バナナが黄色いから黄色いものをバナナと言える世界

トートロジーでも進次郎構文でもない。ニチアサの女児アニメを見ていたら黄色がイメージカラーのキャラクターがバナナと呼ばれていたから驚いただけの話だ。


結論としては今は良い世の中になったという話。



では、なぜ、公共の電波で人間がバナナと呼ばれていたら驚くかの前に女児アニメの内容について簡単に説明しよう。


「キラッとプリ☆チャン」の赤城あんな(以降あんなちゃん)が萌木えも(以降えもちゃん)をバナナバナナと連呼していたので私は固まった。

設定についても少し言及していこう。あんなちゃんは財閥令嬢で、えもちゃんは白人系アメリカ人と日本人のハーフ(あえて今回はダブルとは言わない)である。


エッチな意味を妄想してまずいと思うのは表層というかまだましな方で、えもちゃんに対して「バナナ」はポリコレ的に絶対的なアウトなはずなのだ。



:以下、若い世代は知らなくても良い差別用語の知識:


日本車が「レモン」;見た目は良くても中身はスカスカ;と呼ばれていたころ、漢字文化圏の人間が「有色人種」;colored;と呼ばれていたころ、現在のパリオリンピックまで連綿と続く無意識の差別が続く今。


「バナナ」はプランテーション作物であり、植民地からの収奪の象徴であり、こと日本人に対しては「見た目は黄色でも中身は白人」という全方位からの侮蔑を込めた差別の言葉だった。


それをよりにもよって、財閥の御令嬢が歴史的経緯も知らずに、よりにもよって白人と日本人のハーフに対して「バナナガール」などと使って良い言葉ではない。



これは、作り手や経営陣が「バナナ」が差別であったことを知らずに、または頭の片隅にあったとしても受け手には対しては問題ないと判断したことになる。


時代が変わったのだ。


言葉が本来の意味を取り戻し、「バナナが黄色いから黄色いものをバナナと言える世界」になったのだ。




大げさな言い方をすれば一つの差別が消え去る瞬間を目撃したことになる。



そして、どうか次の世代には引き継がれませんように。


バナナが黄色いから黄色いものをバナナと言える世界が続きますように。




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落書き 宮脇シャクガ @renegate

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