第149話 帰還へのタイムアタック

今回は短いです

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 ミスリルゴーレムを倒した後、攻略チーム一行はその場で睡眠を取り、恐ろしい速さでどんどん下層へ潜っていく。

 ここからは《ジャパニーズ》だけではなく、全員が一丸となって魔物を一掃し、最短距離で下へ降りる階段を目指す。

 リュートはエリーと共に斥候兼攻撃役の両方をこなしており、特にリュートは遠距離で一撃必殺の攻撃を放つので、近接攻撃主体の面々からはかなり有難く思われていた。

 しかし四十一階層から、道中の魔物の強さが上がっている。

 平気でゴブリンキングが出てくるし、オーガが群れを成して行動している。

 だがこれだけの攻略速度を保っていられるのは、リュートがサーチ・アンド・デストロイを実施してくれているからだ。

 見つけた瞬間、弓で魔物を一、二匹を屠ってくれるのだ。

 魔物側はいきなり同胞が死んだのだ、当然ながら慌ててしまう。

 そこに全員で斬りかかり、一瞬で殲滅する。

 まさにリュート様様である。


 特に矢の損耗を抑える為に、頭部の柔らかい部分を狙って射貫いているので、まだまだ矢のストックもある。

 矢が切れたらただの案山子となる弓使いの中では、やはりリュートは異端でしかない。


 そして、あれよあれよと五十階に到達し、中ボス部屋の前に到着した。

 相変わらず重厚で大きな扉が行く手を阻んでいるが、一つだけ違う点があった。

 それは扉の前に透明なウィンドウが既に表示されている点だ。

 普段なら扉に近付くとウィンドウが表示されて、誰が中ボス戦に挑むかを選択するのだが、中身も違っていた。

 ガンツが近付き、ウィンドウに表示された文字を読む。


「ふむ。『屈強なる人間よ、よくぞここまで辿り着いた。貴様達は非常に強く、我も満足している。さて、そんな貴様達に一つ刺激を与える事にした』だと? 嫌な予感しかしないのだが……」


 ガンツは額に冷や汗を滲ませながら続きを読む。


「『ここの中ボス戦は、二組のパーティを選択してもらう。選択直後から半日以内に最下層に辿り着けば、我と戦える。半日を過ぎると、新たな中ボスが生まれてしまい、帰還したいと願う二組の内どちらかが帰れなくなる、というものだ』。な、なにぃ!?」


 ここに来てタイムアタックである。

 しかもタイムアタックに遅れると、もれなくカズキか《ジャパニーズ》のどちらかが帰還出来ないという、悪質極まりない内容であった。

 更には与えられた猶予は半日、つまり十二時間である。

 休む暇すら与えられないのだから、非常に不味い。


「『さぁ、我をもっと楽しませてくれ。そして我と楽しい戦いをしよう。ちなみにカズキという者と《ジャパニーズ》のみが、我に挑む挑戦権を持っている。その二組が時間内に到着して二組で我と戦ってくれる事を、心より祈っているぞ』」


 ある意味、《遊戯者》のダンジョンで仕組まれたタイムアタックより、悪辣なものだとリュートは感じていた。

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