第7話 夢
何もない真っ白な世界にいた。
ぼんやりふよふよ浮かんでいると人影が見えた。それはどんどん近づいてくる。
マリアだ。
泣いている。
彼女のこんな弱々しい姿、見たことがない。きっとこれは死に際に見ている夢だろう。
「死なないで、ソラ……お願い……」
いよいよ、幻聴も聞こえてきた。
マリアにとって私なんて彼女の野望を阻止する目の上のたんこぶの存在。そんなことを言うはずがない。
こんな夢を見るなんて、私はマリアにそう思われたいと心の底で願っていたのだろうか。
「私が……私が弱いからダメなの……もっと強ければ武器であるあなたの価値をみんなに認めさせることができる。そうすればあなたの体のメンテだってもっとちゃんとやってもらえるし、働く環境だってずっといいところに変わるのに……!」
やっぱり夢だ。。
マリアがしていたあれもこれも、私のためだったなんてそんな話あるわけない。
「お願いだから……長生きして……私を一人にしないで……ソラ!」
マリアが私の手をとり顔をうずめ、頬を伝う涙がスッと腕へと流れ落ちていく。
こんなマリアは知らない。
でも、そう。
たとえこれが本当にマリアの本音だったとしても。
絶対に気づいたふりなんてしてやんない。
どうしてそう思うのか、全然分からないけれど。
そう決意して、マリアに気づかれないよう、薄く笑った。
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