第22話 過去編に伏線を入れろ

「さて、もうそろそろもとに戻そうかしら。」

そう白髪の女が言った瞬間、掃除員のような服は消え、代わりに全身が深い緑色の軍服の姿になった。

彼女は、小夜子とは、違いちゃんと、自分の家を持っていた。ほとんどが、賞金首や、獣の駆除のような依頼から、稼いだ金であった。彼女はそういった依頼をうけながら自分の生計をたてていた、そして、もう一つ彼女には、目的が、あった。

 それは、自分たちを作った研究者、そして、その関係者を探すこと。また、自分たちのような存在を作り出さないために、潰しておこうと思っていた。

『生きて、私のもう一人のおねえちゃん』彼女は、そう言い残した自分よりちいさな体型をした少女のことを、思い出していた。彼女は自分の胸に手をあてた。少女を忘れないために。少女がくれた心臓を大切にするために。

 胸から手を離し歩き始めた時、突然彼女の目の前にサアアアアと、砂が集まるように蟲が群がり、やがて、人一人分の大きな黒を作り出した。そして、その中からやがてワームハザードが現れた。

「なぜ、奴を始末しなかった?」ワームハザードがそう言うと彼女は「ああ、あの子ね、別に今日始末しろだなんて言っていないでしょ」二人の間に緊張が走る。空気が重くなる、表情を変えないワームハザードに対し彼女は僅かに額に汗をかいていた。

 すると「たしかに、そうだね、今日中に始末しろだなんて言ってなかったね」と言って笑顔をつくる。彼女の顔は強張ったままだ。そして、ワームハザードは笑顔のまま、ブワッと周りに大量の蟲をまき散らせ、中には、龍の形をしたものもいる。そして、そのまま彼女の体に漂わせるように、龍の蟲は彼女の体を回り始めていた。

「……次は、ないよ」そう言って、ワームハザードは再び蟲で体を包み込み、跡形もなく消え去った。残ったのは、彼女のみとなった。

「あら、それは怖いわ」そう言って口元をにやりと歪ませる、汗はかいていなかった。




「やはり、あの女は、あの人と波長があうみたいだ。」そのころ、ワームハザードは遥か高く頭上から、闇を見下ろしていた。「早く、目覚めろ、そして、もう一度、世界を破壊しろ、あの女はあの人が目覚めるための媒介に過ぎん。さあ、早く目覚めるのだ、早く・・・早く・・・・・」



後日、氷柱には、警察部隊の招集がかかっていた。

沙耶などの特殊能力警察部隊の招集が普通警察課の警視総監たちから、かかっていた。

部屋の真ん中に円卓が置いてある。そしてその周りに氷柱、沙耶、紫杏、そして、そばかすがあり、栗色の髪、そして黒い軍服のような格好をした女性が座っていた。

 周りには何重もの、モニターが配置されており、そこに警視総監率いる、普通警察課の者が映し出された。


今回の議題は、闇の右腕が『ゴッドハザード』の1人、『ワールドアパート』であること、そして、DALLSの一人である小夜子についての議題だった。氷柱や交差など、本部の近くにいる人間は本部に近い人間だから生身で来ることができる。本部から遠い人間は、遠隔で議題に参加している。

「本日、集まってきてもらったのは、他でもない、『ワールドアパート』そして、DALLSの処理についてだ」

と画面越しに偉そうに話している、初老の男が口火を切った。

「あー、はいはい、まず、DALLSの件については、私に任せてもらえないでしょうか?」

と言ったのは、サイボーグ担当部隊隊長の沙耶 虚淵沙耶であった。

「ふむ、確かに、お前はサイボーグの担当であったな・・・・・ふむ、暴走したサイボーグ達を見事に、処理、または改善をしている。分かった、DALLSの件はお前に任せる。良いか、変な情を湧くなよ」

「はい、わかっています」

「まあ、お前なら心配ないか、あの欠陥品の出来損ないを見事に処理してくれたのは、お前だったからな」

その時に、沙耶の眉毛が少しピクッと動いたが警視総監は、それに気を留めなかった。

「まあ、それは、大丈夫として、問題は次だ。『ワールドアパート』についてだ」

その瞬間一斉に「今すぐ奴を殺せ」「生きかせていく理由がない」と大勢の警視総監たちが騒ぎ出した。そして、さっき指示をしていた警視総監の一人が「静粛に」と言うと、警視総監たちはピタッと騒ぎを止めた。

「それについては、証 氷柱、お前がやれ。お前が、黒城 闇を殺せ」

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黒腕の闇 航悔 氏銘 @koukaisimei

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