第121話 全員の職業把握 《鮮血の牙》編


「さて、次は《鮮血の牙》の皆さんの確認をしましょう」


 カズキが《鮮血の牙》の情報が書かれている紙を机に置き、皆に見せた。

 最初は《鮮血の牙》リーダーであるウォーバキンからだ。


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名前:ウォーバキン

位階レベル:十八


筋力:C→B

防御:C

技量:C→B

速度:D→C

体力:C→B

魔力:C→B

視力:C


職業:精霊術剣士


〇精霊術剣士

 精霊魔法を扱え、剣にも精通した剣士。

 特出するところは無いが、精霊魔法も剣技もバランスよく扱える。

 

〇スキル

《超・破斬》

 強力な真空刃を飛ばし、相手を切り裂く事が出来る。


《真っ向両断》

 振り下ろしの斬撃時、切れ味が増す。


《急所斬り》

 低確率で相手を確実に殺せる急所が光となって見える。

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 欠点がないバランスの良い能力に、全員がおおっと感嘆の声を漏らす。

 特出した能力も強みだが、ダンジョンアタックにおいては欠点が無い人材は非常に重宝する。


「ふむ、今回のダンジョンアタックでは非常に頼りになりそうですね」


「ああ、俺様に任せておけ!」


「期待しています」


 次にカルラ。


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名前:カルラ

位階レベル:十


筋力:D

防御:E

技量:C→B

速度:C→A

体力:C

魔力:無し

視力:C→B


職業:熟練補助役マスターサポーター


熟練補助役マスターサポーター

 メンバーが戦いやすいように補助をする事に非常に長けた職業。

 攻撃力より立ち回る為の速度、的確にアイテムを使用したりする為に技量が向上。

 視力も少し向上。

 

〇スキル

《鷹の眼》

 任意で発動可能で、発動中は上空から見下ろした景色が超短時間頭に映像として流れてくる。

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「カルラさんは補助に徹した職業となっていますね。これは頼もしい」


「後方支援は任せて!」


 カルラには正直言って攻撃力は持ち合わせていないと言ってもいい位のものなのだが、彼女がサポートに徹すると生存率は格段に向上する。

 その為カルラの存在は必須である。


 次は《鮮血の牙》の盾役タンクであるガイ。


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名前:ガイ

位階レベル:十四


筋力:B→A

防御:A→SS

技量:E

速度:D→F

体力:B→A

魔力:無し

視力:C


職業:人間要塞フォートレス


人間要塞フォートレス

 防御力に特化した職業で、鎧が無くても皮膚が常人以上の硬さを誇る。

 半面、速度は最低まで落ちる。

 どんな重い鎧でも余裕で着こなせて、大きな盾も軽々持てる筋力を得られる。

 

〇スキル

《グランドディフェンス》

 盾を持って防御した場合、吹き飛ばされる事が無くなる。

(例外あり)


《ガーディアン》

 任意の味方の目の前に瞬間移動し、かばう事が出来る。

 次回発動まで一刻必要。

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「ガイさんはザ・盾役タンクですね。貴方がいれば負傷者の数を圧倒的に減らせるでしょう」


「……うむ」


 寡黙なガイは、カズキの総評に軽く頷いて返す。


 次は回復役ヒーラーのリゥム。


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名前:リゥム

位階レベル:十二


筋力:E→F

防御:E→F

技量:B→S

速度:C→F

体力:D→E

魔力:B→A

視力:D


職業:純粋な回復術師ピュアヒーラー


純粋な回復術師ピュアヒーラー

 回復魔法に全てを注いだ職業。

 攻撃魔法、攻撃力は皆無だが、その代わり回復魔法においては強力である。

 この者に治せない傷はないといっても、過言ではない。

 

〇スキル

《回復魔法効果超強化》

 回復魔法の効果が超強化される。


《回復魔法広域範囲化》

 通常一人が対象の回復魔法を、広域範囲に変更する事が出来る。

 範囲は、使用者を中心として二十五メートルミューラの距離。

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「リゥムさんの場合は完全な回復役ヒーラーですね。後方支援で私達を助けてください」


