5 求めるものは?

 大和は失礼だと感じながらも、これだけは聞かなければならないと、気づけば言葉にしていた。


「貴方達は何者ですか?どうして僕に親切にしてくださるんですか?」


 蓮真は大和の言葉にとても面食らったようで、しばらく沈黙が続き、蓮真は納得した表情で問いに答える。


「すまない、不審にも思うはずだ」


 蓮真は申し訳なさそうに語る。


「私達は喫茶店アイヌという喫茶店に所属しており、世界平和のために戦う組織でもある」 


 大和は困惑しながらも蓮真の話に疑問を抱く。


「世界平和を目指す?それと喫茶店がどういう関係があるんですか?」


 蓮真は苦笑いをすると、どう話したものか悩む。


「疑問にも思うだろうね。じゃあ、話が長くなりそうだから座らせてもらうね」


「はい」


 大和が頷くのを確認した蓮真は、パイプ椅子に腰を下ろす。


「この国、いや世界中で、私達が使ってるような存在の力を使って悪用する者がいる。そんな者達をなんとかするのが私達だよ」


「つまりは正義の味方ですか!」


 大和の目がキラキラと光っている。


「そんな大層なものではないよ。私達は困っている人の手助けをしているだけなんだ」


 蓮真はなんでもないことのように話す。


「大したものですよ!現に僕も助けていただきましたし」


「君を拾ってきたのは長山小山ながやまこやまなのだが…まあ、その話しは置いといて」


 大和は胸にぐっとくるものがある。なんでこんな素晴らしい方々を疑ってしまったのか…自分が恥ずかしい。中山小山さん?には後でお礼を言わせてもらわねば。


「喫茶店についてだが、単に私の趣味なんだ」


「趣味で喫茶店をですか!?凄い」


 蓮真は大和を純粋でいい子だと思いながら、そのキラキラした星のような目で見られるのは、恥ずかしいから話を本題に戻す。


「君も疑問に感じていると思うが、私達もこの力の正体はよくわかっていないんだ」


「そうなんですか…危険はないんですか?」


 大和の不安げな表情に蓮真は難しい顔をする。


「体への影響は今のところはないが」


 大和は蓮真の言葉の続きを待った。


「だが、憑依すればするほど、取り憑いた存在との魂の融合は避けられないだろう」


「存在との魂の融合ってなんですか?」


「そうだね。簡単に話すと自分の中に住んでいる住人が、君の心を少しずつ侵食し、合わさって一つの存在になるってことかな」


 それってヤバいのでは…僕が僕ではなくなるってことだよね。


「君は輪廻って信じるかい?」


「ある得るかもしれませんね。こんな変な力も存在するわけですし」


 輪廻つまりは生きかわり死にかわりすることであり、人の生死の流れなのだ。

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一夜のお伽草子 -群雄割拠- 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

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