絶対王者本物川めぐみvs曲芸撃ちのチェーロ

 曲芸撃ちのチェーロは人外魔物が跋扈する缶けり界において、早撃ちの技術だけで戦う凡人である。

 彼が育った町では決闘が唯一の娯楽であった。彼の父親は決闘者として活躍していた。そして、彼はチェーロに己の全ての技を授ける。しかし、チェーロは決闘者になることはできなかった。人を殺す事ができず、彼は生き残るために曲芸撃ちになった。

 絶対王者に向かい合うチェーロは右手を見つめる。彼の利き腕は震えていた。

 いつもの事だ。彼は人に銃を向けると手が震えてしまう。それを抑えるためにビールを胃に流し込む。缶けりが始まる。


 本物川めぐみと向かい合ったチェーロはホルスターに納まっているリボルバーに手をかける。ハンドエジェクター1stモデル。彼が初めて手にした拳銃だ。最も信頼を置いている一丁である。

 開始の合図の鐘の音を待つ。酒のお陰で手の震えは止まっていた。


 カーーン!

 バン!


 鐘の音とほぼ同時に銃声が響く。本物川めぐみの午後のミルクティとチェーロのビール缶が弾けとんだ。

 勝者は本物川めぐみと告げられた。

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