恋愛小説と鬱展開

失恋ってそんなにツライですか?



 これ、ほんとに小説講座のタイトルか?——思いましたか?

 すいません。恋愛講座ではありませんw ちゃんと小説の話です。


 なんでこんなこと書いてみるかというと、自作のネタバレなんですが、八重咲探偵の怪奇譚、今現在、十二部を連載中です。


 このシリーズは主役の龍郎が、あるとき出会った謎めいた美青年(秋には美女になおしたノーマルラブバージョンを公開予定)に惹かれていき、告白するものの振られ、あきらめずにアタックして三部で交際が始まり、そのあとはずっとラブラブの流れできていました。


 ところがですね。物語的な展開のせいで、十部あたりから二人がだんだん、すれ違ってしまうんですよ。


 そして、十二部の序盤で、二人は破局します。

 するとですねぇ。そのあとのPVがピタリと止まって、いっこうに伸びない……。

 たぶん、何人かはそこで読むのをやめちゃったんだと思う。


 ええーッ? 二人がこのあと、どうなってくのか、気になんないの?

 たしかに最近、深刻な場面が多いですよ?

 だって、アレですから。下げて下げて下げて、上げるパターン。ラストに入る前には、とことん下げなきゃ、最後に感動しないでしょ?

 あっ、これで十三部以降の流れが、だいたいバレてしまったw


 このようにですね。

 世間の人は失恋物を読みたがらない。三角関係のドロドロ大好きなんですよぉ〜と言っていた読者さんも、じっさいに青蘭が相手のとこに行っちゃったら、とんと読みに来られなくなりましたね( ̄▽ ̄)


 きっと、ほんとに破局するんじゃなく、どっちを選ぶんだ、じれったい! くらいのほうがドキドキするんでしょうね。


 僕なんか、むしろイチャラブってウザイだけなので、失恋の切ない心情を書いてると、とたんにウットリする派なんですが。十二部、十三部は書いてて楽しい。でも、それは世間的にはズレてるんだなぁと。


 僕の知りあいの書き手さんで、すごく素敵な恋愛ファンタジーを書いてるかたがいます。(勝手にネタにして、すみません)その作品は七部作でシリーズ完結しています。主役であるヒロインをはさんでイケメン二人が争うという、女性ならドキドキの展開。


 そのかたと話したときにですね。シリーズ作品のなかで、ダントツで人気のなかった回があると。先日、その回を最後まで読ませてもらいました。それで思ったんですが……。


 ご本人はシリーズ中でSF色がもっとも強いからじゃないか、と言われました。

 たしかに昨今、本格SFはほんとに不人気ですね。おもしろいのになぁ。SFは読み手側にも素養が求められるジャンルだからなぁ。専門用語とかもあるていど知ってないといけないし、世界観も複雑で説明が多め。かるい読み物を求めてる人向けではない。


 ただ、僕が読んでいて、「ん?」と思ったのは、SFだけが原因ではなさそうな?

 この回、ヒロインがイケメンのどちらともうまくいってないんですよね。一人とは別離して、まあ端的に言えば破局。もう一人は記憶障害でヒロインのことを忘れてしまって、まったくの初対面の人。当然、恋愛感情も忘れてます。


 つまり、この回、ラブラブが皆無なんですね。いえ、正確に言えば、ラブシーンはあるにはあります。が、それは精神をともなってるとはちょっと言いがたい。


 それ以前の回は、とにかくヒロイン、モテてた。二人の男にとりあわれて、女冥利につきる感じ。そこから、いっきに二人を失った形になっちゃったので、読者的に読むのがつらかったんじゃないかなと。


 これまでにも、どちらか一方とケンカしたり、ヒロイン的には二人ともと仲たがいしてるときなんかもあった。あったはず。

 でも、それはヒロインが知らないだけで、読者としては「ほんとはヒロインを好きなんだよね」と想像できる範囲だったように思う。


 たぶんだけど、甘々度が足りなかったんだろうなぁ……。


 世の中の人ってのは、そんなに甘いのがお好きなんですかね? お好きなんですね? ですよね?


 そう。だから、龍郎と青蘭の甘々が見たくて、いつかは元に戻るだろうと期待して読みにきていた人たちが、ガッツリ別れてしまったので去っていった、と。


 おーい。僕の他作品一冊でも読了したことある人なら、そんな平凡な終わりかたするはずないってわかるでしょ?


 今回は恋愛物を書いてる人はご注意を、という話でした。


 最終的に失恋するのなら、タグかキャッチに失恋って入れとくほうが無難かもですね。それなら最初から失恋物が読みたい人しか寄ってこない。


 そう言えば、ざまぁなどでも、そのタグ入れとくと、とりあえず読まれるけど、あまりにも展開が遅く、主人公がツライばっかりだと「これ、ほんとに、ざまぁなの?」とか、「ざまぁまでが長すぎる。もう待てないので去ります」とか言われてるの見たことあるなぁ。レビューとかで。たまに新着レビューも読む。


 今の人がストレスフリーを好むってのが影響してるんでしょうね。

 読者ウケを気にしてる人は、そのへんを留意したほうがよさそうです。


 短編なら失恋もアリなんだろうな。長編のシリーズ作品の場合、このキャラとこのキャラにうまくいってほしいっていう推しカプがあるから。それが引き裂かれると悲しいんでしょうねぇ。


 だけど、僕はこのまま完結までつっ走りますがw

 ちゃんと感動できるラストを用意してますので、あとしばらくのジェットコースターにつきあってほしいなぁ。

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