第180話 理想郷


 「ぶはっ! 皆無事!?」


 ヌメヌメしたピンク色のスライムの端から無理矢理体を引っ張り出してみれば。


 「アイリさん! コレを!」


 粘液の中から顔と手だけ出したアナベルが、魔術で作り出した半透明の鎖を渡して来た。

 どうやら全員を繋いでくれたらしく、鎖の先は幾本にも枝分かれしている。

 渡されたソレを思いっきり引き抜くと、ベトベトになった仲間達がスライムから飛び出して来た。


 「ごめん、アイリさん。助かった」


 背の低いシロちゃんはどうやらスライムの中で相当シェイクされたらしく、気持ち悪そうにしながら口を押えている。

 彼女に続きアナベルにハツミちゃん、ナカジマさんが姿を現し。


 「今まで正面切って戦いを挑んで来た相手が、こんなトラップを用意してくるとは思いませんでした……捕縛魔法が間に合わなかったらどうなっていたか」


 「向こうも向こうで、突っ立ったまま眺めているなんて。随分と余裕を見せてくれますね」


 「まぁ今の状態で攻撃されたら不味いのは我々でしたが……」


 皆の言う通り、振り返ってみると“探究者”が突っ立ったままこちらを眺めている。

 どういうつもりなのか?

 あのまま畳みかければ私達を一掃出来ただろうに。

 まぁアイツの考える事なんて私たちには分からないけど。

 とりあえず、リーダー達も引っ張り出して……なんて思って、残る鎖を思いっきり引っ張ってみたが。


 「あれ?」


 私の声に対して、皆正面を警戒しながらもチラッとコチラに視線を送って来た。

 そして、息を呑む音がそこら中から聞こえて来る。

 引き抜いた残る四本の鎖。

 その先には、何も繋がっていないのだ。


 「予想外だな……もうコアと融合していたのか」


 ポツリと呟いた彼の声は、静かなこの空間に良く響いた。

 声の先へと視線をやってみれば、そこには苦い顔の探究者が。


 「どういうことよ……リーダー達は何処に行ったっての? まさか、まだこの中に!?」


 慌てて肉スライムをかき分けようとした私の手元に、透明な剣が突き刺さった。


 「止めろ、女。貴様が行く事で余計な“乱れ”が出ては困る」


 「さっきから何を言っている貴様!」


 ハツミちゃんが探究者に襲い掛かり、その後にナカジマさんが続く。

 彼らと攻防を繰り広げながら、相手はつまらなそうに呟いた。


 「そのスライムもまた、私と同じように“進化”したという事だよ。失敗作だとばかり思っていたが……まさか私に気付かぬ間に自らの意思でコアを扱える程になっていたとはな」


 「だから、意味が分からない」


 シロちゃんが幾本もの矢を討ち放つが、ことごとく防いでいく化け物。

 もはや視線すら向けていない。

 やはり魔力持ち、というかパッシブが強い人間は不利どころの話ではないらしい。


 「ダンジョンコアは“世界の欠片”とも言えるモノだと考えている。それを使いこなした、つまりは小さくとも世界を持つ事が出来たという事だよ。あのスライムの中は、今やダンジョンと呼べるだろう。しかも知性あるコアの所有者が生み出した、いわば“異世界”と言う訳だ。全く、予想外もいい所だ。まさかこんなスライム如きにかどわかされるとは思わなんだ」


