第115話 商人さんの能力 其の四


「いやぁ、流石はリュートだわ! 唯一無二とかめっちゃかっけぇじゃん!」


 オタク気質なショウマのテンションが天元突破している。

 やはり男の子は、唯一無二という言葉に惹かれるのだろう。


「……正直、僕もちょっと羨ましいって思ったよ」


 タツオミもやはり男の子、普段は冷静だが熱い男の憧れを胸の内に秘めていたようだ。


「ええ、私達は凄いしか感想出て来ないなぁ」


「私も」


 リョウコとチエは、何処か他人事のようだ。

 こればかりは仕方ないだろう。


「……ふぅ、驚かせて頂きましたね。リュートさん、身体に違和感はありませんか?」


「ん、全く無いだよ。むしろ今まで以上にいいもんだ」


「なら良かった。ですが注意してください。リュートさんは職人気質ですし、職業も基本的に感覚を狂わせるような肉体改造はしませんから良い結果になりましたが、そこに《ステイタス》が重なると、やはり大幅に感覚が狂う可能性があります」


「オラもそんな気がするだよ。後はオラ自身で腕を磨くように頑張るだ」


「ええ、それがいいでしょうね。さて、皆さんにも職業を付与しましょう。無形シリーズへチャレンジするのもいいですが、如何なさいますか?」


 そして、《ジャパニーズ》全員に職業を付与する作業が始まった。

 話し合いはなかなか難航し、四人全員が職業を付与するのにかかった時間は約一刻だった。


 まずはショウマ。


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名前:ショウマ・イガリ

位階レベル:四十二


筋力:C→A

防御:C

技量:C→B

速度:D→B

体力:C→B

魔力:C(ただし、通常の魔法は使用不可)

視力:C


職業:魔剣士


〇魔剣士

 剣に魔法を付与し、状況に応じて戦える剣士。

 よりスムーズに《魔法剣》が使えるようになる。


〇スキル

《剣豪》

 剣の扱いが非常に巧みになる。

 剣での身体の扱い方が自然とわかるようになり、熟練者の域へ押し上げる。


《縮地》

 目にも止まらぬ速さで移動が可能。

 一度使用したら約二十秒程使用できない。

 

《魔法剣》

 剣に魔法を宿す事が可能になる。

 宿せるのは、以下の通り。

 ・《爆炎剣》――切り裂いた直後に爆発する魔法剣。火傷確率大。

 ・《雷鳴剣》――切り裂いた直後に剣から電撃が走る魔法剣。麻痺確率大。

 ・《氷結剣》――切り裂いた直後に傷口を凍らせる魔法剣。氷結確率大。

 ・《石化剣》――切り裂いた直後に傷口を石化させる魔法剣。石化確率中。

 ・《疾風剣》――風の刃を飛ばす魔法剣。切れ味が上昇する。

 ・《光剣こうけん》――実態を持たない邪悪な者を打ち払う魔法剣。

 ・《深淵剣》――闇を嫌う者を切り裂く闇を纏った魔法剣。

 ・《複合剣》――上記魔法剣を混ぜる事が可能。組み合わせは自由だが、危険性は増す。

 ・《竜破剣》――竜種の鱗を切り裂き無に帰す、無属性の魔法剣。一日一回使用可能。《複合剣》対象外。

 ・《滅殺剣》――全ての属性を混ぜた魔法剣。使用する剣は如何なるものも破壊され、使用者にも危険が及ぶ。

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 ショウマは剣を扱うので、肉体は剣に対して最適化されたようだ。

 彼のユニークスキルである《魔法剣》が早く使用できるようになったので、大幅な戦力強化に繋がった。


 次にリョウコ


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名前:リョウコ・アヤセ

位階レベル:三十八


筋力:C

防御:E

技量:B→A

速度:D

体力:C

魔力:無し

視力:B


職業:サイキッカー


〇サイキッカー

《念動力》をより巧みに扱えるようになる職業。

 思考速度や並列行動が得意となり、複数の物体を操る事に特化している。


〇スキル

《念動力》

 物体を自在に動かす事が出来る。

 ただし、生物に関しては自身より実力が劣る者のみしか対象に出来ない。


《広範囲気配察知》

 生物が無意識に発している電波をキャッチし、居場所を把握する。

 範囲は半径八十メートルミューラ


《念動力超強化》

 スキル《念動力》を超強化。

 最大一トンの物体を手足のように操る事が可能となる。

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 リョウコは《念動力》に特化した職業を選択。

 それによって、複数の物体を手足のように操る事が可能になったようだ。

 ショウマが「やっば、リョウコニュータイプじゃん!!」とはしゃいでいたのは、見事にスルーされていた。


 次にチエ。


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名前:チエ・カワナカ

位階レベル:四十


筋力:F

防御:F

技量:A→S

速度:E

体力:F

魔力:SS→SSS

視力:D


職業:熟練の魔導士マスターウィザード


熟練の魔導士マスターウィザード

 魔法に精通し、熟練の域に至った職業。

 魔法の威力が上がる他、魔力量が底上げされる。


〇スキル

《魔力超強化》

 元の魔力を大幅に増やす。


《魔力回復速度上昇》

 失った魔力が自然に回復する速度が上昇する。

 十分につき極少量回復。


《魔法射程超強化》

 全ての魔法の射程が大幅に強化。

 使用する魔法によって射程強化距離が変わる。

 最低でも十ミューラ射程が伸びる。

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 元々運動が苦手なチエは、特に下がった能力はなかった。

 その代わり、魔力量が元々人外クラスだったのだ、そこに更なる磨きが掛かったようだ。

 完全な魔法による超火力砲台となった。


 最後にタツオミ。


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名前:タツオミ・ドウミョウジ

位階レベル:三十四


筋力:C

防御:E

技量:C

速度:D→B

体力:F→E

魔力:無し

視力:D→A


職業:指揮者コマンダー


指揮官コマンダー

 戦況を把握し、即座に作戦を打ち立てる職業。

 思考能力が大幅に上昇し、広い視野を持てるように視力が特大に強化される。

 また、逃走する事も大事なので、速度と体力も上昇する。


〇スキル

《通信会話》

 異世界の『スマホ』を用いて通信する事が可能になる。

 距離は無制限。


《思考速度上昇》

 その名の通り、思考速度が上昇する。

 

勝鬨の歌ウォークライ

 使用する事で味方と判断した者全てに筋力の強化を行う。

 弓・魔法等の間接攻撃に関しては、放った矢・魔法に威力の強化が施される。

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 タツオミはやはり後方からの指示に徹するようだ。

 彼も最近は剣を使えるようになったが、それでも最前線に立てるかと言われたら、そこまでの腕前ではなかった。

 ただ、やはり《勝鬨の歌ウォークライ》が非常に強力で、いざという時は切り札にもなり得る。


 さて、実は《ジャパニーズ》全員が、無形シリーズに挑んだ。

 その結果は、散々なものであった。

 ショウマは《頼りない魔剣士》、リョウコは《メンタルよわよわサイキッカー》、チエは《下の下のウィザード・オブ・魔法使いザ・ボトム》、タツオミは《なんちゃって指揮官コマンダー》であった。


 全員もしかしたら、という淡い期待を抱いたのだが、あまりにも辛辣な職業に変化して、自尊心は粉々に打ち砕かれたのだった。


 これにはカズキもリュートも苦笑する他なかった。

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