ノー・サレンダー

作者 水城しほ

67

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★★★ Excellent!!!

ノー・サレンダー、降伏という選択肢はない。
この言葉が、今止まりかけていた時計の針を動かそうとしている。

錆びついた唯子の指がそのカメラのシャッターを押そうと思う時、希望の扉が開き出す。

物語は写真が大好きだった唯子が、思い出の詰まった団地にやってくるところから始まります。そこで出会ったのは、記憶の中でしか生きるはずのなかった同級生、小島くんでした。

本当はもっと長いお話に展開するだろうスケールの大きさを感じました。とても胸が熱くなる、素敵なお話でした!
おすすめです!

★★★ Excellent!!!

タイトルの「ノー・サレンダー」に全てが詰まっていますが
話自体は、主人公が団地の解体をきっかけに男友達に再会し…という
ささやかなストーリー。
なのにこんなに、勇気が出る読後感は何でしょう。
ノー・サレンダー。心が折れてしまった人・折れかかってる人…
生きることを肯定したい全ての人に、お勧めしたい短編です。

★★★ Excellent!!!

思い出の中心だった団地の解体。
それをきっかけに、主人公の世界が少しだけ変化するヒューマンドラマです。

丁寧な描写とストーリー、短編とは思えないボリューム感。
等身大に描かれた主人公には――なんだか己と重なる部分が感じられて――ちょっとしんどくなるぐらい。
だからこそ、ラストが心に響いたのです。

読んで後悔なし。ぜひゆっくりと堪能していただきたい逸品です。

★★★ Excellent!!!

ノー・サレンダー。降伏という選択肢はない。

写真家になる夢破れ、バイトで過ごす主人公の彼女。
ある日。幼馴染みの夢をみる。
いつも憎まれ口をたたいて、子供っぽく張り合っていた男友達だ。
彼は彼女を置いて電車に乗って行ってしまった。
ノー・サレンダーだからと言い残して。


社会から取り残されたような寂しさ。好きなことを仕事に出来なかった悔しさ。
そんな日常のなか、同窓会帰りの幼馴染みと再会する。
ノー・サレンダーだと、彼はまた言った。

写真撮って送れよ。彼の言葉に彼女は取り壊しの決まった近所の団地に向かう。
次第に朝日に染まる無機質だが馴染みの場所。
子供時代の思い出がたくさん詰まった場所。
たくさんの夢を抱えていたあの頃の気持ちで、彼女はシャッターを押す。
彼のことを想いながら。

時は流れ、陽はまた昇る。諦めないこと、続けること、それこそが大事なのだ。
感動した。読むべし。後悔させない。