 思い切り顔を顰めながら彼はシロちゃんの矢をつかみ取り、傍らから接近しようとしていたアナベルの太ももに向かって投げつけた。


 「あぐっ!?」


 「常時使用の魔法を切ったところで、君の魔力は大きすぎる。先読みは出来なくとも、嫌でも目に付くさ」


 すまし顔で喋り続けている探究者に対し、こちらも思い切り地面を蹴って接近する。

 パッシブ魔法が他の皆より強力である私は、当然の如く発見される訳だが。

 それでも。


 「インパクトォ!」


 「ほぉ?」


 接近した後、地面に向かって拳を叩きつけてトリガーを引き絞った。

 ガントレットからは爆発が起こり、地面が砕けてあちこちに物凄い勢いで飛んでいく。

 当然の様に防御魔法で石礫いしつぶてさえも防がれるが。


 「シロちゃん!」


 「任された」


 彼女の魔力を乗せた矢が、相手から少し離れた位置を通り過ぎる。

 まるで暴風の様な、強力な風を纏った矢。

 私が撒き散らした石礫もまた、彼女の起こした風によって飛び散る方向を変え、相手に向かって跳弾するかのように“盾”の脇を抜けていく。


 「どうよ!?」


 とかなんとか叫んでみれば、視線の先には頬に穴の開いた老人エルフがこちらを睨んでいた。

 口内でゴリゴリと音を立てた後、ペッと吐き出される小石。


 「なかなかどうして、やるではないか“悪食”。舐めていたよ、君の様に魔力頼りで戦う相手なら、私は負けないと思っていた。しかしコレは驚いた。やっている事は非常に雑、だが。ココまでの連携、調整。単調に見えても、いざ成功させようとしたら相当な鍛錬と信頼が必要だろう。だというのに君達は一撃で私を打ち抜いて見せた」


 そんな言葉と共に、彼から放たれる威圧感が倍以上に膨れ上がる。

 どうやら、今まで以上に警戒させてしまった様だ。


 「んな事はどうでも良いのよ。結局リーダー達は何処へ行った訳?」


 改めてガントレットを構え直し、相手を睨んでみたが。


 「知らん」


 「え?」


 予想外の一言を、つまらなそうな顔で頂いてしまった。

 いや、は?


 「先程も言っただろう、ダンジョンコアとは“世界の欠片”。あのスライムにも、小さいがコアを入れてある。それを使って“世界”を作ったなら……引き込まれたのであろうな、“ソイツ”のダンジョンに」


 そういって指さす先には、私達が脱出したあとピクリとも動かない肉スライム。


 「彼らが戻って来る可能性があるとすれば、“ソレ”の作ったダンジョンを突破する他あるまい。難儀なモノだな、私と戦う為にダンジョンを突破して来たというのに、また新しいダンジョンに踏み込むとは」


 やれやれと首を振る彼に対して、私たちは静かに武器を構え直した。

 太ももに矢を受けたアナベルでさえ、無理矢理に矢を引き抜いてから杖を構えている。


 「抗うか? お前らだけで」


 大袈裟に両手を拡げる彼に対して、思い切り一歩を踏み込んで拳を振り上げる。


 「抗うわよ」


 呟いてから相手に向かって拳を突き出すが、その先には余裕の笑みを浮かべている探究者。

 間違いなく、私の一撃は避けられる。

 なら、最初から“当てるつもり”など無ければ良い。

 私は囮だ。

 だからこそ目を引くために、全力で“身体強化”を行使しながら。


 「シッ!」


 拳がギリギリ当たるかどうかの距離で、私は思い切り後退した。

 相手からしたら、何をしているんだと思われる行為だっただろう。

 もしかしたらこのフェイントさえ先読みされていたかもしれない。

 でも。


 「お前が“ただのエルフ”と名乗ったのは、どうやら間違いではないらしいな。あまりにも“ソレ”に頼り過ぎている」


 ハツミちゃんの膝が、彼の頬へと突き刺さった。

 更には、その逆から。


 「普通の人間なら、一対多というのは相当負担が掛かりますからね。人間相手で、しかも未来と現在の情報を同時に処理するのなら、尚更です」


 ナカジマさんの刃が彼の脇腹に突き刺さる。

 いける、と言う程ではないかもしれないが。

 間違いなく攻撃は通る。


 「良くもまぁ仲間が居なくなっても、これだけ冷静でいられる。更にはこの状況で特定の人物を囮に使った作戦。今の時代は、仲間を使い潰すモノとでも教えられているのか?」


 二人から攻撃を受けた彼が、すぐさま傷を治しながら言ってのけるが。

 “知った事か”。

 そんなやっすい挑発に乗ると思うなよ。


 「心配は尽きないし、今度は何処に行ったって言いたい所よ。でもあの四人は絶対に帰って来る。そう信じてるから、私は囮を買って出たの。あんまり、“悪食”を舐めないでくれるかしら?」


