4 存在
蓮真さんの仮説では、赤へるの体の一部を植え付けられた人間は、赤へるの毒が回り即死する。
そして植え付けられた赤へるの体の一部は、宿主の体で増殖し、例えるなら知性のあるゾンビとなる。
蓮真はパイプ椅子から立ち上がると、大和の顔をじっと眺めてある決心をした。
「大和君、君の能力を引き出す手助けをしよう」
「能力?」
蓮真は頷いた。そして決まり文句を唱える。
「我が身に宿りし力ありし者よ、呼びかけに応じ我に奇跡を授けたもう」
蓮真の体が光輝き、大和は何が起きているのかわからなかった。
「
蓮真の肌が青く染まり、所謂、紅いはすの花であるパドマが周りに浮かび上がる。
そして左右の脇の下辺りから腕が1本ずつ生え、既存の腕と合わせると4本の腕。
生えてきた右手に神の棍棒と呼ばれるカウモーダキー、左手には円盤型の武器であるスダルシャナを握っている。
蓮真の変わりように大和は目を見開いた。
「これが憑依だよ」
「えっ?それは何なんですか?」
大和はまじまじと蓮真を見る。そんな大和に蓮真は種を明かす。
「私達人間は、神、悪魔、あやかし、死者に魅入られて取り憑かれる場合がある」
「オカルトな話ですね…」
大和は蓮真の話の続きを促す。
「しかし、取り憑いた者の力を引き出すことで、超常的な能力を得ることができるんだ」
「まあ、実際に目にしましたが、にわかには信じられない話ですね」
蓮真は人差し指で頬を掻きながら苦笑をする。
「
蓮真の肌の色が元に戻り、パドマは散る。そして2本の腕とカウモーダキーにスダルシャナが掻き消える。
「大和君は、まだ憑依はできないだろうから
大和は蓮真から言われた通りに試してみる。
「我が身に宿りし力ある者よ、呼びかけに応じ我に奇跡を授けたもう」
大和の体が黒く輝きだした。そんな僕を見て蓮真はとても驚いていた。
蓮真曰く、黒く輝くのは見たことがないそうだ。
「仮憑依」
容姿はとくに変わりなく、刀と火器が現れる。
僕が刀と火器に触れると、刀と火器の名称がわかる。
この刀と火器の名前は名無しの刀、名無しの火器。あれ?名前がないの?
蓮真にこのことを話すと憑依した存在が、まだ僕のことを認めていないとのこと。
「僕に憑依した存在は何なんですか?」
「んー、すまないがわからない」
蓮真は難しい顔をする。僕に憑依した存在の特徴が少なすぎてわからないそうだ。
「解除」
解除をすると刀と火器は、そこには元から何もなかったように掻き消えた。
「腑に落ちぬ点はあるが、これで大和君も戦える」
「そうですね…」
この力の正体やこの人達は何者なのか?どうして僕に親切にしてくれるのか?僕の中で疑念が渦巻く。
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