第11話 ただ、至高の愛

「おはよう、桜子」

「おはよう、響」


私がソファで寝るって言ったのに、断じて聞き入れてくれなかった響。疲れてたりしないかな?

「ねぇ。響?疲れ残ってたりしない?」

「ふふ、ありがと。全然大丈夫だよ。朝から桜子が見れて最高の気分。」

「私もだよ。さてと、着替えようかなーっと。海、楽しみだね!」

「あはは、そうだね。」


響の家から海までは車で片道1時間位。

寝てて良いよって、響はどこまでも私を甘やかすけれど、寝てなんかいられない!

どのタイミングで告白しようかで私は悩んでいた。

海に着いてから?なりゆきで?そういう雰囲気にならなかったらどうしよう?!

「桜子?酔った?大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ!ごめんね、心配かけて!」

「大丈夫なら良いんだけど、少しでも辛くなったら言ってね。」

「ありがとう。」

この優しい人を幸せにしたい。

私のありったけの愛で。


「着いた。」

「え、もう?!」

「今日は道が空いてたから。」

駐車場に停めた車から降りると、そこは、海と青空が広がっていて、今日みたいな初夏の爽やかな天気の日にはちょうど良かった。

「ねぇ、響!海!海だよー。」

「知ってるよ。とりあえず浜辺まで行ってみる?」

「うん!」

「きゃー、まだまだ水は冷たいねー。でも、楽しいー!」

「その笑顔。」

「へ?」

「その笑顔にどうしようもなく惹かれたんだ。いつも笑っていて欲しい。出来れば俺の手で笑わせてあげたい、って思うようになっていった。」

「響…先超されちゃった。私もね、同じ気持ちだよ。響といると落ち着くの。さっきもね、この優しい人を幸せにしたいってずっと考えて、きゃ」

そこで私は響に思いっきり抱きしめられた。

「俺、桜子が思ってるよりガキっぽいかも…」「うん。」

「独占欲強いし…」「うん。」

「頑固だし…」「ふふ、自覚あったんだ。」

「けど、誰よりも桜子を幸せにする。」「うん。」

「私も響を幸せにする。」「うん。ありがとう。」


『ずっと一緒にいよう』


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ただ、至高の愛を 葵野楓 @aoinokaede

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