宇宙は青蘭の夢をみる11(旧題 八重咲探偵の怪奇譚)『アザトースと賢者の石編』〜ルルイエの夢魔王〜

涼森巳王(東堂薫)

登場人物、独自用語、シリーズ作品の紹介



 本柳龍郎もとやなぎ たつろう


 このシリーズの主人公。二十二歳。

 容姿は本編中では一度も明記されていないが、ふつうの黒髪、ノーマルな髪型、色白でもなく黒すぎもしない平均的な日本人の肌色、黒い瞳。身長は百八十センチ以上。足は長い。一般人にしては、かなりのイケメンと思われる。

 正義感の強い爽やか好青年。とにかく頑張る。子どもや弱者に優しい。いちおう、青蘭に雇われた助手(兼恋人)。

 二十歳のとき祖母から貰った玉が右手のなかに入ってしまった。それが苦痛の玉と呼ばれる賢者の石の一方で、悪魔に苦痛を与え、滅する力を持つ。なので、右手で霊や悪魔にふれると浄化することができる。



 八重咲青蘭やえざき せいら


 龍郎を怪異の世界に呼び入れた張本人。二十歳。純白の肌に前髪長めの黒髪。黒い瞳だが光に透けて瑠璃色に見える。悪魔も虜にする絶世の美貌。

 謎めいた美青年で暗い過去を持つが、じつはその正体は……第三部『天使と悪魔』にて明かされています。

 アスモデウス、アンドロマリウスという二柱の魔王に取り憑かれており、体内に快楽の玉を宿す。快楽の玉は悪魔を惹きつけ快楽を与える。そのため、つねに悪魔を呼びよせる困った体質。龍郎の苦痛の玉と対になっていて共鳴する。二つがそろうと何かが起こるらしい。



 遊佐清美ゆさ きよみ


 青蘭の従姉妹。年齢不詳(たぶんアラサー)。

 メガネをかけたオタク腐女子。龍郎と青蘭を妄想のオカズに。子どものころから予知夢を見るなどの一面も。第二部の『家守』で家族について詳しく語られ、おばあちゃんが何やら不吉な予言めいたことを……。



 セオドア・フレデリック


 青蘭の父、八重咲星流やえざき せいるのかつてのバディ。三十代なかば。銀髪グリーンの瞳のイケメン。職業はエクソシスト専門の神父。第五部『白と黒』にて少年期の思い出が明らかに。



 リエル・ガブリエラ・ソフィエレンヌ


 フレデリック神父の属する組織の若きリーダー。二十歳くらい。プラチナブロンド、ベビーブルーの瞳の美青年だが冷たく見られがち。龍郎に好意、青蘭を敵視してるっぽい。今後、クライマックスにかけて重要なキャラになる予定。

 前回、第七部で正体が明らかになった。じつは大天使ガブリエル。



 穂村竜星ほむら りゅうせい


 龍郎の母校の准教授。考古学者。アラフォー。

 ボサボサの髪、ガリガリの長身だが、よく見ると造作は整っている冴えないイケメン。本編で一度も語られないが、ファンのかたとの話しあいで、裏設定として離婚した妻子あり。

 第七部で、その意外な正体が明らかになった。ついでにバツイチ子持ちだということも。



 繁田しげた刑事


 龍郎を疑っていた刑事。

 警察関係者として今後もまれに出るかもしれない。



 ルリム(冴子、瑠璃)


 以前、青蘭をさらったクトゥルフの邪神。現ルリム・シャイコースの女王。外見年齢二十歳前後。銀髪、褐色の肌、赤い瞳。背中に黒い翼のある美女。龍郎と一時的協力関係にあった。龍郎のことが気になっている。


 蝦蟇仙人がませんにん

 初出は第六部『ろくろ首の轆轤』

 ツァトゥグアの奉仕種族だったが、長年、人間界で迷子になっているうちにオリジナルの自我に芽生え、さらには清美に餌付けされた。好物はコオロギせんべい。


 マルコシアス

 第七部から登場した魔王。

 巨大な狼の背中に翼がある姿。

 かつてアスモデウスに憧れていた座天使で、青蘭を慕って魔界からついてきた。


 ※注 九部までのネタバレ含みます。物語を最初から読みたいかたは、このページは無視してください。用語集の下に各部へのリンクを貼りました。そちらから第一部へ行けます。



 快楽の玉

 天界にあるという三種類の賢者の石のうちの一つ。

 快楽の玉、苦痛の玉、命の玉の三種類があり、そのうち快楽の玉は悪魔に快楽を与え、魅了する。

 そのため、これを体内に有している青蘭は悪魔に狙われやすく、意図せず引き寄せてしまう。


 苦痛の玉

 快楽の玉と対になる賢者の石。悪魔に苦痛を与え、討ち滅ぼす力を持つ。

 そのため、これを右手に持つ龍郎は、その手でふれただけで悪魔を傷つける。下等悪魔や霊なら右手から放つ光だけで浄化できる。


 命の玉

 対となる快楽の玉、苦痛の玉が一つに溶けあうことで生まれる新たな賢者の石。

 その正体は天使の卵だった。


 天使

 神(ノーデンス)が自らの奉仕種族として自分たち大地の神を改良して造った。外見上は人類に似ていて、より美しい種族。だが、用途は戦闘要員。飛翔能力に長け、異世界から異世界へと飛翔することができる。悪魔や邪神の結界をやぶる力を持つのは、飛翔能力を持つ天使とわずかの大地の神のみ。

