生成り色

おはよう。君たちの声は生成きないろをしているね。

金縛かなしばりに似た朝のどさくさにまぎれ、〝僕〟は、〝君たちの後ろ姿〟を支配したいんだよ。

よく聞こえる巻貝まきがいのさざなみのように、はっきりとした〝うねり〟を感じさせてくれないか。――〝ですます調ちょうでエクスタシーを探し求めながら〟――、なんて、こんな気障きざなセリフは僕らしくないかな?

高みにてたかぶること。それにいたらず涙することもあるさ。それでも、生体反応せいたいはんのうはどこまでも、いつまでも。

涙って、塩辛しおからいだけじゃ物足りない液体えきたいなんだよね。だから――ちがう、こうじゃない――、だからこそ――いいや、こうでもない――、〝だからこそ、よろこびいさんで〟――うん、こうだね――、めげずに生成せいせいしていこうよ、君たちと僕由来ゆらいの〝生人生なまじんせい〟の輝きを。

おはよう。朝だよ。僕の損壊そんかいを満たせるのは君たちだけなんだ。だから早く起きてほしい。目覚めてほしいのです、僕はそうです。

おはよう。覚醒かくせい鼓動こどうはまるで、夢のまばたきみたいだね。

――に――、少しだけはにかんだお裾分すそわけに、この青林檎あおりんご丸呑まるのみにしてあげる。

〝 ああ首切れ 首の〝ぞぞぞ〟は ヘモグロビンの作用かな 〟

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

三猿詩集 倉井さとり @sasugari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