51~60 実際にお話を書くとき、どこから書き始めますか?
51. 現実世界が舞台の場合、実在の都市をイメージして書きますか? それとも、まったくの想像で書きますか? そもそもそういうことは気にしない(考えない)?
▼実在の都市をイメージしたり、架空であっても参考にする都市はあります。また都市でなくともある程度地域を仮定して書いています。『カース・メイカー』の舞台は現代に近いアメリカ・ボストンですし、ここではまだ公開していませんが『イオ』というSF作品はインド洋のモルディブが舞台だったりします。『共犯者の死せる影 -Ты-』では、ラビリンスク擁するW国をトルクメニスタンと仮定していますが、内容的にはざっくり中央アジアの中小国という位置づけで書いています。また『青い魔女の通過儀礼』はフランス・ドイツ国境付近の森という設定で書いています。言わんとするところを端的に述べると「現実の地域のなかに架空の舞台を作る」ということだと思います。
52. 実在する(した)場所(刑務所、マフィア、遊郭など)が舞台の場合、どのくらいリアリティを追求しますか? 文献等を参考に、限りなく実物に近づけますか? それとも雰囲気だけ?
▼特定の施設や建物を舞台にしたクローズドサークル風の物語では、やはりリアリティを追求した方がいいのかもしれません。質問50で言及したとおり、建物の位置や間取り等が物語に直接関わるのであれば厳密に描写します。おそらくそうしたリアリティを追求する作品のほとんどがミステリやドキュメンタリー風のフィクション、歴史物になるかと思うのですが、もし万が一今後自分がそうした作品を書くにあたっては文献等は必ず参考にすると思います。
53. 仮想世界や異世界が舞台の場合、どのようにその世界設定を考えますか? 何か文献等を参考にしますか? それとも自分の頭の中だけで考えますか?
▼完全な異世界や架空世界を舞台とする場合は、どういう世界観なのかというところから詰めていきます。『世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語』(エドワード・ブルック=ヒッチング著/関谷冬華訳)という本は、かつての古い地図には載っていたけれども現在ではその存在が否定され地図から抹消されている場所をまとめた本ですが、行ってもいない架空の地をいかにして当時の王様や支援者にでっち上げたかも書かれていて、とても参考になります。
54. 書き始める前にプロットは立てますか? 立てる場合も立てない場合も、その理由も教えてください。
▼書き始める前に最初から最後まである程度の流れは決めます。ある程度流れを決めないと展開が行き当たりばったりになってしまい、場合によっては物語が袋小路に陥る可能性があるので見切り発車では書きません。6、7年ほど前、アイデア先行で全くプロットを練らずに書き始めたSF作品があったのですが、その作品は4万5千字書いた時点でお蔵入りになっています。このほか途中まで書いて塩漬けになっている作品が多数存在しますが、たいていプロットが存在しない作品です。もちろんいずれも公開はどこにも一度もしていません。執筆前のプロットなどの作成に関してはhttps://kakuyomu.jp/works/1177354055393385575/episodes/1177354055395529136こちらで具体的に回答しています。
55. プロットを立てる場合、どのくらい詳しく(最初から最後まできっちりと・ボンヤリながらも全体的に・一部分だけ…など)考えますか? また、その理由も教えてください。
▼全体的な流れを決めます。実際に作品を書いているとだんだん脇道に逸れていく場合も多いのですが、詳しくは前質問のURLからどうぞ。
56. プロットを立てる場合、プロットを考えている途中で、お話を書き始めたくなることはありませんか? ある場合、どうしますか?
▼プロットを立てながら物語を書き始めることは多々あります。とはいっても導入部もしくは第一章にあたる序盤の部分だけです。そこからはだんだんと表現や描写で肉付けしていきます。
57. プロットを少しも立てずに書き始める場合、 お話を書き始めてから、途中で内容や設定に矛盾が生じることはありませんか? ある場合、どう対処しますか?
▼当然ながら展開的に無理や矛盾が生じて物語が袋小路に陥ります。その場合はやはりお蔵入りです。そうならないためにも、また作品に責任を持つためにも、プロットはなるべく書いて「書ききる」ということを目標にしています。
58. お話を書き始める前に、資料などは集めますか? それとも書いていて資料が必要な部分に差し掛かったら集めますか? もしくは、そもそも資料は集めない?
▼これは事前のプロット段階で資料が必要な場合と、書き進めながら資料が必要になってくる作品とに分かれます。事前に資料が必要なのは主に登場人物を取り巻く世界観を決定するための制度や社会状況などのソフト面であり、例えば「建物の構造」とか「道具の素材」といったハード面ではありません。書き進めながら資料が必要になってくる場合は、反対にハード面での資料を必要として集める場合が多いです。あとは常日頃からさまざまな話題に注意を向けたり、疑問に思ったことは即座に調べるなど、新しい情報に対して細やかなアンテナを張って知識の蓄積をしています。
59. 実際にお話を書くとき、どこから書き始めますか? 本でいうところの1ページ目から書き始め、あとがき前のラストページまでを前から順に書く・書きたいところから書いて最後に1つのお話に組み立てる…など、手順を教えてください。
▼これはたしか江戸川乱歩か安部公房が実際にやっていた手法だったと記憶しているのですが、あるシーンの描写や台詞など断片的な文章をブレーンストーミング的にどんどんメモして、それを物語の流れに応じて組み上げていくという方法を自分もおこなっています。ですので、実際に「書き始める」という意味での実際の書き出しは冒頭からかもしれませんし、作品のテーマを物語る台詞からかもしれませんし、なんてことはない風景の描写からかもしれません。ここでメモしておいた断片的な文章は必要に応じて使用したりしなかったり、物語にしっかり組み込んだり、シーンの足掛かりとしています。ここでのメモはとにかく「思いついたそのままを書く」くらいインスピレーション重視の内容になっており、それによって実際の物語中で使用できるかできないかの差が出てきます。当然いままで書いてきた作品でもこのメモが活かされた場面が数多くあります。
60. 上記において、前から順に書いていく場合、書いていくうちに、当初考えていたラストシーンとは変わってしまったこと、考えていたラストシーンに繋がらなくなってしまったことはありますか? ある場合、どのように対処しますか?
▼当初考えていたラストシーンと大きく違うな、と明確にわかるのは『青い魔女の通過儀礼』くらいで、それ以外の作品はおおむね当初のプロット通りの結末か、プロット通りでなくとも納得のいく結末となっています。なぜ『青い魔女の通過儀礼』だけそうなってしまったのかを書くととても長くなってしまうので、こちらの近況ノートhttps://kakuyomu.jp/users/Cicada_Keats/news/1177354054887348335をご覧いただけますとありがたいです。
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