白いひまわり、黒い太陽。

白間黒

白いひまわり、黒い太陽

さよならまたね。愛する君よ。生きててくれてありがとう。たとえチリでもホコリでも。生きてるだけでありがとう。


目を閉じてごらん。ほら、世界は綺麗だ。

目を開けてごらん。世界は、変わらず綺麗だ。

目を開くことができないなら、君の世界は一番綺麗だ。

目の前のこんな世界を綺麗と思えるなんて、君は幸せ者じゃないか。幸せな君に送るよ。お幸せに。


汚いところでは生きられないなんて、なんと儚く、美しいことだろう。

美しくなくて本当によかった。目の前が真っ暗でよかった。君が汚れて死んでしまうのを看取れなくて本当によかった。


さよならまたね。愛する君よ。生きててくれてありがとう。たとえチリでもホコリでも。生きてるだけでありがとう。


目の前が涙で霞むのは、僕と君が生きている何よりの証拠だ。真っ暗なら霞んでいてもわからないだろうけど。

雑草みたいに泥臭く、汚く生きよう。それが嫌なら花のように儚く、美しく死のう。僕たちには選ぶことができるさ。ご丁寧に、君の体は生まれつき傷つけやすいみたいだからね。

それなのに、どうしてそんなに強いのだろうか。

どうして花のように美しいのに、雑草のように強いのだろうか。

心もないのに君を想うよ。


さよならまたね。愛する君よ。生きててくれてありがとう。たとえチリでもホコリでも。生きてるだけでありがとう。


それなのに、どうして人はみんなと同じ幸せを望むのだろうか。君はこんなに幸せなのに。人と違ったら幸せになってはいけないのだろうか。


誰もがみんなと違う君を見て悲しそうな顔をする。それをそばで見るのは悲しかったよ。

でも、君が笑ってることの方が悲しく思えた僕の方こそ、一番悲しい人間かもね。


綺麗な世界に両膝ついて、足元の花に水をやる。お願いだからそんな具合に傷ついて欲しい。僕を見つけて手を伸ばして欲しい。でも、頼むからこんな世界で笑わないで欲しい。ひまわりみたいにこっちを見上げてさ。


そうでもしないと君に手を差し伸べられない。こんな腕なんかなければいい。

こんな腕さえなければ、君を心から抱きしめられるだろうか。


どうすればいい。いなくなればいい。太陽なんてなければいい。そうすれば、世界中のみんなが幸せだから。


幸せなんて、なければいい。

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