「任せてよ!」


 回復魔法に特化したせいか、技量と魔力以外は最低に下方修正が入ってしまったリゥム。

 しかし、前向きに考えれば回復特化になった事で、死傷者を出さずに済むだろう。


 最後はレイリだ。


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名前:レイリ

位階レベル:二十


筋力:C

防御:D→F

技量:B→A

速度:C→A

体力:D→B

魔力:無し

視力:D→B


職業:斬首人


〇斬首人

 首を斬り落とす事を生業とした職業。

 技量・速度・体力を向上させる事で、より的確に首を斬り落とせるようになった。

 半面、防御を犠牲としてしまう。

 

〇スキル

《光速》

 一日に一回のみ、光の速さで駆け抜ける事が出来る。

 移動距離は最大三十ミューラで、その間自由に攻撃は可能。


《首狩り》

《光速》時に使用可能で、敵の首を斬り落とす度に《光速》の移動距離が十ミューラ延長される。

 相手に首が無い場合のみ、身体を両断すれば効果が発揮される。

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「ふむ、なかなかに偏った攻撃役アタッカーにはなりましたが、敵の殲滅時間を減らせる可能性を秘めていますから馬鹿に出来ませんね」


「行軍を速められるよう、一撃の元に首を斬り落とそう」


 レイリは非常に難航した。

 彼女にも侍の職業が出ていたからだ。

 しかし、発現したスキルとの相性を考えた結果、斬首人を選んだ。

 防御力は最低になってしまったが、目にも止まらぬ速さで首を斬り落とせるようになった。

 カズキが言う通り偏りのある攻撃役アタッカーにはなったが、一撃必殺はパーティ全体の体力温存に繋がる可能性も秘めている。

 ある意味彼女らしい職業なのかもしれない。


 ちなみに彼等も無形シリーズにチャレンジした。

 結果は散々である。


 ウォーバキンは、

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〇井の中の蛙な剣士

 強いと思っていたら、実は周囲の人間の方が実力者だらけ。

 井の中から飛び出せれば、飛躍する。

 飛び出せた場合、『やっとまともな剣士』に進化する。

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 何とも散々な言われようである。

 当然選んでいない。


 カルラは、

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〇半端者サポーター

 しっかり補助出来ていると思っているかもしれないが、ただ半端なだけ。

 全能力がDに固定される。

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 カルラは自己評価ではそれなりにサポーターとしては優秀なのでは、と思っていたのだが、職業判断としてはまだまだらしい。

 彼女も当然選ばず。


 ガイは、

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〇人見知り盾役タンク

 良く言えば寡黙だが、ただ人見知りなだけ。

 盾役タンクはコミュニケーションが大事ですよ?

 防御力がCに固定される。

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 何故か職業に人見知りだと指摘されてしまって、且つアドバイスまでされてしまっていた。

 無形シリーズが職業アドバイザー的な役割を果たしているのは、スキル使用者のカズキも謎に思ってしまっている。

 当然選ぶ訳もない。


 リゥムは、

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〇回復しか能がない人間

 魔力・技量がSSSに到達する代わりに、他の能力がF以下になる。

 F以下になると、十メートルミューラ走っただけで疲れるし、杖より重いものは持てないし、幼児以下の速度になり、転んだだけで瀕死の重傷を負い、老人同然の視力になる。

 本来職業は戦闘のみ反映されるが、この職業は私生活にも影響する。

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 私生活にも影響を及ぼすと、まともに暮らせない。

 こんなとんでもないデメリットだらけの職業もなかなかないだろう。

 勿論強力なメリットもあるのだが、デメリットが大きすぎるので当然選ばない。


 そしてレイリは、

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〇色ボケ侍

 師匠に惚れて、安直な考えで剣の道を選んだ、安直な女。

 未だ師匠の真似事しか出来ておらず、侍としては下の下である。

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 もはやボロクソな言いようである。

 流石のレイリもショックを隠し切れなかったようで、その場で崩れ落ちてしまう。


(……無形シリーズは、どれだけ本気でその道を突き詰めているかで判断されている節があるなぁ)


 カズキは心の中で、無形シリーズの変化をそう結論付けた。

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