ありとあらゆる王道シチュエーションが台本SSとして消費され、そのアンチテーゼが生まれては消え生まれては消えていた2013年。
いわゆる『くっころ』へのアンチテーゼとして生まれたのが『クズ女騎士』だったと記憶している。
当時はすぐに後追いが生まれ、新たなる王道ジャンルへ昇華されるものだとばかり思っていたが……結果は元祖が長期に渡りトップを独走。リファインされる今日に至るまで目立った後追いは生まれなかった。
台本SSの頃と大筋は変わらないようだが、元スレのテンポを殺さず上手いこと解像度を上げている。
模倣不可能な独特の面白さはそのままに、また違う味わいをもって生み出された新生クズ女騎士。当時を知る人にも、知らない人にも楽しんでいただきたい。
初めて某掲示板で作者の作品の女騎士某を見たのはいつだっただろうか。更新を待ちわびて毎日掲示板に張り付いていたようにも思い出せる。
当時、成人向けゲームの女騎士がすぐ敵国の刺客に負け、致してしまう早さを揶揄して、女騎士SSジャンルが立ち上がり、そこに彗星のような熱量と輝きを長編作として持って現れたのが作者の作品だったと思っている。
今回はリバイバルということで最初の数話を読み出し、作者の熱量は内包しつつも少し鋭くなった印象を受けた。
その鋭さが問題なのだ。見目麗しい女が罵詈雑言を吐き、苦痛に歪むというのが俺に刺さりすぎる。これからも読み続けようと思った。