 そう言いながら再び踏み出し、フェイントを入れながら懐まで踏み込んだ。


 「だから見えていると――」


 「そうかしら?」


 すぐさま横に飛んで避けてみれば、私の背後には杖を構えたアナベルが立っていた。


 「アイシクルエッジ!」


 「っ! 陣も詠唱も無しだと!?」


 急に攻撃魔法を叫ぶアナベルに驚いたのか、急いで真正面に防御壁を展開する探究者だったが。

 生憎と、魔法は発動しない。


 「なんてね?」


 その彼女も飛び退いてみれば、再びナカジマさんとハツミちゃんのナイフが背中に突き刺さった。

 ただただ魔法の名称を叫んだだけ、追撃のフェイク。

 新手の二人に反応しようと振り返った瞬間、今度は私達の居る方向からシロちゃんの矢が襲い掛かる。

 やはり、こういった多人数戦には慣れていないと見た。

 上手く乱してしまえば、魔力持ちだって攻撃する事が出来る。

 いつまで通用するかは、ちょっと分からないが。


 「掛かって来なさい、“探究者”。私達の連携を、そこらの相手と同じだと思わない方が良いわよ? こっちだって随分と修羅場を潜り抜けて来たんだから」


 背中に傷を受け続ける“元後衛”であろう老人エルフに対して、チョイチョイッと指で手招きしてやった。


 「リーダー達が戻って来る前に、片付けてあげる」


 正直、そんな余裕は一切無いが。

 精一杯強者ぶって、煽ってみせるのであった。


 ――――


 真っ白い霧に包まれていた。

 何処を見ても、真っ白。

 ホワイトアウトって多分こういう事を言うのだろう。

 何てことを思いながら立ち上がってみれば、妙な違和感を覚える。

 床がある様な無い様な、フワフワした感じなのは別として。

 俺、鎧を着てない。

 慌てて全身を触れてみると、そこにあったのはいつかの懐かしいスウェットの感触。

 え? いや、は?

 もしかして俺死んじゃった?

 そんでもって召喚された最初に戻っちゃった?

 これって、タイムリープってヤツなんじゃ――


 「こうちゃん?」


 一人頭を抱えていた訳だが、後ろを振り返ってみれば。

 そこには見知った顔の三人が立っていた。


 「へ? お前らまで居るの?」


 背後に居たのは、さっきまで一緒にダンジョンボスの部屋に飛び込んだ筈の皆。

 西田、東、そして南。

 誰しも平服。

 西田はいつか見たジャージ姿だが、妙にパツパツ。

 筋肉付いたもんね。

 東はマジ東。

 甚平から見える胸板は、昔見た時より大盛り特盛ムッキムキであった。

 さらに南。

 今では健康的な見た目に進化した彼女が、奴隷商で最初に見たボロ布を着ていると、妙な犯罪臭がする。

 昔に比べると色々成長したもんね、何がとは言わんけど。


 「こ、これってどういう状況?」


 とか何とか声を掛けてみるが当然分かる奴はいないらしく、皆揃って首を傾げてしまった。

 そして何より、鎧を着ていないのが落ち着かない。

 おかしいな、スウェットってこんなにスカスカだっけ?

