010 『似た者同士』
相変わらず、"代償"とかそういう話は触れないという条件付きだが。余計なことに口を挟むな––––という
この分ならサインとか貰えるかもしれない。
まあ、僕の目標としては猫耳を付けてもらうことだけどね。
などという、冗談はさておき。
状況を整理しよう。
まず一番の問題は、
普通なら今すぐ能力の使用を止めさせるべきだし、体質の改善に努めるべきだと思う。本人が問題ないと言っているのが、一番の問題だ。
そして、もう一つは––––まあ、これは後でいいだろう。
僕がボールと
お風呂セットを持って。
「
「一緒に入ればいいじゃないか」
「あの人、私といる時はあなたになっているのよ、入れるわけないじゃない」
確かに、それは入れない。
実際、
「タオルとか、着替えとか全部持ってきたか?」
「大丈夫、ドライヤーも持ってきたわ」
「いや、ドライヤーくらい僕だってあるぞ」
それとも自分のドライヤーじゃないと、嫌ってタイプだろうか?
それなら、僕と同じタイプだ。
「乾かす髪があるのかしら?」
「…………」
違った。嫌味なタイプだった。
なんだこいつ。なんでこんなに嫌味ばっか言うんだ。これから風呂を借りようと言うのに、なんでこんなにも失礼なことを言うんだ?
別にいいけどさ。僕も
「まあ、上がれよ。まだお湯は張ってないけど、すぐに入れるよ」
「ええ、お邪魔するわ」
「多分、二十分くらいで準備出来る」
「そう」
人の家の風呂を借りると言うのに、
太々しい態度だ。
「ねえ、キツネさんはどこにいるのかしら?」
と尋ねてきた。
「寝てるけど、起こそうか?」
「寝てるならいいわ」
僕としても、自慢の可愛いキツネさんを
キツネは夜行性だって、ネットにも書いてあったし。
「お名前はなんて言うのかしら?」
「
「……どうして苗字が付いているの?」
「そりゃあ、家族だからだろ」
僕の実家は猫を飼っているのだけれど(超可愛い)、その猫を動物病院に連れて行き(超暴れた)、診察室に呼ばれた際、苗字付きで呼ばれたのを覚えている。
僕はそれが嬉しかった。ああ、そうだよな、猫も家族の一員なのだから、苗字付きだよなって。
だから、
「大事にしてるのね」
「ああ、尻尾とかモフモフでな、耳もピョコピョコ動いて可愛いんだぞ」
僕は猫が一番好きなのだけれど、多分、動物全般が好きだ。一時期、兎とか飼おうと思ってた時期あるし。アンゴラウサギとかね。
「でも、チーカマが好きなんて変わったキツネさんね」
「キツネって意外と雑食なんだよ、タピオカとかも飲むし」
というか、タピオカは天香の好物の一つだ。定期的にタピってるし。
「何それ?」
「知らないのか?」
「知らないわよ」
ああ、そうか。
「今度、
「カロリーの多いものなら、飲めないわよ」
どこまでもストイックな
きっと、コーラとか、サイダーとか、そういう炭酸飲料も飲まないのだろう。食べるものにしてもそうだ。
それは簡単なことではない。誰にでも出来ることではない。
ふと、
「……これ、MVPの賞状じゃない」
「まあな」
別に飾っているわけではない。テーブルの上に必要だと思い、置いておいただけだ。
普段は仕舞っている。
「それに、こっちは大会得点王の……、金メダルもあるじゃない。選手権って––––全国大会のことでしょ? あなたサッカーやってたとは言ってたけど、トッププレイヤーだったのね」
「一応な」
昔話をしよう。
と言っても半年くらい前の話だが。
僕も
冬の大会では、全国優勝までした。
テレビにも頻繁に取り上げられ、カッコいいあだ名まであった(僕は気に入ってなかったけど)。
僕も
だからこそ、
「
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