ver12/30 脱稿しました

白鳥に梅おにぎりをうばわれる

生姜湯のゆげのむこうにうちのかべ

葉牡丹が食べられるかをかんがえる

愛よりも愛ににかよえこたつ布団

粉雪を知らない土地のねこちぐら

朝起きるだけでつかれた夜の雑煮

雪うさぎ目はみどりでもかまわぬか

檸檬忌にだれもころさずいきること

花の露やさしくなれる排卵日

霞む目の奥も霞んで菜花道

花曇り月を探してから帰る

夢遊病わずらい消えた桜花

ぬばたまとよべない髪にからむ蝶

水ぬるむおたまじゃくしの尾にふれる

真昼間のおふろの外のみずがめ座

桜桃忌わたしは水に浮きますか

高い茶葉たらすミルクの梅雨曇り

五月雨や時計とともに止まる指

ねこ長しレモンの皮とマドレーヌ

慈雨の日の夢の水面の辺のみどり

種採らず変わり朝顔さよならさよなら

病院に火災もたらす大もみじ

床跳ねるおたまも秋果かもしれず

秋晴れの引き鉄として栗を焼く

台風の目のなかプリン買いに行く

おひるねを終えたらそこは結氷期

天狼の見えない窓に手を添える

道しずか凍蝶として帰りこよ

音無しのテレビにうつる寒昴

まどろみに霜喰むような名をつけて

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排卵日のゆめ 千住 @Senju

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