 コレを着て眠れていた頃がマジで信じられねぇ。

 両手で体を抱きながら、発生し続ける妙な鳥肌をガシガシと擦っていれば。


 『ふざけるな!』


 急にそんな大声がこの空間に響き渡った。


 『世界を救った筈の俺達が、何故こんな扱いを受ける!』


 『良く言うよ、キノトリア。あんたは今の今までダンジョンコアに捕らわれていたんだろ? 私たちがバラバラになって、こんな“常識”が出来たのなんてずっと昔の話さ』


 『アンタはソレで良いのか!?』


 視界の先には随分と歳をとっていそうな婆さんと、“探究者”が叫びあっている光景が見えた。

 こりゃ、一体なんだ?


 『体はいっちょ前に成長したってのに、思考はガキのまんまだね。今更アンタが何をしたって変わらないよ。“勇者”は死んだ、寿命だよ。人の一生は短いからね』


 『アレだけコキ使って、結果だけ掻っ攫って後は捨てたってのか……どこまで腐ってるんだよあの国は!』


 『確かに恨み言を溢した事もあったね、今でもあの国を恨む心も残っている。でも、もう“今更”なんだよ。時代の流れってのはね、アンタが思うよりずっと残酷なんだ。国は人の集まり、人は誰かに悪い感情を向けないと生きていけない。その役割を、私達が買っただけの話さ。諦めな』


 良く分からん二人の光景が写し出され、まるで映画の様に彼らの人生が再生されていく。

 俺達が“探究者”と呼ぶ、“キノトリア”というエルフ。

 異世界から呼ばれた“勇者”のパーティに入り、後衛と裏方を務める。

 その後ダンジョンコアに“呑まれて”、次に目覚めた時には全てが終っていた。

 彼が知る世界とは変わり果てた世界で、運よく師匠を見つけ出し経緯を聞く。

 聞かされた内容は、彼が求めていた世界とは随分と異なるモノだった。

 だからこそ。


 『俺は、もう一度彼女をこの世界に呼び出す。今度こそ、誰にも騙されない世界を生きてもらう為に』


 そう言って、キノトリアは決意を決めるのであった。


 「って所か?」


 「まぁ、大体。魔獣肉の件とかは、初代勇者の言葉が影響してるっぽいな。世界を救った勇者様の御言葉ってのは相当信憑性が持たれたのか? 結局は食わず嫌いっつぅか、初代勇者様の掌の上だったって所? 本人の意思とは違う結果になっちまったみたいだけどよ」


 「イージスのずっと前の王様が、勇者を良い様に使い潰して、その後の権力は独り占めしたって話だよね? シーラとかを見ると、逆にその虚勢が時代遅れの国にした感じが有るけど……」


 「初代勇者様方の行動は正しくとも、傘下に入る国が悪かった。と言う所でしょうか? 実績をそのまま利用され、“人族”が頂点に立った。という話ですからね」


 各々感想を述べながら、ふ~むと首を傾げる。

 何となく分かった、“キノトリア”の事が。

 多分、きっと。

 大変な冒険を経験し、“勇者”の少女を愛し、そして多くのモノに絶望した。

 なんでもキノトリアが目覚めた時には勇者は死んでいるし、仲間はバラバラになって各地に送られていた。

 しかもホレた女の最期が、竜と一緒に封印されたってんだからやってられないだろう。

 なんで大人しく封印されてやったのかは知らんが。

 まぁ、非常に同情出来そうなラブストーリーだ。

 だが、しかしだ。


 「俺の尺度にはなるが、結局本人が同じ事してちゃ世話ないんだよな。全く同じって訳じゃないが、俺達からしたら変わんねぇし。まぁ、恨みってのはそう言うモノかもしれねぇけど」


 「繰り返しにしかなってねぇしなぁ。同情はすっけど、それだけかな。現代人からのしっぺ返しを貰っても文句言えねぇだろこんなの。その立場になったら誰でもあぁなっちまうのかもしれんけど」


 「今のイージスを滅ぼした所で、ねぇ? 勇者ガチャがそう都合良く使えるとも思えないし。もう一度会いたいって気持ちは分からなくもないけど、巻き込まれた側からすると堪ったもんじゃないよねぇ」


