61~70 お話の締め方の表現は、どのように思い付きますか。どのような締め方が多いですか?

61. 上記において、書きたいところから書く場合、今どのくらい書き上がっているか、起承転結 どの部分を書いているか把握できますか? 把握できる場合、それは何によって(どうすることによって)ですか?

▼前述したブレーンストーミングの手法でいうと実際の書き上がりの程度はまちまちです。初期段階では書きたいシーンを書きたい台詞で書き貯めていく感覚ですが、物語を書いている途中でも今後の展望として「こんなシーンが書きたい」という思いで先の展開を想像するので、起承転結どのあたりを想定したメモかというのは感覚的にだいたい把握しています。


62. 上記において、書きたいところから書く場合、最終的に、書いたものをどのように組み立ててお話を完成させますか? うまく組み立てられない(話が繋がらない)ことはありませんか? ある場合、どのように対処しますか?

▼今後使用するか否かにかかわらず手数やカードを増やすという意味でブレーンストーミングは個人的にかなり有効で、これによって展開に行き詰まるということがほとんどなくなったように思います。このメモを書き溜める行為そのものも基本的にはプロット(世界観や登場人物の設定まで)がほぼ確定したあとからになるので、「話が繋がらない」「話が組み立てられない」という事態に陥るものでもないと思います。それでも展開的に書きづらくなってしまうとか、物語が行き詰まることはあるのですが、そうなってしまうのはこの手法とは異なる要因があると考えています。


63. 上記において、前から順に書く・書きたいところから書く以外の書き方をする場合、その書き方で困ったこと・難しいことは何ですか? また、その書き方のいいところは何ですか?

▼映画や文学においては「フラッシュフォワード」と呼ばれる技法で、『共犯者の死せる影 -Ты-』でも冒頭部で、また『天の光は全て文字』でも物語全体にかかる手法として取り入れているやり方なのですが、これをやってしまうとプロットを練っていたとしてもそのシーンまで無理なく繋げるのが難しいと思います。フラッシュフォワードとは「未来に起こる出来事を先だって描き出す」手法のことをいいますが、物語の時間経過や純粋な流れからは逸脱したメタ的な技法でもありますし、作者的には物語の隅から隅まで理解し把握していなければ扱いが難しいやり方でもあると思います。ただ、これをおこなうことで「物語の一番の見せ場」を謎を残しつつすみやかに開示することができ、上手い人がやると二重の伏線やどんでん返しの機能としても活きてくるので、作劇技術として身につけておいて損はないと思います。ここだけの話ですが、『共犯者の死せる影 -Ты-』においては冒頭部で開示したものの結局なんの効果も発揮できず、忘れかけていたころに無理やり回収されるというある意味「めちゃくちゃダサい」構成になってしまっています。フラッシュフォワードをおこなう際は、用法用量を守ってご活用ください。


64. 書いているうちにネタに詰まる・筆が先に進まない、といったことはありますか? ある場合、どのように対処しますか?

▼これはしばしばあります。数年書けないときもあり、1ヶ月書けないときもあり、その期間はさまざまですが、そのときはほかの趣味に没頭したり、自作を何度も読み返したり、自堕落にならない程度に好きなように日々を生きます。


65. お話の締め方の表現は、どのように思い付きますか。どのような締め方が多いですか?

▼感覚的には「俺たちの戦いはこれからだ」的な締め方が多い気がします。自分が書く作品で綺麗に物語が終わっているものは案外少ないのではないかと思っています。これは作品を書く手順に関わってくることだと思うのですが、立てた「問い」に対するなんらかの「答え」をその物語によって物語るのが自分の作品の特徴である以上、物語の締め方が「俺たちの戦いはこれからだ」っぽくなってしまうのは、立てた「問い」に対して具体的な「答え」を明らかにし物語ることができていない場合が多いからではないかと考えます。物語的には完結していても、どこか少し煮え切らない終わり方だといつも感じるのはそれが理由かもしれません。『カース・メイカー』に関してはラストに「問い」を投げかける構成になっていますが、「俺たちの戦いはこれからだ」に見えてその実とてもすっきりした締め方になっているので上手くいった気がします。アルが語る物語の以上、あれ以上のアクションを起こせないという設定上の限界があるのも効いたのだと考えていますが、実際のところはわかりません。


66. どのように作品のタイトルを考えていますか?

▼最初に仮のタイトルを付けますが、物語を書き終えるまでに何度か変更します。このときに付けるタイトルの決め方にはおそらく微妙な違いがあって、最初に付けるタイトルは物語の印象を端的に表したものになります。物語を書き終えるころに変更するタイトルは、あえて当初考えていた想像から対象をずらしたり、より物語を包括した概念を取り込んだ象徴的なものになることが多いです。


67. タイトルを考えるのは得意ですか? 苦手ですか?

▼苦手です。少なくともたくさんのタイトルのなかからふと目に飛び込んだときに「おっ」と思っていただけるようなキャッチーな感じは全く出せていないと思います。おそらくタイトルを物語に寄せすぎていて想像力が刺激されにくかったり、タイトルだけで内容を膨らませづらいのが問題なのだと思います。平易な言葉で目を引くタイトルを考える方法をご存知の方、ぜひ教えてください。


68. どのような雰囲気(明るい・暗い、長文・短文・単語、日本語・外国語…など) のタイトルが好きですか(よく付けますか)?

▼作品一覧をご覧いただけますとわかるかと思いますが、雰囲気は暗いです。公開している作品のなかでは長文らしい長文タイトルはありませんね。日本語タイトルが多いなかで外国語(カタカナ)のタイトルがいくつかありますが、どういった意図で付けたのか実はよく覚えていません。しかし、日本語タイトルを付けるのもなんだか違和感を覚えるような内容ではあるので、ひとまずあれが現状の最適解なのだと思います。なお、いま書いている作品のタイトルは外国語(カタカナ)です。書くかどうかは未定ですが、タイトルとあらすじだけとりあえず控えているもののなかには長文タイトルもあります。


69. タイトルはどの時点で付けますか? お話を書き始める前(プロットの段階)? タイトルを付けないまま書き始め、思い付いた時点で? すべてお話を書き上げてから内容を見て?

▼質問66を参照のこと。


70. タイトルからストーリーを思い付いたこと(考えようとしたこと)はありますか?

▼これはよくあります。厳密には頭にぱっと印象的なフレーズが浮かんで、そこから物語をふくらませていくといった感じです。そういえば最近「そうだ、会いにいこう」という旅行雑誌のキャッチコピーのような牧歌的なフレーズがふと頭に思い浮かんでそこからどんな物語なのか少し考えてみました。その結果、幼いころに性的暴行を受けていた女性がその相手を「忘れられない初恋の相手」と思い込み、その人を探すため「初恋の追体験」をしたりゆかりのある地や記憶を遡るけれども、なぜか愛より憎悪が増していき、最終的に凄絶な復讐譚になるといういろいろな意味で際どい物語が思い浮かんだのですが、いろいろ設定回りをいじくって書いてみたい気もするのでこれはキープしています。最初は牧歌的なフレーズにふさわしい恋愛の話になるのかなあと思いながら楽観的に考えていたのにどうしたらこうなるんでしょう。やはり自分が考えた恋愛小説はアブノーマルなものしか書けないようです。

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