し考える。それは、まあ、アレだよな。
「自分の家だと思って、くつろぎ過ぎじゃないかな。アレって、建前で言ってるだけだからな」
僕の回答を訊いた
「もう諦めた方がよろしいですわ」
「そうね……指摘されたのが、裸でウロチョロじゃなくて、くつろぎ過ぎって所がもうダメよね」
「いや、ちょっと待てよ、僕がおかしいって言うのか?」
「しかも天然入ってるし」
そして、
「
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