 なんて、三人揃ってどうしたもんかと唸っていれば。

 南だけはちょっとだけ気まずそうに頬を掻いていた。


 「あの、“こっちの世界”では結構普通の事なんですよ。先代の恨み、その血筋だから根絶やしにされるとか。そういった理不尽な理由で平然と人の命は奪われます。それこそエルフなどの長命種からしたら、そう遠い時代には感じられないでしょうから。何かの大罪を背負った血族は、現在何の罪もなくとも迫害されるモノです」


 と、言う事らしい。

 ほほぉ、長生きするってのは良い事ばかりじゃないね。

 視野が狭くていけない。

 長く生きれば生きる分だけ視野が広がりそうなモノなのに、それはやはり人によるのだろう。

 というのも、俺の意見でしかないが。


 「ちなみに、南はどう思う?」


 「悪食に牙を向く連中は全て敵です」


 「あら極端」


 目が半開き状態の黒南さんから、いつも通りの御言葉を頂いてしまった。

 やれやれと首を振ってから、再びう~むと首を傾げる。

 西田と東の言う通り、気持ちは分からなくもない。

 大事な人が奪われれば誰だって怒り狂うし、ぶっ殺してやりたいと思う事だろう。

 だからこそ同情はする。

 しかし無関係な人間まで巻き込んで喧嘩を売ったのだ、当然殴り返される覚悟は持って然るべきだろう。

 そんなのも綺麗事で、いざその場に立っていないから言える台詞なのだろうが。


 「理解は出来るが、理解し合おうとは思わねぇな。やっぱ」


 「だぁな。まぁいいんじゃねぇの? 俺達は俺達優先。アイツはアイツ優先なら、衝突だって起きるだろうよ」


 「僕らでも愚痴や恨み言くらいなら付き合えるんだけどね。残念だけど折り合いはつかないかな」


 「普通あぁいう手合いを前にしたら、血眼で殺し合いが発生したりするんですけど……一応妥協点を捜すんですね」


 と言う訳で、結論は出た。

 出たのだが……。


 「んな事より、こっからどうすっか。ココ何処だよ……」


 周りを見回してみれば未だに濃い霧に囲まれ、仲間達の姿しか見えない。

 しかも俺達四人しか居ないのだ。

 残りのメンバー達の姿はない。

 だったら早い所戻ってやりたいのだが。


 『とりあえず、事情を知っても“探究者”に立ち向かうという結論が出た。と考えて良いのでしょうか?』


 そんな声が空から降って来た。

 思わず全員その場で姿勢を低くして、周囲を警戒する。

 今の恰好も相まって、相当間抜けな光景に見えるだろうが。


 『そう警戒しないで下さい、別に敵と言う訳じゃない。今姿を見せますね』


 声と同時に、すぐ目の前にはスーツを着た若い男が現れた。

 なんというか、本当に若い。

 スラッとしていて、割と髪も長め。

 スーツを着ていなければ、学生に見える程の若々しい青年。


 「はじめまして、私は鮫島 亮さめじま りょうと申します。“向こう側”ではしがない新社会人でした、よろしくお願い致します。今ではこのダンジョン、そうですね……“ユートピア”とでも名付けましょうか。ここの管理者をやっております、以後お見知りおきを」


 ご丁寧な挨拶と共に、彼が綺麗なお辞儀を見せた瞬間。

 “霧”が晴れた。

 そして、俺達の目に映し出されるのは。


 「おい、嘘だろ?」


 「え? は? だって帰れないって……」


 「これはどう見ても……え?」


 「な、なんですかココは?」


 各々口を開いても、やはり困惑の声しか上がって来ない。

 だって、今俺達が立っているこの地は。


 「如何でしょう。貴方達にとっても、懐かしい光景でしょう?」


 目の前には、間違いなく“日本”の街並みが広がっていた。

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