クライマックスが近くなると書きたくなくなる病
以前、ラストが近づいてくると、なんでか知らないけど急にやる気がなくなる、と近況ノートに書かれてる人がいました。
あっ、これ、昔、僕もよくかかった病気だなぁ。
ラストまでのプロットは決まってて、あとあの場面とこの場面を書いて、あの人とこの人がこうなって、それでエピローグ——という、あとひと押しのところまで来てるのに、放棄したいくらいめんどくさい……。
皆さんはそんなふうになったことありませんか?
なんかこう、テストが近くなって勉強しなきゃいけないときにかぎって、新しい話を思いつく。しかも、超おもしろそう、とか。これはちょっと違うかな?
今、じつは二年前から書いてた八重咲探偵シリーズが、あと一冊弱くらいで完結しそうなんですが、十二部のラスト書くの辛いですね。久々にクライマックスが近づくと書きたくなくなる病にかかりそう。
(その後、十二部は無事に書きおえました。このエピソード書きかけてから、だいぶ放置してたので)
ラストって、伏線回収しないといけないし、ストーリーも盛りあげないといけないし、各キャラクターの心情や行動なども納得行くように描ききらないといけないし、さらにはエピローグなどにはキャラたちのその後とか、世界はこうなりましたとかの変化や、読後感のための余韻作りとか。とにかく、やらないといけないことが多い。
出さないといけない情報がたくさんあるので、どれから出していくかっていう順番も気にしとかないといけない。
やらないといけない。やらないと……。
あっ、この心理。アレですね。スランプの回で書いたやつ。
スランプになるのも、たいていは、本心では書きたくないのに「書かなきゃいけない」と思ったときになりやすい。
とくに読者の期待に応えたいとか、もっと上手に書きたいとか、公募で受かるようにスゴイ話を書きたいとか。とかく、自分の力量以上のものを書こうとムリしてると、なりやすい。
おそらく、クライマックス前に書きたくなくなるのも、その心理なんだと思います。あれこれ決められてくると、縛りが多くてめんどくさくなるんですね。あとはプレッシャー。
ラストはきれいな形にまとめないといけないので、ふだん、プロット組まずにダラダラ書いてる人でも、頭のあちこちを体操させないといけない。
その体操がめんどくさくて、またはうまくいかなくて、やる気がなくなっていく……そういうことなんだと思います。
あともう一つ考えられるのは、その作品のなかでもっとも書きたいシーンをすでに書いたあとで、自分の楽しみがなくなってしまった、ということ。
たいていの人は最初にその話を思いついたときに、とくに書きたい場面の一つや二つは思い浮かんでいるんじゃないでしょうか?
そこまではその場面が書きたいからモチベが続くんだけど、書きおわったとたんに、やりきった感になって、あとはどうでもいい……。
これも何回か経験あります。
これを防ぐにはラストシーンか、それに近いあたりに好きな場面を用意しとくことですよね。
物語的にもラストは盛りあがる場面なので、演出も華やかにしたいもの。ラブシーンにしろ、戦闘シーンにしろ、謎解きにしろです。こんな場面書きたーい、というのを練りに練って用意しとけば、書きたくなくなる病の予防にもなります。
じゃあ、話を戻して、もともとのクライマックスが近づくと書きたくなくなる病はどう対処するのか?
これはですね。症状はスランプに似てますが、異なる点が一つあるんですね。
スランプは書きたくないときはムリに書かなくていい。ちょっと休もう。と休んでるうちに、なんとなくなおってることがある。ウソみたいにスイスイ書けたりね。
だけど、クライマックス病はそうはいかないです。なにしろ、休んでも休んでも、待ってるのはクライマックスですから。
書きだそうとしたら、けっきょく以前と同じ頭の体操をしなくちゃいけないわけですよ。しかも、あいだをあけてしまったことで、そこまでの話の流れや細かい伏線などを忘れてしまって、前よりいっそう、まとめるのが難しくなっている……なんてことも。
この症状はですね。歯を食いしばって書くしかない、と思います。僕の経験で言うと、途中で放置した話は二度と続きを書くことないので。
雑でもいいので、いったん終わりまで書いてから手直しするのはアリ。最初から完璧な形にする必要はないので、あとから満足するまで推敲することにして、とにかく書ききる。それしかないです。
とくに処女作とか、まだ書きなれてない人はプロットを組む脳が鍛えられてないので、それをしないと、ずっと上達しないです。
ラストは書くのも大変ですが、書きあげれば達成感がありますから。
まあ、気負わずに。
そして、ラストに自分の書きたい場面をとっとこう。
このくらいのアドバイスしかできないですが。
しいて言えば、習作として短編をたくさん書くことですねぇ。まとめる力を上げていけばいいので、短期間に書けて、まとめないといけない内容も少ない短編なら、長編よりラクに仕上げられます。
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