第6話 なにかの始まり
家事掃除にしても、してほしいことにしても、きちんと、怒鳴る前に普通に言ってくれればよかったのに、何もかも禁止にする必要があったのだろうか? 子供に大きな傷を残し、私にもトラウマを残し、私はLINEで「本日の午前中にお話をしましょう」と送った。私は日課のコーヒー豆をミルで挽き、珈琲を淹れた。夫はこの珈琲もイマイチ判らないと拒否していたので、夫が自分で買ったバリスタで珈琲を淹れていた。
相手と戦う時は真正面に席を陣取る…心理的な話を思い出して、いつもなら、こたつの斜め横に座るのをやめ、夫の真正面に座った。
夫はどこか憔悴しきっていて、私よりも六つも若いはずなのに、髪にはつやはなく、ばさばさで光の加減かほぼ白髪のように見えた。私は実家の両親からとにかく家だけは確保しろと言われていたので、そのことを切り出さねばと思っていた。
開口一番私はこう言った、
「で、本当に男か、女か…誰か、他にいるの?」
夫はいないと答えた。
それが嘘か本当か私には判らなかった。
判らないというより、信用が出来なかった。
今までの出来事がどういうことなのか、どうしてなのか、何か理由を探してみたかったが、私はそれ以上、深入りする気にもならなかった。
「別居にしろ、離婚にしろ、家の名義を私にして」
私はそう言った。
コロナ離婚(仮) 佐倉銀 @sakuragin
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