第10話 足の数が8本って共通点しかなくない?

 辿り着いたノイズは、焼け野原という言葉がよく合う惨状だった。


「なのに、地下の研究所は生きてる、と」


 王族含めて死亡しており、この地下の研究所をシェルターとして利用しているわけではないらしい。もしくは、完全に不意を突かれて、隠れる隙すらなかったか。

 原因は、そのデストロイヤーだというし、内部犯なら破壊不可能な施設に逃げる隙なんてやるわけないから、後者か。


「あと調べていないのは、この施設だけです。おそらくこの施設は、研究所の中でも中核、デストロイヤー制作の中心地だったと考えられています。

 しかし、限られた人物しか入ることができず、扉を開けるパスワードも検討がついていません」

「つまり、無理ゲー」


 調査も何もないじゃないか。

 裏の目的が、しばらく姿を消してこいだからいいけど、これが実際のペナルティだった場合、陰謀もいいところだ。鉛弾をくれてやる。


「他は調査団が調べていますから、正直我々がやれるようなことはないかと」

「よーしキャンプだキャンプ。キャンプファイヤーしようぜ。インフェルノー!」


 元技術大国なだけあって、燃やすものはないが、森よりは野宿がしやすそうだ。


 焚火の上で、魔物の肉が焼かれている中、ここ最近の定番であるフローラによる勉強会が開かれていた。

 前にいた世界と似たようなものはあるくせに、致命的に残念だったり、違うこともあって、わりとこの勉強会は気に入っている。見た目が子供のおかげか、変なことを聞いても、普通に答えてくれるし。


「それで、この国にはウィザードではないですが、ウィザードのように鋼鉄でできたゴーレムを生み出す人間がいたそうです。

 確か、ロボット……というのだとか。他にも、ホムンクルス? という、人形も作っていただとか」


 なんだかとても聞いたことがある内容ですね。

 つまり、この国いたという大天才は、転生者というわけだ。


「ミハルと同じような、黒髪、黒目の人間は、この世界に発展をもたらすと囁かれているんですよ。不思議な力を持ってやってくると」


 チートの事ですね。

 こう考えると、いったい何人が送られてきているのか。というか、それだけチート装備が揃っているなら、そろそろ魔王軍と拮抗か、倒すくらいしていてもおかしくないような……それとも、魔王が強すぎるのか。

 神が必死になるくらいなのだから、同じく神なのか? 邪神とか。

 もしくは、転生してきた若い命っていうのが、チートやらにテンション上がり過ぎて、転生してはすぐに死んでるとか?


 …………心当たりがあるなぁ。


「その人もですが、ミハルも妙な飛び道具を召喚していますよね」

「召喚……どうせ召喚するなら、もっとこうカッコイイのがいい」

「かっこいいって?」

「いあ! いあ! はすたぁ!!」

「聞いたことがない呪文ですね。なにを召喚する呪文ですか?」

「邪神」


 冷たい視線を感じる。

 しかし、突然揺れ始める地面に、驚いて振り返れば、


「え」


 先程までいた場所に、ぽっかりと穴が開いていた。

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この偽ロリに祝福を! 廿楽 亜久 @tudura

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