死ぬまで後悔してね。 短編
牧多 -maki-
短編 完結
夏の風物詩 ー風鈴ー
チリンチリンと夏を感じさせる音が部屋に鳴り響く。
私は殺した。
わたしは、ころした。
ワタシは、ころした。
ワタシハ、コロシタ。
夏の日差しが差し込む朝日。
今日、私は親友の智子と久々に休みの予定が合い一緒にご飯を食べようと約束している。
智子とは、大学時代からの親友だ。
引っ込み思案で根暗な私と明るくサバサバとした智子は相性が良かったのか悪かったのか
たまたま同じゼミとなり会話を重ねるうちに仲良くなっていった。
大学を卒業し、職場までは流石に一緒にはならなかったが同じ看護師志望として地元の病院へ勤務することなった。
そして1週間前、智子から連絡がありたまたま今日の予定が合ったという経緯である。
夜までなにしよう。
そう考えると暇だなと思う一方で久しぶりに智子に会えると思うと気持ちがワクワクした。
「よし、遊ぶ時に体力残して夜まで寝ようっ」
そう独り言を呟き私は智子が来る21時まで寝ることにした。
20時になり私はあと1時間かと思い支度を始める。
夏の暑い季節に食べる料理といえばやっぱりそうめんと思い、キッチンへと向かった。
「そうめんあったかなぁ~?あっ!あったあった。」
智子と一緒に作るのもいいがゆっくりしたい気持ちもあり
そうめんを湯掻いて氷水につける。
「っめた〜! やっぱり夏はそうめんだよね。」
そうこうしてる間に21時になりインターホンが鳴る。
「やっほー!来たよ!」
久しぶりに会う親友との再会に胸を躍らせて私はドアへ向かう。
ガチャ。
ドアを開けると大学の時から変わらず笑うとえくぼが出来る笑顔を見せる智子がそこにいた。
「ひっさしぶりっ!元気だった⁉︎」
智子はそう言うと靴を脱ぐと家に上がった。
「元気元気!もうそうめんできてるから一緒に食べよっ!」
私は日々の仕事の疲れからか安心した気持ちでいっぱいだった。
机にそうめんを置くと昔話をしながら2人でそうめんをすすった。
「そういえば智子は彼氏できた〜?笑」
私がそう言うと智子は少し照れながら言い返す。
「実はできちゃいました。」
「えええー!?やっぱりできたんだ!おめでとう智子」
私は親友に彼氏ができた喜びで素直に喜んだ。
しかし智子は少し暗い顔をしながらこう続ける。
「大学時代の啓人くんなんだ。」
私は少しびっくりした。
啓人くんは、元々大学時代私が片思いしてたゼミの同級生だったのだ。
「そ、そっか〜よかったじゃん!昔のことは気にしない気にしないっ!」
智子は少し安堵した表情を見せこう続けた。
「2ヶ月前にたまたま風邪で病院に来た彼と再会してそれから連絡取るようになって2週間前に付き合ったんだ」
私は智子に彼氏ができた喜びと1年前片思いだった彼への気持ちで複雑な心境を往復していた。
しかし、昔のことは昔だ。
私が彼に恋をしてるのは今じゃない。
それに智子に悪気がないのはわかっているからこそなおさら智子を攻めるような気には到底ならなかった。
それより今この瞬間を智子と楽しみたかった。
2人は様々な話で場が盛り上がりお酒を飲みながら話をした。
ー2時間後ー
一通り酔いがでてきて智子は先に寝てしまった。
「もー智子ったらやっぱりお酒弱いの相変わらずだね」
スースーと寝息をかきながら寝る智子を見ていると
その時、智子の携帯が光り画面には啓人くんからのLINEが出ていた。
『智ちゃん、あのブスと遊び終わったら帰ってきてね』
…
……
………
私は全身に血が沸るのがわかった。
頭が爆発しそうな思いで怒りが沸点に達する。
ー そうだ、この男に一番後悔する事をしてやろう。
私は、自分でも怒りがおさまらない身体を動かし智子の携帯を手に取り机の上に置くとカメラを起動して動画を回し智子に近づくと首を力一杯締め上げた。
「っ… 恵子っ‼︎ なんっ…で…」
さすがに目が覚めたのか智子は苦しみながら暴れるが馬乗りになって首を絞めているため抵抗されようが構いなしだった。
ああ憎い。あの男が憎い。
その一心で智子は絞める力をさらに強くする。
「恵子っ…やめっ…ぐっ…」
智子の首を絞める時、私は笑っていた。
不敵な笑みを浮かべ力の限り親友の首を絞める。
すべてはあの男の後悔のために。
智子は暫くすると動かなくなった。
カメラに向って私は笑い彼に向けてメッセージを乗せた。
「死ぬまで後悔して死んでね。」
そういうと私はカメラを止め智子のラインから彼にメッセージを送った。
死ぬまで後悔してね。 短編 牧多 -maki- @kasam
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