012 『努力と言う名の"代償"』
「どうすりゃいいと思う?」
「私に聞かれても困るにゃ」
次の日、僕は困った時の
作戦というワードを使うのもおこがましい程の、作戦だけど。
実際、ただ
ちなみにその
嫌味な上に、常識知らずで、図々しいやつだ。
湯船に落としていった髪の毛を全部拾い上げてから、まだ捨てていないので、今度突きつけてやろうと思う。
「いや、人の髪の毛を拾って保管しているのはどうかと思うにゃ」
なんて
「それでにゃんだったかにゃ……、あ、そうにゃ、そうにゃ、新しい育毛剤の
「違う、確かに新しい育毛剤がすごくいい
「
「…………」
そうだ。僕は超能力者ではあるが、魔法使いではない。
サッカーをしている時はマジシャンと呼ばれた事もあるにはあったが、それは別の話だ。
問題は大きく分けて三つ。
生理が来ないこと。
母親とのこと。
いくつかの方法はあると思う。母親に連絡を取って事情を話すとか、医師に相談し、ドクターストップをかけてもらう、とかとかとか。
うん、どれも正解じゃないな。
根本的な解決にはならないし、そもそもこれは、
「
「でもそうしたら……」
「君に出来ることは
「…………」
面白口調とは裏腹に、
「そもそも、
そうだ。僕は超能力を使う以前から、毎年新入部員が百人以上いるような強豪校のレギュラーで、エースで、MVPで、得点王だった。
そして、準優勝だったし、A代表にも呼ばれた。
普通に考えたら、十分過ぎる程結果を出していると言える。
「
もう一度言うが、準優勝だった。全国大会までは行けているし、決勝まで行っている。
次の大会で、僕が超能力を使わなくても優勝出来た可能性は大いにある。実際、僕達の高校は優勝候補だったし。
「対して、
人類史上初の四回転アクセル。練習でさえ飛べた者はいないという、超絶技巧のジャンプ。
女性であることを捨てて飛ぶジャンプ。
「
「……いや」
いや、違う。
そんなことない。
あいつはそんなものに頼らなくても凄いんだ。
超能力を使用した、四回転アクセルというジャンプが無くたって、僕はあいつがオリンピックで勝てると思っている。
でも、
ならば、努力という"代償"を払ったのだから、その結果が出ないとは限らない。
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