ナメコたちは想像する
倉井さとり
ナメコたちは想像する
祖父の命日にはナメコ
十年前、
それは、ナメコのようにじめじめとした、
祖父は若い頃から山が好きで、
夕方になっても帰らない祖父。日が暮れるに
行方不明になってから一週間後、
死因は、
自分で
何十年も同じ山に登り、同じ道を通っていたはずなのに、なぜこんなことになったのだろう。いくら考えても分かるわけはなかった。どんな事故も、偶然やちょっとした油断でしかない。そんなことは海や川や野原、もちろん街や、
私は小さい頃から祖父になついていた。
祖父は読書も趣味にしていた。その頃の私の目には祖父が、知らないことなど何もない学者のように
「不思議に思うってことはな、好きか、好きになりたいってことなんだ」
それが祖父の
「死ぬってどうゆうことなの?」
「
「
「人生のテーマの
「おじいちゃんのテーマは
「知ることだ」
「でも、死んだら何も無くなっちゃうよ?」
「だからこそ知るんだ。この素晴らしい世界に別れを
祖父は
私たちは日々、見知らぬ誰かとすれ違って、永遠の別れを繰り返している。他人か家族か、それだけの違いしかないのだ。しかしそう簡単に割り切れないのが人間で、他人と家族との
私は自分の
しかし、想像が現実を越えることもときにはある。トラウマになるようなものを見る、あるいは聞く、どちらがより心を傷つけるかなんて、誰にも分かりはしないのだ。
ナメコの
祖父が死んでしばらくの
私は聞かされた言葉で傷つき、それ以上に、自分の想像したことで自分を傷つけていた。
「お前の
ある日の夕飯の席で、
元々、ナメコは私の
祖父が何を思い天に
しかし今ではナメコが食べられる。
今はそれだけでいいのかもしれない。
世界には、
ナメコたちは想像する 倉井さとり @sasugari
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