高校一年生の日向は、イチゴ農園の娘。経営は決して順風満帆というわけではないけれど、そんなおうちを熱心に手伝っています。
そんな日向に、自分と一緒にオーディションに出ようと言ってきたのは、ふとしたことから知り合った、同級生で元キッズアイドルの聖弥。とはいえ日向には、家の手伝いという大事な仕事があります。
家のこと、家族のことを第一に考えるいい子。日向に対して最初抱いたイメージはそういうもので、それ自体は最後まで変わりません。しかし実は、その家族思いの裏側に、悲しい事情がありました。
ネタバレ防止のため詳しくは書きませんが、その事情を知って思わず涙が。それと同時に、様々な思いを抱えながら頑張る日向が、もっと好きになりました。
そしてそんな日向に惹かれたのは、読者だけでなく聖弥くんも同じ。
住む世界が全く違う二人が織り成す、恋と青春のハーモニーです。
イチゴ農園の娘、日向は、家族で作るイチゴが大好きな高校一年生の女の子。
しかしある日彼女は学校で男子ともめて、同級生の三条くんを引っぱたいてしまいます。
だけどそこからが、二人の物語のスタート。愛すべきイチゴを育てるべく、日々家の手伝いに勤しむ日向のことを、三条くんはやたらと気にするようになり、二人の距離はだんだんと縮まっていく。
最初、イチゴ農園の娘という珍しい設定がどう活かされるのだろうと思っていましたけど、なるほどお見事。この設定が、物語の主軸になっていました。
農園の仕事は、ただイチゴに肥料や水を与えるだけでありません。ビニールハウスを維持するため費用をやりくりしたり、自然災害からイチゴを守るために奮闘したりと、やらなきゃいけないことはたくさんあります。けど大好きなイチゴを育てるために、頑張れ日向! 家族思いでイチゴを育てるために頑張るこの子が、健気で可愛いです。
そして忘れてはいけないのが、三条くんとの関係。
始まりは最悪でも、その後は何度もキュンキュンさせられる。まるでイチゴのように甘酸っぱい、青春恋物語です。