 また運命の相手をひとめで見分けることができ、相手と自分の心臓を一体化させることで、新たな天使を誕生させる。


 悪魔

 ソロモン72柱の魔王を頂点とする上級から下級の大地の神。キリスト教以前は各地の神として崇められていた。

 また人間が七つの大罪に該当する精神状態に陥ると悪魔化する。七つの大罪とは、貪食、淫蕩、強欲、悲嘆、怒り、怠惰、自惚れ、傲慢の八つの感情。七つの大罪なのに八つあるのは、七つの大罪に一つプラスされたほうをこのシリーズでは適用してるから。詳しくは第一部『妖怪二口女』のその三で青蘭が説明してます。

 ソロモン72柱の魔王はクトゥルフ神話で言う大地の神にあたる。


 邪神

 クトゥルフ神話に出てくる神々。クトゥルフ、ツァトゥグア、ナイアルラトホテップなど。このシリーズでは、すでにツァトゥグア、マイノグーラは龍郎たちにより退魔されている。

 クトゥルフ神話はアメリカのオカルト作家、ラブクラフトを中心に彼と交流のある作家たちが書き綴った一連のホラー小説をさし、後年、さまざまな作家がその設定を利用して書き続けている。

 このシリーズのなかでは、天使、悪魔、邪神は人間が自分たちの認知で識別しているだけであり、その根源は人智を超える宇宙的、かつ神的存在であるという点で同一のものという概念。


 奉仕種族

 それぞれの神(悪魔)に仕える種族。クトゥルフに対してのインスマス人など。インスマス人についてはこのシリーズでは、しばしば『人魚』と表記されている。

 ガマちゃんはもとはツァトゥグアの奉仕種族だった。


 曲がった時間、とがった時間

 第八部『罪深き時の鋭角』のなかに出てきた、もともとクトゥルフ神話の概念。

 我々の宇宙は『曲がった時間』のなかにあり、それと対極の世界として『とがった時間』が存在する。

 とがった時間にはティンダロスという王国があり、その住人はすべてが直線で構成されている。ヘルハウンズ、ティンダロスの猟犬、ティンダロスの王などが住人。

 じつはこのシリーズの今後の展開にひじょうに重要な役割を果たすことになる。


 六道

 仏教の概念。輪廻転生のなかの六つの道。

 このシリーズでは輪廻転生へと通じる道として使われている。輪廻の源の場所に至るゲートのようなもの。

 そのゲートのさきにはクトゥルフの主神アザトースがいるとも。



 シリーズ作品紹介


 第一部『契約者は悪魔』

 物語の始まり。龍郎と青蘭の出会いを描いた一作め。

 元話はずいぶん昔に書いたクトゥルフ物だった。

 登場する邪神、クトゥルフ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889236766


 第二部『魔女のみる夢』

 青蘭の助手になった龍郎は、生徒が行方不明になるという山奥の女子校へ潜入する。

 登場する邪神、ツァトゥグア。クトゥグア。ナイアルラトホテップ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889478230


 第三部『迷宮の青蘭』

 二人の関係が大きく前進する三作め。青蘭の過去があきらかになり、ここからいよいよ、天使、悪魔、邪神の織りなすメインストーリーが動きだす。

 登場する邪神、クトゥグア。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889951726


 第四部『螺旋に巣食う』

 シリーズのなかでも異色の本格SFとホラーの融合。凝りに凝ったプロットも、じつは一発書き。脳を駆使するパズルのよう。

 登場する邪神、ルリム・シャイコース。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890587593


 第五部『海鳴りのディアボロ』

 アンドロマリウスの実験について探索する第五部。

 穂村先生初登場。

 登場する邪神、クトゥルフ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891808553


 第六部『ろくろ首の轆轤』

 清美の友人が亡霊に取り憑かれた。龍郎たちは助けに行くが、その村には恐ろしい秘密が隠されていた。和風村ホラー。

 登場する邪神、ツァトゥグア。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892971898


 第七部『驢馬と貴婦人の円舞曲』

 青蘭の亡くなったはずの祖父が生きていた? 調べるためにフランスへ飛んだ龍郎たちは、そのまま魔界を旅するハメに。ソロモン72柱の魔王がてんこ盛り。

 登場する邪神、なし。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892507209


 第八部『罪深き時の鋭角』

 遺跡を調べるためにバリ島へ。遺跡と隕石と殺人事件。

 南国の島で人狼ゲームが始まる。

 登場する邪神、マイノグーラ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054898577700


 第九部『組みかえられた鏡』

 青蘭には兄がいた?

 祖父の遺産を凍結されて探偵業を営むことに。依頼を受けて東京へ行くが、そこには兄の卑劣な陰謀が待ちうけていた。

 シリーズ転換期。重大なことがいろいろ起こる九作め。

 登場する邪神、ナイアルラトホテップ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054918502305


 第十部『見せかけの王のレゾンデートル』

 九部の流れを受け、兄を探しにニューヨークへ。インスマスの町で兄との死闘が!

 登場する邪神、クトゥルフ。ナイアルラトホテップ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922821432


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