第139話 目標達成を確実にする為に
ラファエルは苦笑しながら答える。
「いいか、今回のダンジョンアタックは、てめぇら《ジャパニーズ》が主役だ。つまり、てめぇらが弱かったり装備が貧弱だと、当然目的達成は不可能だ」
「……確かにそうだな」
「だったら、てめぇらを強化する事が最優先だ。都合が良い事に宝箱から出た装備は、どれもてめぇらと相性がいい。なら、素直に受け取って超常的存在との戦いに備えろ」
そもそもラファエルは、職業というとんでもない力を得た事が今回の依頼の報酬として、十二分だと考えている。
故に今は良い武器に巡り会えたとしても、特段それまで得ようとは思わなかった。
「……ありがとう、この装備で絶対に目的を達成してみせる」
ショウマがラファエルに対して頭を下げると、一拍遅れて他の《ジャパニーズ》のメンバーも頭を下げた。
それを見て満足げにラファエルは頷くと、ガンツに視線を向ける。
「ガンツ、一つオレから提案がある」
「何だ?」
「ここからの雑魚戦は、 《ジャパニーズ》に任せた方がいいと思う」
「……それは、彼等の
「ああ。成功率を高めるなら、手っ取り早く武器の譲渡や
「確かにそうだな。俺はラファエルの意見を採用していいと思うが、《ジャパニーズ》の皆はどうかな?」
ガンツは《ジャパニーズ 》のメンバーに確認を取る。
すると彼等は首を縦に振って了承の意思を示した。
「わかった。ではここからの雑魚戦においては、《ジャパニーズ》達とカズキを中心に戦ってもらう。俺達は彼等がピンチだと判断したら手助けをするという方針で行くぞ」
『応』
一行は中ボス部屋を後にし、階段を下っていく。
「《爆炎剣》!」
第二十一階層。
ショウマは魔剣ザイルを手にし、魔法剣を放つ。
今まで使っていた剣は店売りのロングソードで、魔法剣を連続使用しているとしょっちゅう壊れていたりした。
ただ、魔剣ザイルの場合は壊れないどころか、魔法剣の威力が上がっていた。
今彼が使用している《爆炎剣》は、あまりの威力上昇の結果、敵を複数体爆殺していたのだ。
しかも敵は武器を装備したオークである。
オークは生命力が非常に高く、ただ武器で攻撃しても一撃で屠る事は難しい。
そんな相手と戦っても一撃なのだ、魔剣ザイルは確実にショウマの戦力上昇に一役買っていた。
「ふっ」
更には閻魔斬世を手にしたカズキの活躍も素晴らしい。
カズキは怪力の腕輪も装備し、元からある刀の技術と上昇した腕力によって、オークの太い骨すら綺麗に両断し、首を刎ねたり脂肪に覆われた腹を横に薙ぎ、真っ二つにしていた。
閻魔斬世は、剣士なら誰もが羨む性能をしていた。
「行って、《ファング》!」
リョウコも負けてはいない。
三本の赤く輝くダガーを《念動力》で浮かせ、縦横無尽に飛び回る。
そして遠隔で操作してオークの首に突き刺したり、心臓を貫いたり、時に味方が危なそうな場合はダガーで援護したり。
リョウコは立派な遊撃手となっていた。
「《ファイアーボール》」
チエは直接的な戦闘能力は皆無なので、魔力消費が少ない魔法でオークを屠っていた。
チエも職業の恩恵で魔法の威力が上昇しているので、魔法の中では威力が低い《ファイアーボール》でも一撃で殺せる程の威力を得ていた。
「はぁぁぁぁっ!!」
そしてタツオミも頑張って戦っていた。
《ジャパニーズ》内の司令塔で非戦闘員なのだが、彼なりに努力をして剣術を学んでいた。
その甲斐あって、銅等級冒険者の剣士に迫っている位には腕前は上達している。
だが正直まだ戦い方が危なっかしいので、リュートを含めた面々はいつでもフォローに入れるように緊張感を持って彼の戦いを見守っていた。
この調子で敵を狩り続けていれば、三十階層到達した頃には
可能な限り《ジャパニーズ》の全員が五十を越える辺りまで修行させたいと、ガンツは考えていた。
ちなみにオークを倒している際に宝箱が落ちる事があったのだが、基本的には無視して先へ進んでいる。
いちいち回収して確認をするという手間が効率を悪くする為である。
こうしてレベリングという修行をしつつ階層を下っていき、《ジャパニーズ》全員が疲労を感じて動きが鈍くなった頃には三十階層の中ボス部屋の扉前に辿り着けた。
「よし、今日は攻略をここまでにして、ここで睡眠を取るぞ!」
ガンツが全員に指示を出し、テントを張る準備を始めた。
《ジャパニーズ》の面々にとっては、地獄のレベリングから解放された瞬間だった。
彼等は膝から崩れ落ちるように地面にへたり込み、深い溜息を吐いたのだった。
---------------------------------------
お久しぶりです、ふぁいぶです!
体調がかなり良くなったので、ここからまた連載を開始します。
大変お待たせしました!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます