第176話 たった一つのチート<ズル>


 「また皆で険しい顔して話し合いしてる」


 「ま、今じゃどうしても仕方ねぇだろ」


 ムスッと唇を尖らせながら呟いてみれば、ノインからそんな事を言われてしまった。

 まぁ確かに、今は戦争の真っただ中。

 ボク達にずっと構っている訳にいかないというのは分かるんだけど、せっかく帰って来たのにあまり長い時間話す事さえ出来ないのはちょっと不満。

 頭の角を隠す為の帽子を、ギュッと深くかぶり直してみれば。


 「ノア、寂しいの?」


 ボクより小さいエルが、落ち着いた様子で声を掛けて来た。

 今は孤児院の皆でご飯を作っている最中。

 この戦争が始まってから、というか皆が帰って来てからいっぱいこちらに“お客さん”が来るようになってしまったので準備も忙しい。

 その分お金になるからと、ナカジマさんは言っていたけど。

 子供達や従業員総出で準備しても、順番待ちが発生してしまう程だ。

 だからこそ、サボっている訳にはいかないのだが。


 「そうだね……せっかく皆揃ったんだもん。もうちょっとお話くらいはしたいかな」


 もうちょっと、“いつも通り”の雰囲気が欲しかった。

 アレだけ皆待っていたんだもの。

 悪食のメンバーも、孤児院の皆も。

 タイミング的に、状況的に仕方ないって事は分かっている。

 それでも、だ。

 ボクだけじゃなくて、周りでご飯作りをしている子供達だって。

 本当は彼等に飛びついて、色々な事が聞きたいだろう。

 色々な事を話したいだろう。

 だとしても、彼等の今の雰囲気を見て遠慮しているのだ。

 この国を守る為に、皆を守る為に真剣に話し合っている彼等を邪魔してはいけない。

 分かっているからこそ、皆遠目に眺めて居るだけなのだ。

 なんだか、前より少し遠く感じてしまう。

 こんな事を考えるのは甘えなのだろうけど。

 構ってくれないからと拗ねている小さな子供みたいな感情なのだろう。

 その感情を露わにする子達は、この孤児院には居なかったが。

 それでも、皆どこか落ち着かない様子でチラチラと彼等の方へと視線を向けていた。


 「ほら、皆には仕事があるでしょう? 寂しいのも分かりますが、今は忙しい時期です。早く戦争を終わらせて構って貰う為にも、いっぱい美味しいモノを作りましょうね?」


 パンパンッ! と手を叩くシスターの言葉に従って、皆手を動かし始める。

 分かっている、分かっているんだけど……。


 「どわぁ! 何だ!?」


 集まっているウォーカーの一人が、急に悲鳴を上げた。

 何だ何だと視線を向けてみれば、そこには何やら小さいモノが走り回っていた。

 あれって……もしかして。


 「コラァァ! 大根丸、何やってやがる! こっち来い!」


 キタヤマさんが立ち上がって怒鳴り声を上げれば、小さな影はえらくすばしっこく動き回り、すぐさま彼等の元へと向かっていく。

 その小動物をガシッと捕まえてから、彼はこちらに向かって歩いて来た。

 そして。


 「悪いなお前ら、飯の準備ほとんど任せちまって。後コイツ、お土産。昨日は馬車に引っ込んでたみたいだけど。意外と人見知りなのかもな」


 そう言って差し出して来るのは、やはりどうみてもマンドレイク。

 引っこ抜いたら悲鳴を上げながら物凄い速度で逃げていく……筈の魔獣。

 そんな物が、随分と大人しく彼の腕に抱えられていた。


 「いや、え? マンドレイクなんか捕まえて来ても逃げ出すのが目に見えて……」


 驚愕の表情を浮かべているノインの腕の中に、マンドレイクが押し付けられた。

 すると。


 「に、逃げねぇ……」


 彼の腕に収まったマンドレイクは、静かに抱かれたままの状態でノインの事を見上げていた。

 なんだろう、特殊個体?

 見た目的には、普通のマンドレイクなんだけど……。

 なんて事を思いながら皆して眺めていると。


 「キュィ!」


 ウチのペットが、ノインの足元に寄って来た。

 皆で構いながら餌をあげている、やけに大きなリス。

 その名を“非常食”。


 「……なんだそれ」


 「いろいろあって、ウチで飼っているリスです……」


 今度はキタヤマさんからおかしな視線を向けられるという、妙な空気になってしまった。

 お互いに妙なモノを持ち込んだみたいな、いたたまれないこの感じ。

 どうしたものかと誰もが静かに小動物達を眺めていれば。


 「ピギュッ!」


 「キュィ!」


 何を思ったのか、マンドレイクはノインの腕を逃れ地上へと舞い降りた。

 そして猫みたいに大きなリスである“非常食”とチョイチョイと鼻先? を合わせた後。


 「ピギャァッ!」


 乗った。

 間違いなく、リスに跨っていた。

 何だこれは。

 誰もが状況に理解出来ずにいると、小動物達は駆け出した。

 見事なまでにリスを乗りこなすマンドレイク。

 何故か両手に串を掴んでいるが。


 「……まぁ、馴染んだ様で何よりだ」


 完全に思考を手放したらしいキタヤマさんが呟く中、小動物たちは一直線に孤児院の裏手に向かっていく。

 そっちにあるのは、畑くらいなものだが……って、あ。


 「今植えてある野菜とか、大丈夫かな……」


 エルがポツリと呟いた瞬間、ノインとシスターが走り始めた。

 それはもう、とんでもなく焦ったご様子で。


 「待って! ちゃんと空いている畑を教えてあげるから! 待って!」


 「もう収穫間近の畑に植えたら承知しねぇぞマンドレイク! 待て非常食! エル、ちょっと手伝え!」


 「ん」


 そんな訳で、ポカンと眺めている間に三人と二匹は孤児院の裏へと姿を消してしまった。

 なんか、この施設も凄い事になって来たなぁ……元からかもしれないけど。


 「まぁ、その、なんだ。マンドレイクの大根丸だ、よろしくな?」


 とかなんとか、キタヤマさんがポリポリと首を掻きながら呟いていると数名の子供がボクの周りに集まって来た。

 誰しも少しだけリーダーから距離を置きながら、彼の事を見上げている。

 あぁ、そう言えば。


 「バタバタしてて、紹介がまだだったね。ホラ、皆ご挨拶」


 そう声を掛けてみれば、おっかなびっくりと言った様子で頭を下げる子供達。

 この子達は、リーダー達が“留守”の間に増えた仲間達。

 奴隷商で酷い扱いを受けていたり、親を失った子供達。

 姫様がトップに変わり随分とこういう子達は減ったという話だが、それでもまだまだ救いを必要とする子供は多い。


 「新顔か? どれくらい増えた?」


 「十人にはいかないくらいだよ、働きに来てくれてる人のお子さんとかも居るから。皆が皆孤児院で過ごしている訳じゃないけど、でも皆家族だよ」


 そうかい、と短く答えたキタヤマさんはその場に腰を下ろして兜を外した。

 中から現れるのは、相変わらずニカッと満面の笑みを浮かべるボクらのリーダー。

 歯をむき出しにして、目元なんかくしゃくしゃにしながら笑うその顔は。

 ボクを拾ってくれた時と全然変わっていない。


 「よろしくなお前ら、俺は北山公太ってんだ。一応、“悪食”のリーダーをやってる」


 彼の笑みと声を聞いて警戒心が薄れたのか、子供達が順番に自己紹介をしていく。

 その子供たちの頭を一人一人撫でてから、彼は少しだけ寂しそうに微笑んで。


 「ここがお前らの家だ、周りの皆がお前らの家族だ。二番目でも三番目でも良い。だから、ちゃんと皆仲良くな?」


 緩く微笑んだ彼の顔は、どこか危うく見えた。

 まるでボクを逃がしてくれた時の両親の様な表情。

 色々我慢して、無理にでも笑っているみたいに見えてしまった。


 「キタヤマさん、明日も大変だと思うけどさ……皆帰って来るよね? だって周りの皆も一緒だもんね? 今日だって圧勝だったんでしょ? 凄いね、皆が帰って来てから集まって来る人達の表情が明るいよ」


 なんでそんな風に見えてしまったのか。

 今まで以上に危うい雰囲気を、決意を。

 彼は今、胸の内に抱いている様に見えた。

 だから必死に言葉を紡いだ。

 今のまま送り出したら、帰って来てくれなくなってしまいそうで。


 「負けるつもりはねぇよ、安心しろ」


 まただ、また彼は困った様に笑う。

 嫌だ、その顔は嫌だ。

 だからこそ、リーダーの鎧にしがみ付いた。


 「行っちゃ、嫌だ」


 「おいおいどうした、お前まで甘えん坊になっちまったのか? コイツ等よりお姉ちゃんだろ?」


 言葉と共に、彼の手がボクの頭に触れる。

 固いし重い、そんな感触。

 彼等はいつだって鎧を着ている。

 ずっとその身を真っ黒な鎧に包んでいる。

 だからこそ、懐かしいとも思える感触。

 それでも、だ。


 「明日は、どこにいくの?」


 その一言に、彼の腕は一瞬だけビクッと止まった気がしたのだ。


 「戦場に立つ、それだけでも心配なのに。皆は明日、何処へ行くの?」


 真正面から彼の瞳を見つめてみれば、彼の黒い瞳が揺らめいた様に見えた。

 鎧と一緒で、黒い瞳。

 ボクとはまるで違う、どこまでも黒く闇に紛れてしまいそうな黒。

 いつからだろう、この色が怖くなくなったのは。

 夜の闇が、怖いと感じなくなったのは。

 暗闇に身を潜める様に、この人達が居てくれる。

 そう考えるだけで、安心して眠れるようになったのだ。

 忌み嫌われる色だったはずのソレが、ボク達にとっては安心できる色に変わったのは、いつだっただろうか?

 いつだって目立たず、日陰者みたいに動き回って。

 それでも、絶対に助けてくれる。

 それが、ボク達にとっての“悪食”だった。


 「なぁに、大した事はねぇ。ちょいと戦場から離れて、ラスボスを倒しに行くだけだ」


 何でもない様な様子で呟いてから、彼は兜を被り直した。

 真っ黒で、一見恐怖の対象になりそうなソレを装備すれば、本当にいつも通り。


 「大丈夫だ、皆の事はちゃんと守る。だから、安心して待ってろ」


 いつだってそうだ。

 彼は、彼等は。

 表情を兜に隠す。

 大変な時や、辛い時はいつだって。

 笑っている時くらいしか、表情を見せてくれない。

 だから余計に不安になるのだ。

 でも。


 「自分も守って」


 「ん?」


 ボクには、兜を外せとは言えない。

 言う資格がない。

 ボクは、ボク達は。

 “守られている”側でしかないのだから。

 それでも、言葉には出来る。


 「味方も、自分も守って。それで、皆で帰って来て。約束」


 ボク達は、“家族”だ。

 だったらこれくらいの我儘は、言っても許されるんじゃないだろうか?

 そんな事を思いながら、小指を差し出してみれば。


 「こっちにもあるんだな、“指切り”ってのが」


 そう言って彼は小指を絡め、上下に動かしながら歌い始めた。


 「ゆーびきーりげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます。指切った」


 「……とてつもなく物騒な約束の仕方だね、普通に死なない? ソレ」


 「ありゃ? 違うの?」


 こちらとしても、子供の約束程度のつもりだった。

 小指を絡め、祈りの言葉を捧げる。

 そういうおまじない。

 だというのに、彼からは偉く物騒な約束が掛けられてしまった。


 「ハハッ、まぁ何はともあれ無事に帰ってくりゃ針千本飲まなくて良くなるわけだ」


 そんな風に笑いながら、彼は立ち上がった。

 ボフッとボクの魔女帽子に手を置いて、いつも通りに笑う。


 「それでも、心配はするからね? ボク達は、家族だ。信じているのと、心配するのは別だから」


 皆の元へ、再び作戦会議に向かおうとするリーダーの手を取った。


 「おう、ちゃんと帰って来るから。待ってろ」


 そう言ってもう一度ボクの頭に手を置いてから、彼は皆の所へ戻って行ってしまう。

 猛々しく、いつだってボク達を守ってくれた力強い背中。

 だというのに。

 今だけは、少しだけ不安になってしまったのだ。


 ――――


 「わりぃな、待たせた」


 それだけ言って腰を下ろしてみれば、周りに集まっていたメンツは少しだけ心配そうな顔を向けて来る。


 「何度も確認する様で悪いが……本当に大丈夫なのか? キタヤマ」


 険しい顔を浮かべている支部長だが、その声はどこまでも不安そうな色を含んでいる。

 らしくもない。

 報告に行こうと、今後の予定を話そうと。

 いつだって怒鳴りあっていたのが俺達だったというのに。


 「悪食のみで、あのダンジョンを攻略……しかも戦争が終わる気配を見せない以上、時間も掛けられない。いくら何でも無茶が過ぎませんか? この戦争が始まってから、私の“英雄譚”もほとんど物語を見せてくれません。恐らく、何かしら相手の影響を受けているのでしょうが……貴方達の活躍は見えるのに、その結果が見えてこないのです」


 グッと唇を噛む姫様は、なんというか。

 随分と表情豊かになった気がする。

 喜びも悲しみも、色んな感情を表に出す様になったと思える。

 そう何度も会っている訳ではないが、俺が過去に顔を合わせる時は無理している社会人か、人形みたいに笑っていたというのに。


 「適性としちゃ俺も参加した方が良いんだろうが……仲間だけ戦場に立たせる訳にもな。いざって時はやっぱり近くに居ねぇと……すまん、旦那」


 なんて言ってからカイルまで頭を下げて来る。

 ダンジョン攻略なら確かに手は多い方が良い。

 しかし、戦風のメンツまで全員引き抜いてしまっては“表側”に影響が出る。

 それくらいに活躍しているし、周りにも頼りにされている。

 だからってカイルだけを連れて行ってしまっては、当然戦風の連携に支障を来す。

 と言う訳では、彼は表側に立つ事になった。


 「なぁに。いつものメンツで、もっと言えば贅沢にフルメンバーだ。不安な事の方が少ねぇよ」


 ヘッと笑い声を上げながら、仲間達に視線を向けてみれば。

 誰しも強い視線をこちらに向け、頷いたり親指を立てたりと。

 まぁ、いつも通りだ。


 「“黒船”と“ブラックチャリオット”は貸してやるから、明日以降も使ってくれ。分からない事があったらリードに聞いてくれよ、多分俺等より詳しい。アレがあるかないかじゃ、だいぶ違うだろうからな。特にあのデカい亀が居た時の事を考えると」


 「すまない、助かる。あの砲撃があれば、我々は何も恐れることなく魔法が使えるからな」


 静かに頭を下げる支部長に、止めろとばかりにシッシッと手を振ってみれば。


 「必ず勝ちます。だから、貴方達も必ず帰って来て下さい。約束してください、[  無名]の英雄の皆様。勝手なお願いなのは重々承知しておりますが、どうか……」


 そんな台詞を紡ぎながら、姫様が俺の腕の中に飛び込んで来た。

 おい、待て。

 アンタ、姫様というか今では王様だろうに。

 一般人に飛び込んで良い存在じゃないよね? むしろ女の子なんだから急に男に抱き着かないの。

 とかなんとか思いながら肩に手を置いて引き剥がし見れば、東と西田のグッと上げた親指が、静かに下に向かっていく。

 止めろ、これは事故みたいなもんだ。


 「俺らは英雄とか柄じゃないんで、期待に沿えるかは分かりませんけど。それでも生き残るって事に関しちゃ、結構得意なんですわ。それだけが取り柄みたいな所あるんで」


 ソレを人はゴキブリ並みの生命力と呼ぶ。

 流石に女の子の前でそんなことは言わないが。


 「あ、そうだ。遅くなりましたけど、コレ」


 そう言ってから、彼女に黒いマジックバッグを差し出した。

 使い古して、最初に比べれば随分とボロボロになってしまったが。

 それでもドワーフ組とアナベルにお願いして、時間の無い中可能な限り修復した。

 異世界生活の基盤となり、いつだって支えてくれた便利道具。

 やっとコイツも返す事が出来る。

 コレがあったからこそ、俺達は生きて来られた。

 ここまで成果を残す事が出来た。

 本当に、姫様にはいくら感謝しても足りないくらいだろう。

 今ではシーラの王様から貰ったバッグと、飯島の姫様からもらったバッグがある。

 ホームにも一つ保管してあったはずだし、戦闘で困るという事はない筈だ。

 だから、やっと返す事が出来る。

 こんだけスゲェ代物なんだ、借りパクして許される訳が無い。

 “次”へと、繋げるべきだ。

 このバッグに助けられた俺達みたいに、次の誰かを助けるために。

 だからこそコレは、姫様が持っているべきなのだろう。

 そんな訳で、随分と長い間借りていたマジックバッグを返そうと差し出した訳なのだが。


 「嫌です」


 「はい?」


 「ですから、嫌です」


 正面から、きっぱりと断られてしまった。

 ありゃ?


 「今貴方が所有しているマジックバッグ、報告にあった両国から頂いたモノですよね?」


 「まぁ、そうっすね」


 「だったら、イージスからの贈り物だって受け取ってくれたって良いじゃないですか。そのバッグがあったからこそ、貴方達は生きて来られた。だったら、その二つよりずっと関りが深い筈です、思い入れがある筈です。ソレは、私と貴方達の繋がりであり絆です」


 とは言っても、中島や白の様なケースもある。

 だとすれば、俺達ばかり優遇される訳にも……。


 「全てにおいて“無し”と判定された貴方達三人。だったら、一つくらい“有り”でも良いじゃないですか。例えそれが他者からの支援だったとしても、他の人には無かった筈のモノが、貴方達にはあった。一つだけ“あった”ソレが、私からの支援。それでは嫌ですか? もういらないからと突き返してしまいますか? だとすれば私は、多分両国に嫉妬してしまいます。私のプレゼントは受け取ってくれなかったのにって」


 そう言って、姫様は歳相応とも言える笑顔をこちらに向けて来た。

 あぁ、こりゃ断れない雰囲気だ。

 しかし、やはり今後の事を考えると……。


 「ちなみに、もうこの国で“勇者召喚”は禁じています。何やら色々と考えているみたいですが、次なんてありませんよ? だから、そういう“サポート”もコレでお終いです」


 「……ありがたく、頂戴致します」


 「最初からそう言えば良いんです。全く、ウチの英雄様は頑固ですね」


 どっちがだよ、と言いたくなったが流石にそれは口に出来ない。

 今ではドヤ顔を浮かべている姫様に、苦笑いを浮かべていれば。


 「本当にコレのお陰で助かりましたよ、姫様。マジでありがとうございます」


 「ありがとうございます、本当に。僕達があのまま放り出されてたら、多分何も出来ずに死んでたと思います」


 西田と東も、静かに頭を下げた。

 続けて、悪食メンバーの皆も。


 「俺達唯一の“有りチート”が、姫様の存在ってか。こりゃ、本当に頭が上がらないな」


 なんて事を呟きながら、改めて馴染みある黒いバッグを腰にぶら下げるのであった。

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